12話 王達の企み
失敗だ。
俺が思っていたよりも、シャルティア様がストライダーにはまり過ぎた。
「シャルは、このにんげんとあそんでる~」
王都に出発しようとしている、竜王に言い放った一言。
俺にとっての死刑宣告。
シャルティア様、わがまま言ってはいけません。
竜王様、叱ってやって下さい…えっ?良いんですか?
甘やかしたら駄目ですよ。
そもそも、会議中は王都で観光させておくつもりだった?
危なくないですか?
全然危なく無い?
護衛は竜族屈指の者を連れて来た?
それなら、そもそも連れて来なかったら良かったんじゃ……
いえ、何でもありません。
しっかりとお守り……ではなくお供させて頂きます。
えっ?娘に手を出したら、細胞の一つも残さないように、燃やし尽くしてやる?
あと、せめて10年経ってから言って下さい。
竜王様は親馬鹿でした。
「にんげん~、しゅわしゅわのみたい~」
とても笑顔のシャルティアがジュースをご要望だ。
なんだか凄く、嫌な予感がする…
【ミネゴルド王国】
「ミネゴルド王、急な竜王からの、トップ会談の要請はやはり、勇者の召喚の事でしょうか?」
「十中八九、そうじゃろうな」
難しい顔で話し合いをしているミネゴルド王とその側近達。
勇者召喚は禁術だった様だ。
「竜王は、かなりの苦情を入れて来るでしょうか?」
「まぁ、そうじゃろう、勇者はこの世界の理を曲げる存在じゃからの。竜族にも少なからず影響が出るのかも知れん」
「その勇者達といえば…」
「勇者達に何か問題があるのか?」
「いえ、ただ…」
「はっきり、言うのじゃ」
「はっ!それが全く訓練に身が入ってません。何かあれば疲れただの、ダルいだの甘ったれた口を聞いております」
「ある程度仕方ない事なんじゃないですか」
「ですが、全員ですよ。17、18の大の大人が子供の様な我が儘を。勇者召喚にどれだけ犠牲を払ったと」
「もう、良い!」
「ですが、王!」
「もう良いと言っておるのじゃ!」
「…承知しました」
「幸い、勇者は何人もいる。いざとなれば、何人か見せしめに犠牲にすれば
、その甘ったれた性根もどうにかなるじゃろ」
「おお!流石です。ミネゴルド王よ」
「それよりも、問題は竜王アースじゃ。例の準備は済んでおるのか?」
「はい。滞りなく」
「奴かて、親じゃ、弱点といえば人も竜も同じじゃろ」
「既に、近くに配置させております」
「あとは、竜王が来るのを待つのみじゃな」