115話 脳筋先生
筋トレだけで10日たった。
魔法の練習をしているはずだよな?
ビルダー先生の魔法教室。
初日で諦めた相楽さん。
三日目で脱落した向井さん。
四日目で脱落した岩清水さん。
五日目で脱落した稲葉さん。
気まぐれでたまに来るシャルティア様。
俺だけ残ってしまった。
俺も五日目に稲葉さんと一緒にやめるつもりだったのに止めれなかった。
その日から毎日ビルダー先生が家まで迎えに来るようになった。
誰もが迷惑を押し付ける様に俺を生け贄にした。
「私は今日メイドラゴンさん達に、プリンの作り方教えてあげるって約束してたんだった」
「向井様?そんな約束はして『してたよね!』」
「はい、してました」
誤魔化したよね。
「そうか、じゃあ仕方ないな。フブキ様も甘味好きだからな☆
じゃあ向井君以外のみんな行こうか☆」
「私は畑があるので、すみません」
「う~ん。しょうがないか☆」
逃げた。
「私は合成がありますので」
「……そっか、頑張りなさい」
ビルダー先生が相楽さんの方を見るが、相楽さんとシャルティア様はソファーに寝転がってアニメを観ている。
「……じゃあボーイ。行こうか☆」
あっ、相楽さんの事は諦めたんだ。
「俺も『よし、行くか』
あれ?
急に景色が変わったと思ったら、ビルダー先生に担がれていた。
全く見えなかったんですけど。
身体能力強化の魔法かな?
「さて、生徒はちょっと減っちゃたけど頑張ろう☆まずはランニングだね☆」
「ビルダー先生、筋トレは大事って重々わかってますけど、そろそろ魔法を使い方が知りたいな……なんて」
勇気を出して言ってみた。
「魔法の練習が楽しいってわかれば、みんなも忙しいながらも来たがるんじゃないかな……なんて」
ビルダー先生がヅカヅカと俺の方に歩いて来る。
やべっ、言っちゃ不味かったか?
殺される?
「ボーイ☆本当かい?みんな戻って来てくれるのかい?」
だいぶ気にしていたみたいだ。
それから魔法の訓練は筋トレから、魔力を扱う訓練に変わった。
早めに言えば良かった……
「よし!まずは魔力を感じてみよう☆」
「ビルダー先生、魔力ってなんですか?」
「うん?魔力は魔力だよ?」
脳まで筋肉で出来ているんじゃないか?
いや、フブキ様推薦の先生だ、そんな筈はない……はず。