112話 家庭農園
結局俺達は、竜誕祭迄の1ヶ月の間、竜の谷に滞在する事となった。
妖精のチョークを使えば直ぐに来れると思ったが、あまり好まれないらしい。
まあ、いつでも自分の国に入って来られると気味が悪いよな。
フブキ様からは、なるべく秘密にしなさいとのこと。
竜誕祭迄の1ヶ月間何をすればいいかというと、基本的に何もしなくて良いらしい。
一応、竜王の客人扱いとの事だ。
何もしなくてもいいと言われたが、そこは小市民。
何かしなくては落ち着かない。
落ち着いて居られるのは、ポテチとコーラを飲みながらアニメを観ているヒロインぐらいだろう。
まあ、シャルティア様のお守りって事にしておこう。
向井さんは、料理を教えている。
料理長のドラゴンは人間形態になっている。
ちなみに、フブキ様も、シャルティア様も俺達が来てからは、基本的に人間形態で過ごしている。
フブキ様の「うふふ。うっかり踏んづけちゃったら即死だもんね」って言われた時はイチモツがヒュッンってなった。
冗談の様だが笑えない。
確かに死ぬよな。
フブキ様達の影響か、俺達の周りにいる竜族の人も人間形態で過ごしている。
フブキ様やシャルティア様の側仕え、つまりメイドさん。
メイドラゴンさん達は、俺達人族に対して特に悪い印象は無いようだ。
シャルティア様の、ポルンガ人間嫌いだってよ説のせいで少し心配したが良かった。
むしろシャルティア様の側つきのメイドラゴンさんからは、少ーしだけシャルティア様が言う事を聞くようになり、大変感謝されている。
岩清水さんは、フブキ様の許可を貰い近くに畑を作っている最中だ。
家庭菜園に興味をもったメイドラゴンさん数人が、手伝っている。
ドラゴンは基本的に暇が多く、家庭農園は意外と好評だった。
シャルティア様も家庭農園に興味を持ち、自分で毎日水やりをしている。
育てているのはジャガイモだ。
何でも、「シャルが育てたジャガイモでポテチ作るんだ~。ししょー、喜んでくれるかな~」
なんて良い弟子なんだ。
稲葉さんは、竜の鱗を貰って何かを合成している。
何でも、この前ダイヤモンドと防弾チョッキを合成した物が、
エルフの巨大弓に破壊されたのを、少し気にしている様だ。
で、俺はというと……。