111話 竜誕祭
シャルティア様に自分の部屋に連れていかれた相楽さん達。
俺はフブキ様にこれまであった事と、竜の谷に来た理由を説明する。
「そう。夫からある程度は聞いていたけど……」
竜王様は自分が死にかけた事を、フブキ様に伝えてなかったみたいだ。
心配させたくなかったのかな?
「それで、ポルンガ様は?」
「お義父さんは、竜の滝にいらっしゃるわ」
「竜の滝?」
「この竜の谷の一番の上流よ。そこでのんびり過ごされているわ。
あっ、でも今は竜誕祭の準備で忙しいわね。今頃竜玉に力を溜めている所かしら」
竜誕祭?
「竜誕祭って何ですか?」
「竜族の祭りよ。竜神様の生誕祭りね。10年に1度行っている祭りね」
「アームジャック王子の軍隊が、竜の谷を襲ったって聞きましたけど、祭りなんたして大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。そもそも被害なんてほとんど無いわ。確かに捕らえた勇者を逃がしたのは不覚だったけど、たった百人ちょっとの軍でこの竜の谷に来た事事態、自殺行為なのよ」
確かにそうだな。
それよりも、
「ポルンガ様に会いに行けますか?」
「ええ、でも、竜誕祭の準備の用意で忙しいと思うわ。
竜誕祭まで待ちなさい。あとたったの一月後だから」
1ヶ月後か。
どうしよう?
考えていると、みんなが戻って来た。
「いちじょー。おかーさまと何を話していたの?」
「ポルンガ様にお会いしたいってお願いしてました」
「おじーさま……シャルはいいかな……お留守番してる~」
えっ?恐い人なのか?
そういえば、竜王様やフブキ様が結構気さくな方だから、忘れていたが竜族だもんな。
人間の事を下等生物とか思っていたらどうしよう。
「シャルちゃんはお祖父様の事嫌いなの?」
相楽さんが直球で聞いた。
なんというか……流石です。
「きらいじゃないよ……でも、いっつも、ちゅーしてきたり、ほっぺをくっ付けてきたりするの。あと、シャルの事まだ赤ちゃんだと思ってるの~。
まだ赤ちゃんに喋るような言葉で喋べってくるの~」
……あぁ、そっちでしたか。
「あとね……あんまり人間の事好きじゃないって言ってたの。だからししょー達にしつれーな事を言ったら困るもん」
シャルティア様が困ったように説明してくれる。
うん。
俺達も困った。
そっかぁー、人間は嫌いか。
よし、帰ろう。
「あれ、お義父様って人間嫌ってたかしら?
まぁ、貴方達なら大丈夫よ」
もしもの時は、助けて下さい。