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105話 心臓を下さいな。

「私達は、終焉の日を避ける為にあらゆる手を探した。

 そしてたどり着いた答えが、貴様達だ」


 ミネゴルド王が俺達に向かって宣言する。


「終焉の日を回避する手為の道は一つ。

 まず世界樹を回復させなければおしまいだ。

 世界樹に眠ってらっしゃる、創造神様と神人族を目覚めさせる事だ。

 しかしそうすると、竜神達も目覚めるだろう」


 その為に魔王様と竜王様を殺そうとしていたのか。


「神獣族の子孫達は?」


「長い年月の果てに滅びようとしている。

 繁栄にはとても向かない種族だったのだ。

 それは竜族や魔族も同じだがな。

 実際に……たった今魔族は滅びへの道を辿っている」


 魔王国で今、問題が起きていると言っていたが、その事なのか?


「竜神や魔神を復活させずに、創造神を復活させる。

 その為の貴様だ。エルフの掟を破った男から【知識】を得た。

 お前達勇者、世界樹から生まれていない種族。

 そう、この世界では神人族とお前達だけだ。

 お前達が、世界樹に竜王の心臓と、魔王の心臓を差し出せば、

 創造神様も安心して目覚めて下さるだろう」


 俺達が竜王様達の心臓を差し出す?

 なんて事を言い出すんだ。


「創造神様と神人族が目覚めれば、お前達の役目も完了する。

 そうすれば、元の世界に戻れる。その為の召還の魔法も用意してある」


 元の世界に帰れる……

 でも……


 すたすたと、隣を相楽さんが通りすぎ竜王様の元へ。


 へっ?

 まさか。

 まさかですよね?


「シャルちゃんのお父さん。

 心臓を下さいな」


 ―!?

 言ったよ。この子。


「相楽さん!何を馬鹿な事を言ってるの」


「馬鹿な事じゃ無いよ。だってそうすれば元の世界に帰れるんだよ。

 お父さんやお母さんに会えるんだよ」


 涙を流しながら相楽さんは訴える。

 ……そうだよな。

 俺だって帰りたい。帰りたいけど……


「相楽よ。

 ……すまん。そうしてやりたいが無理なんだ」


「じゃあ……じゃあ、どうしたら良いのよ!」


 周りの生き残った勇者達も泣いている。


 他に方法は無いのか?





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