103話 エルフの掟。
「……終焉の日」
「それで……竜神と魔神と神獣フェンリルは?」
「まだ、封印されている」
「もし、目覚めたら?」
「……この世界は恐らくまた戦の世界になるだろう」
なんて迷惑な話だ。
目覚めない事を祈ろう。
「……竜王様」
「ああ、そのエルフの言っていることは我々竜族に伝わっているのと同じだ。ただひとつ言わせて貰うが、我々は世界を支配するつもりはない」
そうなのか?
良かった。
「本当にそう言えるのか?
もし、竜神が復活しても?」
「もちろんだ。
……もしもの時は我々は竜神様に対して敵対することになる」
「そんな事しなくても、竜神が復活しない方法がある。
それは……竜王アース、貴殿が死ぬ事だ」
竜王様の死?
「竜王アース。
貴殿は竜神アースガルドの末裔なのだろう。
竜神が復活するには、貴殿の肉体を必要とする。
そうなのだろう?」
「……」
竜王様が竜神の末裔なら、
魔王は魔神の末裔なのだろう。
だからミネゴルド王は二人の心臓を欲していたのか。
「私の心臓はやれん」
「世界より、自分の命が惜しいのか?」
「……そうではない」
俺なら間違いなく差し出さない。
「娘、シャルティアの事だろう?」
「!?」
「竜王が死んでも娘のシャルティアの体に復活するかもしれない。
いや、するだろう。
性別なんて竜神は気にしない」
「ただいつ復活するのかわからない。
明日復活するかもしれないし、何年、何十年、何百年先かも知れない。
それなのにミネゴルド王、何故急に行動に移したのだ?」
確かにそうだ。
「私が進言したのだ」
エルフ族の男が出てきた。
「私は……掟を破り、ミネゴルド王に進言したのだ。
終焉の日が近付いていることを」
エルフの掟とは?