100話 9つの種族。
何故勇者だけが祝福を貰えるのか。
不思議とは思ったが深くは考えた事はなかった。
ただそういうものとばかり思っていた。
「勇者とは救世主。
この世界を救うための存在だ」
この世界を救う?
ミネゴルド王がおとなしくしとけば、平和なんじゃ……?
「このままでは人間は滅びる。
竜族、魔族のどちらかに、いや両方に滅ぼされるだろう」
「そんな事はない!」
竜王様がはっきりと言う。
「竜王アース。貴殿も知ってるるはずだ。
予言を」
予言?
どんな予言だ?
「あんなのは迷信だ。王がそんな迷信を信じてどうする」
「迷信?本当にそう思っているのか?
では、あの世界樹の様子はどう説明する?
葉は半分以上枯れ果て、幹は萎んでいく」
竜王様の反応を見ると本当のようだ。
「勇者よ。この世界は人族。魔族。竜族の三種族の力が拮抗して成り立っている。そう、教えられなかったか?」
確かに聞いた事がある。
「では、それ以外の種族はどう説明する?
妖精族。エルフ族。魔物族。神獣族。獣人族。
これらの種族はどこから生まれたと思う。
そう、世界樹だ」
人族、竜族、魔族を合わせて8種族。
「そしてあと一種族【神人族】失われた種族だ。
お前達勇者は救世主。
失われた【神人族】の代わりとしてこの世界に呼ばれたのだ」
???
ヤバい、思考が追い付かない。
隣の相楽さんはキラキラしている。
こんな話好きなのか?
「【神人族】を頂点にその他の8種族が支えていく。
これが本当のこの世界の秩序なのだ」
神人族?
救世主?
「この世界の創造神は今とても弱ってらっしゃる。
それは、竜神、魔神、フェンリルの攻撃を受けたからだ」
魔神?
竜神?
フェンリル?
「魔神とは最初の魔族であり、魔族の神だ。
竜神とは最初の竜族であり、竜族の神だ。
そしてフェンリルとは、最初の神獣族であり、神獣族の神だ」
創造神と魔神、竜神、神獣族の抗争ってことか?
どうして?
「予言を知る前に、少し昔話を知っていた方が良いだろう」
ミネゴルド王の後ろから一人の男が出てきた。
風貌からいって、エルフ族か?
「見ての通り、俺はエルフ族だ。
昔話を語るには最適な種族だろう」
そう言ってエルフ族の男は昔話を始めた。
おかげさまで100話!
ほぼ毎日更新して来れました(*´∀`)
それも皆様のおかげです。
これからも宜しくお願いします。
作者より。