99話 世界樹の欠片。
数人の護衛を引き連れ出てきたミネゴルド王。
そのうち二人は恐らく勇者だと思う。
「逃げずに出てきたか」
珍しく、ミネゴルド王はあの気持ち悪い笑みを浮かべていない。
今回は流石にかなり追い詰められている様子だな。
「ミネゴルド王よ。
今度こそ終わりだ。今後のお前の態度次第では、命までは取りはしない」
竜王様がミネゴルドに投降するように投げ掛ける。
もう、誰が見ても竜族の勝ちだろう。
まぁ、正確にいうと、竜族+ドワーフ+オタク連合なのだが。
ミネゴルド王は、竜王様の問いかけには答えずに俺の方を見据える。
「お前は、……確か一条とか言ったな。
何故あの時、無能と嘘をついたのだ?」
俺達がこの世界にやって来た、最初の日の事だ。
「嘘などついていません。
確かに俺の祝福は表示されていました。
他の人に見えていなかっただけです。
あの板の調子が悪かっただけなのでは?」
ミネゴルド王の問いかけに素直に答える。
俺は今でも不思議に思っている。
何故、俺と相楽さんだけ祝福が表示されなかったのかを。
「見えなかった?
あり得ん。
祝福を授かっていて見えないなど、ありえん。
あの板は、世界樹の木の欠片なのだ」
世界樹の木ってあれだよな。
ファンタジー小説やゲームで良く出てくるあれだよな?
「世界樹の木は、我ら人族。そして魔族、竜族が誕生する前からこの地にあったと言われており、おそらく、我らを生み出したのも世界樹。
つまり、神の化身なのだぞ」
そうなのか?
隣の竜王様の様子を見ても、その通りのようだ。
その世界樹の欠片が、あの木板。
「その世界樹の欠片が勇者の祝福を代々、神の代わりに示してきたのじゃ。その世界樹の木が間違う訳などありえん」
間違っていない。
確かに表示された。
問題があったのは見えなかった事だ。
何故なんだ?
「何故、お前は勇者達だけが祝福を貰えると考えた事はないか?
それはな……」
ミネゴルド王が俺達の気になっていた事。
そして何故俺達がこの世界に召喚させたのかを話し出した。
俺はずっと魔族を滅ぼす為だけに召喚されたと思っていたが、それだけではなかったみたいだ。
次回遂に100話!
しかし、次回の100話の話から死ぬほど心配な内容です。
ほのぼのではない話が、数話程続きます。
正直まだ迷っていて違う展開にしようか考え中……いや、このまま行きます!
頑張りますのでお付き合いよろしくお願いします。
なお、クライマックスっぽいですが、まだまだ続きます。
竜の谷編。
魔王国編。
???編。




