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夢のような  作者: pipi
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はじまり。

いちゃいちゃはほぼ無いでしょう(予言)

冷めてる可愛くない女 vs うっかり好きになっちゃった男




私の一日が始まる。


もう三年も経つと見慣れた小さいクローゼット。そこから、いつも通り、落ち着いた色合いのメイド服に着替える。

此処に来たばかりの頃は、肩につくぐらいだった髪の毛も、今ではだいぶ伸びた。

その髪を乱れないようにきっちりと結び、身だしなみを整える。



「おはよう。」


「おはよう。」


「今日は玄関の掃除当番よ。行きましょ。」


「私達は、洗濯ね。じゃあ、またあとで!」



こうして、朝を迎える。


仕事をして、朝御飯をメイド達と食べて、また仕事。

夜に同じ住み込みのメイド達と束の間の自由時間に沢山お喋りをして、そうして一日が終わる。


私の生活は、まさにメイドである。


このような一日を送るようになったのには、約五年前のある日から説明しなければならない。







ーーー約五年前、私は気がついたら知らない世界にいた。


高校からの帰り道、自転車で坂道を降っていた時。

横から急に人が出てきて……。

ハンドルを本能的に急に横にした結果、私は自転車のまま転び、地面に体を打ち付ける。


……筈だった。


気がつけば、私はよく知らない、さっきまでいた場所とは全く違う道にいた。



それが、此処……アルペジオ王国である。


今のメイドの職に就くまで、非常に様々な試練や絶望があった。



言葉も喋れなく、文字も書けず、勿論のこと知っている人など一人もいない、よく分からない場所。

そんな底辺から私はやっとの思いで、メイドという地位を得たのである。

身分さえも怪しい私は、正直行動をひとつでも間違えていれば、死んでいてもおかしくなかった。


色々な幸運があった結果、私は奇跡的に奴隷にならずに、メイドとしてオーラル伯爵家に仕えることが出来た。



オーラル家に仕えて、もう三年。


今年でもう二十二歳になるが、立派な嫁ぎ遅れである。(同じメイド達は、皆可愛くて優しい年下ばかりで、同い年はいない。)


そして、日本へ帰る手段もない。色々と調べているが、この世界は日本と同じく、都市伝説程度に異世界が囁かれているのみである。魔法やら、タイムワープなどはない。


定期的に、結婚しないのかと言われることもあるが、家族なし、未婚、ついでに言うなれば異世界の者という、とんでもない物件を嫁にする人もいないだろう。


そんな訳で、私は、結婚も日本へ帰ることも諦めているのだ。




しかし、メイドとして働けるだけで、私はとても幸せを感じている。

もしかしたら、奴隷になっていたかもしれない、あの頃が記憶にある限り、私にとって伯爵家で働けるのは天国とも言える。



メイドは皆、早々に結婚するため、入れ替わりが激しい。


その中で長く働いている私は、メイド長から信頼を頂けているし、この際ずっとオーラル家様々に仕える所存である。



夜、布団に入りながら、つらつらと今までの事を走馬灯のように思い出す。

あぁ、良かった。今が今で。


明日もまた同じ一日だ。

そう思いながら、私は見慣れた部屋で就寝した。






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