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くーまんとソーメン。

 結局、時計の短針が真上を向くまで愛の確認作業をしてしまった。めったに使わないキッチンで遅い朝飯を用意していると、


「夏はやっぱりソーメン。しかし、北国の夏は春と変わらないため、温かいツユを所望」


 と言いながらお椀を出してくるくーまん。


「春と変わらない気温なのに、いつまで全裸でいるんだ?」

「新妻の基本その一、いつでも旦那を受け入れられる体制を作っておくべし」

「そうか、そういうのはソーメンを茹でられるようになってから言ってくれ」


 ソーメンを束にしている紐も解けないくーまんに新妻の資格は無い。更に、鍋に水を入れたら持ち上げられない貧弱ぷりは、どれだけ両親に甘えて甘やかされてきたのか……と思うしかない。

 間違いなく、大切な娘が三一歳のおっさんと身体で愛を語らったと聞いたら激怒するだろう。殴られる覚悟はしといた方がいいな。


 完成したソーメンとツユをリビングのテーブルへ持って行き、二人でいただきますをすると、俺はリモコンをテレビに向けてニュース番組にチャンネルを変える。

 職業柄、人間性を見ながら会話を広げるため、ニュースや新聞から得られる情報は疎かにできない。それは作家でも同じく、文章を書く時間以外は情報というネタを探さないと低迷してしまうため、くーまんもソーメンをちゅるちゅるちゅるんとすすりながら真剣な顔で……、


 ちゅるん?


 くーまんの食べ姿は姿勢良く、箸の持ち方も綺麗、器を持つ左手も上品で両親からの教育の良さが伺える。だが、


「おい、ちゅるんちゅるんしすぎて、ツユが飛び散ってるだろ。顔と上半身がえらいことになってるぞ」

「愛撫希望」

「ワザとかよ。……さっきいっぱいしただろ、食べたら風呂に入れよ」

「一緒に入りたい……」


 …………うん、まぁ、アレだ、可愛いなおいっ!


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