くーまんとの初夜は……。
「………………ん?」
「Zzz……Zzz……Zzz」
どういう事だ?
見覚えのある天井、隣で寝ている見覚えのある女はくーまん。
ここは俺のマンションで、寝室。
「!」
胸騒ぎがして布団をめくると、俺もくーまんも全裸。
——うおおっとお!?
——待て待て、冷静になれ俺!
昨日は、くーまんとスーパーから自宅に戻って……リビングで焼肉パーティ。
そのまま二人で執筆し、飽きて携帯ゲーム。
作家仲間に俺とくーまんが会っていることを報告し、晩食は宅配ピザ。
俺はピザをつまみにビールを飲み、酒を飲めないくーまんは王道のコーラを片手にピザを食べていた。
くーまんの泊まる場所は俺の家という話をしていたため、ホテルの予約はしていない、とくーまんは言い、そういえば男だと勘違いしてたんだったなぁ、と笑い話になった。
その後は、録画してあった深夜アニメを二人で見て……んっ?
ちょっと待て、深夜アニメはリビングのテレビではなく寝室のテレビで録画してある。そしてこの時、俺とくーまんは布団の上、まさにここだ。
——そうだ、思い出した……。
いつもより酒を飲みすぎて酔っている俺に、いつの間にか全裸になっていたくーまんが甘えてきて……。
俺はもう一度布団をめくり、確証を得るために記憶にあるシーツのシミを確認する。
シーツには、
処女の血を存分に味わった確証が、
あった。
「…………まぁいいか。くーまんは二三歳だし。よし、三一歳遊さんは朝から元気だ! くーまん、いただきますぁぁぁぁぁす」
と、途切れ途切れになっている記憶のピースを埋めるように、眠っているくーまんにルパンダイブ。朝から元気いっぱいに勤しむわけだが————
『わたしは男性作家の体内から排出されるエナジーを体内に入れることで、その作家の固有スキルを取得することができる』
というくーまん節を思い出し、記憶のピースがピタとハマる。そして、事後にまったりとしている時、強い眠気が襲ってきて……、
『一八歳の嫁の身体はどうだった?」
と言われ、眠気が強くて驚くこともしなかった俺は、くーまんのちっぱいに顔を押し付けて、
『最高だ』
………………
…………
……
「何してんだ俺はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
朝からくーまんを強く抱きしめている最中に思い出した驚愕の事実。
「くーまん、お前、マジで十八か!?」
「……っ、昨晩は二回……これで三回目……十八歳ひきこもりの嫁にはキツい愛の確認作業……でも……大丈夫! わたし本気出すし!」
「本気出すな! つか、あの保険証は偽造か!?」
「姉の……っ、を……っ」
「…………」
甘い声を出すのを我慢して会話しようとするくーまん……可愛いなおいっ!
「とりあえず最後まで……」
遊さんは諦めが早く、遊さんの遊さんは元気いっぱい。それならば、折り合いのつけ方を考えるのが遊さん。これはお互いのためなのだ。
愛の確認作業中に考えなければならないのは、親への謝罪、作家仲間へ露見しないようにするための口止め、青少年育成条例からの犯罪性の有無などなど。
「くーまん。俺の事を好きなのか?」
「好きを……超越。すでに……わたしは遊ちゃんの……嫁」
まずは、愛の確認作業へ俺が誘導したわけではない事実から——全裸になったくーまんから甘えてきた——俺がくーまんのこの気持ちを受け入れさえすれば、お互いの了承は成立し、現在も愛の確認作業中なので了承になるとは思うが、何はともあれ青少年育成条例は……グレーつか、ブラックだっつの!
次に確認しないとならないのは、
「くーまんの両親に会えるか?」
「両家への挨拶は……常識」
うん。くーまんにその辺の常識があったのは驚くべきことだが、今は大助かりだ。結婚を前提にした両家への挨拶と勘違いしているところ悪いが、今回は謝罪だ。
「俺の親は他界しているし親戚付き合いもしていないから、くーまんの両親にだけ挨拶しに行く」
「天涯孤独……唯我独尊」
「天涯孤独は間違いないが、俺がいつ自惚れた? 作家が唯我独尊の使い方を間違えるな」
「わたしは……三度目という過酷な……愛の確認作業……でも……まだイッてない」
「ほお、昨日まで処女だったガキが何をほざいているのやら」
とりあえず愛の確認作業中では考えがまとまらない。何より……マジで可愛いなおいっ!
愛の確認作業に集中だ、おいっ!