E N D 【少女の思想】
「来るな」
「お前なんか要らないよ」
「ねぇっ。わたしぃ、梅有にっ」
「またやったのか、杏。いい加減にしろ」
ねぇ、何であの子に惑わされちゃうの?何であの子について行っちゃうの?
衝撃がはしる。体にも、心にも。
少女は考える。この世のことを考える。私の存在を考える。私の人生を考える。何年も、何年も考えて。私の中の私が考えて。
暴言を被りながらも考えて。消えようとかも考えて。
私は漫画の主人公なんかじゃないわ。少女漫画の主人公はこんな生活を送るの。
─ある日、悪女が現れました。すると、皆がその子に惑わされ、洗脳されました。
主人公の女の子は悪者扱いされて、見捨てられました。
少しして、屋上に呼ばれると、カッターキャーなるものがはじまりました。主人公はもっと見捨てられました。そこに主人公を信じる子がでてきました。
その子が皆の洗脳をときました。悪女は捨てられ、主人公は元の生活に戻りました。ハッピーエンド───
可笑しいわよ。こんなになるわけ無いじゃない。見捨てられるとこまでは同じだけどね。
少女は復讐なるものを考えた。いつの間にか少女は悪女になってしまっていた。
でも、こんなことになろうとは、少女も思っていなかった。
「お前らは此奴がどんなに苦しかったか、わかんねえのか!?」
けたたましいアラーム音がなった。
梅有杏那の部屋に、淡い光が差し込む。やけに静かな空間にアラーム音だけが響いていた。
学校に行きたくないようで、布団からはいっこうに出てこない。
「誰にも信用されないくらいなら行かない方がましよ」頬に涙跡を残し、布団に潜ってしまった。
彼女は何を思い、何を考えているのか、それは彼女にしか分からない。
助けてって言えない少女。
心に秘めて出せない少女。
迷惑を掛けたくない。
そんなココロ優しい少女。
そんな少女は闇を秘めている。
傷付くのは私だけで良いって。