最初のサブタイトルを凝ったものにすると後に苦労する
キーワードは徐々に追加していこうと思います。
私はつい先日高校を卒業したのだが、今思うといろいろあったようで空っぽの青春を送ったと思う。そんな一人のしがない男の日常を綴ったものが此方だ。何故私が今筆を執ろうとしたのかは自分でも確かではないが、過去へのケジメをつける為かもしれない。決して煌びやかな青春を送れたわけではない悔いを、言葉に記すことで己の内にある膿を取り除こうというのか。
高校時代不毛な学園生活を送ったという人、あるいは現在進行形で送っている人は共感を得られるのでは無いだろうか、不幸にも。
急だが、高校に上がる前の春休みというのは非常に大事な時期である。高校で離ればなれになる友達とここぞとばかりに遊びふけったり、Twitterで人間関係の構築に走ったり、休みだというのにアクティブになる面々が多い印象だ。
一方私はどっぷりとインドアな趣味に走り、申し訳程度に青春もののアニメを見て高校生活への期待で胸を満たしていた。そんな時であったか、私が一冊の本に出合ったのは。
タイトルをここで言うのは憚れるが、あらすじを述べると、主人公は比較的友達が少ないにも関わらず、異性から様々なアプローチを受けるというありきたりな内容だ。だが、当時十五才を遅生まれながら迎えていた私は純粋であった。故にいとも容易く染められていったのである。洗っても落ちない灰色に。
その本はシリーズ構成であったため、その内容に惹かれた私はすぐになけなしの小遣いをはたいて全巻を揃えた。その時は、華やかな高校生活への階段をせっせっと作っているのだと幸福感に包まれていただろうし、今でもそう信じていたことを覚えている。
それからというもの、異性間の交流に乏しかった私は頭の中で何度も思考を練っていた。いかにあの主人公のように薔薇色の青春をおくれるのかと。聡明な私のことである。答えはすぐに出た。求められているのは男友達の欠如である。主人公に対し複数の女性が言い寄るような物語では、そいつに同性の友人がほぼいなかったのだ。
下手に漫画の設定を現実に落とし込もうとするから、こんなとんでも理論が生まれるのだ。もう少し考えれば、商業的な思惑や物語の展開で邪魔になるから登場させないだけだと分かりそうなものだが。勿論そんな事は露にも思わず、己の慧眼にすっかり脱帽した私はこれ以上考えるのを止め、残りの春休みを怠惰に過ごした。
以上が、己の妄想と他人の空想を織り交ぜ、夢想を続ける底なしの阿呆が生まれた経緯である。月並みにいうなら、誰かこの時の私をぶん殴って欲しいものだ。