30愛の告白(ノリン編)
ノリンは、やっと人質事件と隣国との戦争未遂事件を解決して、フラフラで部屋に帰ってきた。
今、思い出しても、ひやひやの連続だった。
ミワと人質たちを無事解放させた、その瞬間に、かねてより、連絡を取り合っていた、敵国の和平推進派と協力して、双方で黒幕たちを、同時に捕縛したのだ。
連絡は、大塚財閥とダヴェンポート財閥の力を借りて、ひそかに緊密な連絡を取り合った。
おかげで、後顧の憂いとなるような、取り逃がしも起こらなかった。
ある意味、百点満点の出来だ。
だが、そのおかげで、いまの今まで、不眠不休で、働くはめに陥った。
なので、さすがのノリンも、部屋に入るなら、玄関で倒れそうになる。
一瞬、気を失いそうになった所で、ふと気がづく。
なんで、誰もいないはずの、この部屋に、カレーの匂いが漂ってるの?
もしかして、何日も前から、自動調理器のリモートスイッチを押したままだった?
ノリンは、重い足を引きずって、ドア傍に、靴を脱ぎ捨てると、キッチンに入った。
「やあ、やっとご帰還だね、ノリン。」
そこには、元夫がノリンのふりふりエプロンを着て、お玉を持って、そこにいた。
やばい、疲れすぎて、幻覚を見てるようだ。
ノリンはその場で、ズルズルと頽れそうになった。
それを、駆けつけた、広明に支えられる。
「ノリン、いくら疲れているからって、キッチンで寝ようとしないで。」
広明はそう言うと、ノリンをお姫様抱っこすると、寝室に連れていく。
「広明、なんでここにいるの?」
「今は、寝て。起きたら話そう、ノリン。」
ノリンの呟きを聞き流すと、ベットの傍にノリンを降ろした。
「やだ。起きたら、もう広明に会えない。」
ノリンは、駄々っ子のように、広明の来ている洋服を掴むと、ベッドに入るのを拒否した。
「ノリン!」
広明は自分に縋りついてきたノリンを優しく抱きしめると、キスをした。
「安心して眠って、ノリン。僕は君が、起きてきても、消えないよ。」
「うそよ。いつも目が覚めるといないもの。」
ノリンの悲痛な叫び声を聞いて、広明はノリンの前で、いきなり服を脱ぎ始める。
「あれ、広明、欲求不満なの?」
「そうだね。でもこれなら、すぐに部屋から出られないでしょう。そら、おいで、ノリン。」
ノリンは、手を広げて待っている、彼の胸に飛び込んだ。
「広明、すごい。なんだか、本物の感触がする。」
ノリンが広明の胸を撫で、さらに、割れた腹筋に手を伸ばす。
「ノリン、それ以上撫でまわすと、流石に僕も、我慢出来ないんだけど。」
広明は怒鳴るように、言葉を投げつけた。
「別に、我慢する必要ないよ、広明。今でも私、広明を愛しているもの。」
ノリンは疲れで、思わず本音をそのまま吐露していた。
「ノリン。君は本当に、いつも僕の想像のはるか上を行くね。僕は君が帰ってくるまで、どうやって君に、許しを貰おうか、必死になって、考えていたのに。」
「なんで、許しが必要なの? 私は今でも、広明が一番好きなのに。」
「朝になって、”夢だと思ってた”の言葉は、聞かないよ。悪いのは、ノリンだからね。」
広明は、そう言うと、ノリンの来ていた服をあっという間に、全て剥ぎ取った。
「広明?」
ノリンは不安そうな目で、彼を見つめる。
「ノリン、君を女として、愛してるよ。」
広明はそう言うと、ノリンをベットに放り投げて、そのまま彼女にのし掛かった。
翌朝、目が覚めて、正気に戻ったノリンは、昨晩の情事で、ベッドから一歩も動けなかった。
「おはよう、ノリン。」
さわやかな笑顔で広明がベッド中からノリンを見つめている。
「広明!なんでここにいるの?」
「昨日こと、憶えてない?」
広明に問いかけられて、ノリンは真っ赤になった。
「昨日、僕としては、結構頑張ったんだけど、まだ不十分だった。」
不安そうな顔で、ノリンに問いかけた。
「えっ、あの・・・。」
広明は戸惑っているノリンに、もう一度圧し掛かる。
「あのー、広明?」
「大丈夫。ノリンが信じてくれるまで、何度でも愛し合おうね。」
広明は、さわやかな笑顔で、ノリンに微笑んだ。
夕方ノリンは、信じるから、枯れた声で懇願して、やっと彼に解放してもらった。
ちなみに、広明、特性の絶品料理は、動けなかったので、ベッドの上で、食べることになった。




