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28愛の告白

 ミワは、迎えにきていた宇宙船に、ジャックが操るライダーごと収容された。

 すぐ隣では、怒鳴り合うヨウたちも、彼らとともに、宇宙船に収容される。


「ミワ。」

 ライダーから降りた途端、ネネに抱き付かれた。


「ごめん、ネネ。」


「本当よ。許さないと言いたいところだけど、おかげで七割は得したから、七割分だけ許してあげる。あとの三割は、貸しだから、なんかで返してね。」

 悪い笑顔のネネにだじろぎながら、ミワは曖昧に笑った。


 何か知らないけど、怖い。

 でも、七割得をしたって、何をしたのネネ。

 なんかこの件も聞くのが、怖いことのような気がする。

 なので、賢いミワは、聞かなかったことにした。


「無事でよかったね、ミワちゃん。」


「ありがとうございます。」

 ミワは会ったことがない人に、突然言われて、戸惑った。

 ふと見ると、ネネが説明してくれた。

「ミワが大好きな高宮(たかみや広明ひろあき)さんよ。」


 その説明にミワが、目を大きく見開いた。

「えっ、ヒロアキって、まさか伝説の整備士と言われる広明様?」


「伝説って、よく言われるけど、それほどでもないよ、僕は。」


 キャー


 感嘆の叫び声をあげながら、ミワは広明に抱き付いた。

「私、あなたのファンなんです。ぜひぜひ、握手をお願いします。」

 ミワは、ネネを押しのけて、広明に迫った。


「僕で、よければ。」

 広明は、ミワに手を差し出した。


 彼女は、差し出された手をブンブン振って、喜びを顕わにした。


「いい加減、叔父さんから離れろよ、ミワ。」

 見かねた俊介が、ミワに声をかけた。


「えっ、伝説の整備士って、俊介の叔父さんだったの?」


「そうだよ。でも、よかったな、ミワ。無事で。」

 俊介が軽く、ミワに抱擁すると離れた。


「ありがとう、俊介、それに伸。」


「無事でよかったね、ミワ。」

 伸も俊介の隣から声をかけ、ミワを軽くハグして離した。


「大丈夫だったか、ミワ?」

 また見たこともない男の人から声をかけられ、ミワはなんでか、硬直した。


 誰、この人?


 ミワの様子に、かなり落胆しているようだ。


「俺を憶えていないのか?」

 この質問に、ミワは素直に頷いた。


「しょうがないよ。」

 広明がミワをフォローした。


「いや、しょうがなくないだろ。俺はミワの実父だぞ。」

 大は広明に向き直ると、いきなり食ってかかる。


「お前はいいよ。感激されて、あんなに喜ばれたんだから、なのに、俺には何もないのは、不公平だ。」


「それは、今までの君の行動から来てるんだから、何か言うのは、間違ってるよ。」

 大の大人げない言動を、弘明が説教して黙らした。


 そこに、ミワが大の袖を掴んで、オズオズと謝罪した。

「ごめんなさい、お父さん。今日は助けてくれて、ありがとう。」


「ミワ!!!」

 大は、ミワの感謝の言葉に舞い上がった。


 やってて良かった、父親。

 娘に感謝されるのが、こんなに嬉しいなんて、知らなかった。


 大が大いに感動しているうちに、ミワはジャックに呼ばれた。

「ミワ、少しいいか?」

 ミワが頷くとジャックが、その部屋からミワを連れ出した。


「ジャック、どこに行くの?」

 ジャックは、長い通路をいくつか曲がると、その先の小部屋に、ミワを連れ込んだ。


「ジャック?」

 ミワが怪訝な顔で、ジャックを見ると、彼に、いきなり抱きしめられて、深く口づけられる。


「ジャッ・・・ク・・・あっ・・・ああん。」


「ミワがいなくなって、気が狂うかと思ったんだぞ。」

 ジャックが攻めるようなキスを止めて、ミワを軽く睨む。


「ごめんなさい。」


「いいか、今度何か困ったことがあったら、俺に相談しろ。」


「うん、でも・・・。」


「でも?」


「あれからずっと、連絡がなかったから、もう私のことは、何とも思っていないのかと・・・。」


「そんなこと、あるわけないだろ。あの後、連絡を入れられなかったのは、ネネとの婚約がなくなって、いろいろダヴェンポート関係の仕事が入って、身動きできなかったからなんだ。でもそれがミワを不安にしたんだな。今度からは毎日でも、連絡するよ。」


 ミワは思わずだじろいだ。

「いや、毎日はいくらなんでも・・・。」


 ミワの拒絶に、ジャックが眉を寄せた。

「そうか、もっと、俺がミワを愛している証が必要か。」


 いや、そんなこと一言も・・・。


 気がつくとジャックに、近くにあった簡易用のベッドに押し倒されていた。


 なんでここに、ベットがあるの?


 ミワが唖然としているうちに、ジャックに覆い被さられた。


「あの・・・ジャック。」


「大丈夫だ、優しくするから。」

 いい笑顔で宣言された。


 いやー、あのー、何を優しくするんでしょうか。

 いや、不味いって、ここでは・・・。

「あの、まだ他の人・・・。」


 ジャックにキスされて、最後まで言えなかった。


 結局ミワは、そのまま、その部屋に宇宙船が自国に戻るまで拘束され、ジャックの気が済むまで、抱き潰された。


「あれ、ミワは?」

 大が正気に戻ってミワがいないのに気づいて、広明に問いかけた。


「さっき、ジャックに連れていかれたぞ。」


「なんだとぉー。許さん!」

 広い発着場に、大の怒鳴り声が響き渡った。

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