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20最強コンビ

 ノリンは、おおよその作戦を立て終わると、将軍の部屋を尋ね、作戦の概要を説明して、了承をもらう。

 ちなみに、禿くそ親父のボサノバを、レイラに籠絡してもらう件は、暗に将軍には伏せた。

 変に嫉妬されて、作戦を滞らされても困る。


 いっちゃ悪いが、平時は、役に立つが、戦時下はやはり、弘明や大たちの方が、リーダーには、ふさわしい。

 今回の作戦もレイラの夫が大だったら、ノリンは、迷わず、作戦内容を全部話していた。

 ジェームスには、無理だ。

 レイラの夫が大なら、とノリンは思わずには、いられなかった。


 ノリンはそう思いながら、ジェームスに、レイラの様子を見てきたいので、という理由で、今日は早々と基地を後にした。


 そして、すぐにレイラがいる将軍の屋敷に向かう。


 途中、娘のバイオレットに連絡して、今そっちに向かっていることを、レイラに知らせて貰った。


 ノリンは、街の景色をぼんやり見ながら、レイラがいる将軍の屋敷に向かった。

 気がつくと、いつのまにか、シティーカーは、屋敷に着いていた。


 ノリンが降りると、屋敷から娘のバイオレットが駆け出してきた。

「お母様!」

「バイオレット。」

 ノリンが、抱き付いてきた娘を、びっくりした顔で受け止めた。


「よかった。待っていたんです。」

「遅くなって、ごめんなさい。レイラはいる?」

「はい、居間でお待ちです。」

 ノリンは、娘と連れだって、レイラの屋敷に入った。


 すぐに執事ロボットがよって来て、居間に案内してくれた。

 居間に入ると、レイラが立ち上がって、こちらに歩いてきた。


 女王のようなオーラが、彼女から立ち上って見えた。

 私は頷くと、レイラに作戦を話すためにも、彼女以外、全員を居間から追い出そうとした。


「いやよ。私はお母様と一緒にいるわ。」

 末の娘のティアが愚図るが、長男のウィリアムに説得されて、最後は、居間から出て行ってくれた。


 私は、レイラに勧められて、紅茶をいただくと、作戦内容を説明した。

 レイラは余裕の笑みを見せた。


「大丈夫よ。あれくらいの小物なら、私が手の上で、踊らせて見せるから。」

 レイラはそう言って、紅茶に口を付けたが、少し顔を曇らせる。


 すぐにノリンは、レイラが顔を曇らせた訳を言い当てた。

「将軍のことなら、私がなんとか抑えるから、大丈夫よ。」


 私の一言で、レイラは顔を上げた。

「なら、まかせて頂戴。でも、きっかけは、どうすればいいの?」

「大丈夫、そこも私が誘いだすから、問題ないわ。レイラは、いつも通り、大女優として、そこにいてくれれば、いいから。」

 レイラは、ノリンに笑いかけた。


「わかったわ。じゃ、そこはノリンにまかすわね。」

 レイラは、そう言った後、羨ましそうに、ノリンを見た。


 ノリンがレイラの視線に気がついて、手に持っていた紅茶を置いた。

「私、広明に抱き付いたあなたを見て、羨ましいと思ったの。」

 彼女は、顔を伏せた。


「レイラ?」

「だって、本当は私も、大に抱き付きたかったんですもの。でも、私にはできなかった。」

 レイラは、ポツリと呟いた。


 ノリンはそのまま、席を立った。

「ごめんなさい。こんなことを言って・・・。」


 ノリンは、彼女に背を向けると、言い捨てた。

「レイラ、昔、大が言っていたわ。女で一番大事なのは、ノリンだって。」

 びっくりした顔で、レイラがノリンを見た。

「えっ、でも、大は広明だって、私に言って・・・。」


 レイラの声をノリンが遮った。

「私が弘明と別れたのは、彼が、あなたを女として好きだって、言ったからよ。私は、いつまでたっても、彼の幼馴染として大事なだけだから・・・。だから、私は逆に、それに耐えられなくなったの。」

 ノリンは、それだけ言うと、レイラの屋敷を後にした。


 レイラがその後、どうするのかを、聞きたくなくて、・・・。


「結局、私は、いつまでたっても、臆病なのよね。」

 レイラは、独り言を言うと、娘のバイオレットに会わずに、さっき乗って来た、シティーカーに乗り込むと、将軍の屋敷を後にした。

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