17現役女優 レイラ・オーランドの回想3
大と弘明は、それから何度も、同じやり取りを繰り返した。
その度に弘明が大を振り、ノリンが呆れ顔で溜息をついて、レイラが最後に、彼を引っ張って帰る。
これを四年間、毎日四人は日課のように、繰り返した後、卒業式を迎えた。
そして、大学を卒業すると同時に、弘明は軍の整備部門に、ノリンはライダー部門に志願してしまった。
流石に大は、親兄弟の反対に会い、弘明と同じように、すぐに軍に行くことは、出来なかった。
それもあり、レイラは、大学を卒業後、実家の仕事の手伝いの為、化粧品部門のモデルをやることになった。
大も最初は、兄の仕事を手伝う傍ら、プロのライダー選手として、華々しく活躍していた。
「大!」
レイラは、大がプロリーグで試合に出るたびに、モデルの仕事を早く切り上げて、必ず彼の応援にかけつけた。
おかげで、大手の雑誌記者には、何度も大の恋人として、紙面を飾っている。
大はいやそうにしていたが、レイラは逆にそう言われると、内心、嬉しくて仕方なかった。
今日も大のプロリーグ最終試合に駆けつけて、彼が着替えて出てくるのを待っているところだった。
「大!」
「レイラ。今日は撮影だったんじゃなかったのか?」
「大丈夫。もう終わったわ。」
「終わったね。終わらせたの間違いじゃないのか?」
大は、腕に抱き付いてきたレイラに溜息をついた。
「うそじゃないわ。いつも以上に、頑張ったんだから。」
「わかったよ。ちょうどこの後、祝賀会があるから、そっちに行くか?」
レイラは本当に嬉しそうに頷いた。
「もちろん。」
大とレイラは、シティーカーに乗って、祝勝会会場であるホテルに向かった。
祝勝会会場は、中心地のセンターホテルで行われた。
レイラと大は、ホテルの部屋で洋服を着替えると、そのまま会場に入った。
会場は各界の有名人で賑わっていた。
「大、今大会も大活躍だったようで、私としては、鼻が高いよ。」
大が所属するチームオーナーが満面笑みで、近づいて来た。
「ありがとうございます。」
「それに、右手には、美人の恋人がいて、本当に君は、男のロマンそのものだね。うらやましいぞ。」
「はぁ。」
大の溜息は、隣でニッコリ微笑んだレイラに、腕を抓られ、途中で遮られた。
「おい、レイラ、何も抓ることはないだろ。」
「もうちょっと、愛想よくしなさいよ、大!」
「はっ、愛想よくだと、そんなの無理だ。」
二人がこそこそ話していると、チームオーナーは、さもありなんとにんまりすると、うんうん頷いて、大を解放してくれた。
「そうだな。二人だけがいいよなぁ。私は、この辺りで退散するが、来期も活躍を期待しているよ。それと二人の結婚式には、ぜひ呼んでくれたまえ。」
チームオーナーはそれだけ言うと、他の選手に声をかけるべく、どこかに歩いていった。
「やれやれ。」
大のボヤキを聞いたレイラが、ちょっとしかった。
「大、仮にもあなたが所属しるチームのオーナーなのよ。いい加減にしなさいよ。」
「わかったよ。それより俺は、疲れたんで、この辺で退散する。」
大はそう言うと、出口に向かった。
「ちょっと、待って、大。」
レイラは大に追いつくと、腕をギュッとつかんだ。
「おい、いくらなんでも、しがみつき過ぎだ。」
大がレイラの胸が当たっている腕を引き抜こうとして、彼女に、さらに抱き付かれた。
大は諦めると、そこからシティーカーを拾い、レイラの屋敷にむかった。
シティーカーは順調に、レイラの屋敷に向かっている。
もうすぐ着くというその時、シティーカーからいきなり緊急情報が流れた。
なんでも弘明とノリンの乗った戦艦が、隣も惑星付近で、交戦状態に入ったようだ。
それまでゆったりしていた大が、大慌てで起き上がると、カードを取り出して、情報を検索する。
調べても情報が錯綜していて、状況が全くつかめなかった。
ただし、どの情報元も、戦艦が何らかの形で撃、沈されたのではないかと、流していた。
「くそっ。」
気がつくとシティーカーは、レイラの屋敷についていた。
「レイラ、降りろ!」
大の口調に、不安になったレイラは、それを拒否した。
「いやよ。降りない。」
大が怖い顔で、レイラに命令した。
「いいから降りろ、レイラ。このまま俺といると、どうなるかわからないぞ。」
大がイラッとした声で、怒鳴る。
レイラは震えながらも、その大の言葉を無視した。
「いやっ。」
大は溜息をつくと、シティーカーを今度は、歓楽街に向かわせた。
すぐに、シティーカーは歓楽街につく。
「レイラ、お前は、このまま帰れ。」
大がシティーカーから降りながら、そうレイラに呟く。
レイラは、大の腕に縋りついた。
「いやっ!!!」
「どうなっても。知らんぞ、俺は。」
レイラは大の言葉を無視した。
大はレイラを腕に縋りつかせたまま、歓楽街のホテル前で、玄人の女を拾う。
巨乳の美女は、レイラを睨みながらも、大の胸に手を這わす。
「うーん、お兄さんいい体してるわね。そんな女、ほっといても、私が十分満足させてあげるわ。」
レイラは、その女を睨みながら、それでも、大の腕を離さなかった。
大は、そのままレイラと女を連れて、ホテルに足を踏み入れる。
「レイラ、いいから帰れ。」
大はレイラに掴まれている腕を、振り払おうとした。
レイラは、一生懸命に、大にしがみついた。
「ほんとうに、しつこいお嬢さんね。大丈夫よ。彼のことは、私が満足させてあげるから。」
巨乳の美女が、もう一度、レイラを睨んだ。
レイラはそれでも、大の手を離さなかった。
「レイラ、俺は本気だ。もうその手を離せ。」
「いや。」
レイラは大の反対側に、もたれかかっている巨乳の美女を突き飛ばすと、降りてきたエレベーターに、彼を連れ込んだ。
そして、床で悪態をついている美女を無視して、すぐにエレベーターの扉を締める。
「何を考えているんだ、レイラ。」
レイラはそのまま大に抱き付くと、彼にキスをした。
「くそっ。」
大はそう言うと、エレベーターが泊まった部屋に、レイラを連れ込んだ。
「もう後悔しても遅いぞ、レイラ。」
レイラは頷くかわりに、大に抱き付いた。
大、愛してる。
その夜レイラは、初めて、大に抱かれた。