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14救出作戦

 ネネがカードを見ると、そこにはミワからのメールが届いていた。

 ”ヤッホーネネ。元気? たぶんニュース見てると思うけど、なんかエネルギー弾を打ち込まれたみたいで、今は森に避難中。ところで、襲撃相手をやり込めたいんで、ネネだったたら、どうするか教えて?”

 というのんきな質問が書かれていた。

「おい、なんのメールだ。」

 ネネの腹黒い笑みに気がついたジャックが、恐々と彼女に声をかけた。

 気がつくと、なぜか全員の視線が、ネネに集まっていた。

「ミワからです。エネルギー弾が降って来たので、今は森に避難中だそうです。それと、このエネルギー弾を打ち込んだ相手をやり込めたいので、どうすればいいのか? という質問がかかれていました。」

 ネネはメールをスクリーンに映した。

「おい、こっちは死ぬほど心配してたっていうのに、何なんだ。このお気楽メール!!!」

 ジャックがミワのメールを見て、複雑な顔で唸っている。

「あの子は本当に、何を考えているの。」

 母親のレイラが、ミワのメールを見て、憤然としている。

「「「よかった、無事なのね。」」」

 義父のジャームズと責任を感じていたノリン、それに弘明が、おのおの安堵の息をついた。

「さすが、俺の愛娘は強運だな。うん。」

 大がその隣で満足そうに、頷いている。

「無事なのは、いいんですが、状況はよくないですね。見て下さい。ミワがいるのは、この一番敵軍が密集している地点です。」

 ネネは安堵の息をついている、みんなに、釘を刺した。

 弘明がネネの示したポイントを、しげしげと見つめている。

 確かにミワがいる地点は、敵の艦隊がもっとも密集している箇所の、真下に位置している。

 この地点だと、救出隊を出したとしても、この密集している箇所の真下を通ることになって、敵軍に狙い撃ちされてしまう。

 辺境惑星が自転している地点なら、裏側に入った地点を狙うことも可能だが、位置的に自転軸に近いのでそれも無理だ。 

 しかしこのまま、ほっておくわけにもいかない。

 投降も手段の一つだが、ミワは現将軍の娘なので、下手に捕虜にされでもしたら、敵に手札を握られることになる。

 どうあっても、秘密裡に、辺境惑星から救出する必要がある。

「ところで、ノリン。今、敵に捕まっている捕虜たちの交換は、いつ行う予定だい。」

 弘明が一番気になっていることを、ノリンに確認した。

 ノリンは少し考えてから、答えた。

「今のところは、一週間後が濃厚だと思うわ。」

「そうか。」

 弘明はノリンの言葉を聞いた後、ネネが座っていた席を譲ってもらい、パソコンをそのまま使って、何やら画面を変えては、辺境惑星の気象情報、惑星の周回速度などなどいろいろと確認し始めた。

「うーん。」

 画面を見ながら、唸る弘明を見て、大が後ろから、彼の肩に手を置くと、心配そうに声をかけた。

「どうした、弘明?」

「うーん。ノリン。無理を承知でお願いなんだけど、捕虜交換を十日後まで、引き延ばせないかな?」

「弘明。」

 ノリンは弘明の真剣な顔を見て、自分のカードを出すと、何やら情報を検索した後、ニッコリとほほ笑んだ。

「弘明がそうしろというなら、やって見せるわ。」

 ノリンは力強く頷いた。

「ありがとう、ノリン。」

 弘明がノリンに頬に感謝の口づけを送ると、ノリンが頬をほんのりと赤く染める。

 弘明の後ろで、それを見た大がムッとしていた。

 次に弘明は、ネネに振り向いた。

 ネネがドキリとしながらも、弘明の目をしっかり見据えた。

「ネネさんには、ぜひとも、助けてもらいたい。この間バイオレットたちを助けた時、使った軍用のライダーの性能アップをお願いしたい。」

 ネネは顔をこわばらせて、弘明に尋ねた。

「どれくらいですか?」

「スタート時の瞬発力を今の2.5倍にしたい。」

 ネネは顔は青ざめた。

「2.25倍が精一杯です。」

「いや、2.5倍に出来る。僕も手伝うし、甥っ子にも手伝わせる。手はあるんだ。必ず出来る。」

 ネネは少し考えてから頷いた。

「いいでしょう。伝説の整備士がそういうなら、信じましょう。」

「ありがとう。流石、大塚財閥のご令嬢だ。決断が早い。」

「俺は、愛娘を助けるために、何をすればいい。」

 弘明は大の顔を見て、ニヤリと笑うと、パソコンに宇宙海流の予想図を出した。

 全員、弘明の考えがわからず、画面をただ黙って見ている。

 次に、なぜか宇宙を回遊する、宇宙マグロを映し出した。

「それは、まさか宇宙マグロと一緒に辺境惑星に侵入して、その宇宙海流に乗って、戻って来ようとかいうジョークですか?」

 ネネの言葉に、弘明は、真剣な顔で説明を加えた。

「流石、大塚財閥ご令嬢だね。まさに、今のが今回の作戦だよ。」

 ネネは青ざめて、慌てて、否定した。

「無理です。宇宙マグロは、物凄い速さで、この宇宙海流に乗って、移動するんです。その中にライダーで突っ込もうなら、宇宙マグロの群れに粉砕にされるのが落ちです。」

「大丈夫。宇宙海流に宇宙マグロの先頭が大波に乗って、現れるその瞬間にその流れに乗ればいい。そしてそのまま、流れに乗って、辺境惑星に入る。敵はどうせ視覚映像では確認しないから敵影を捉えることは不可能だ。そして、ナミたちを救出するために、海流が周回している間に、一旦宇宙マグロの大軍から離れ、ナミたちを拾い、もう一度宇宙マグロの群れが通り過ぎる前に、その流れに戻ってそのまま脱出すれば、問題なく帰ってこれるよ。ねえ、大。」

 弘明は、それまで隣で、拗ねていた相棒の大を見た。

「それが、弘明の望むことなら、大丈夫。俺がやろう。」

 大はこの狂喜の作戦を、すんなり受け入れている。

「俺もやる。」

 今まで、まったく会話に加わってこなかった、ジャックがここで名乗りを上げた。

「若造には無理だ。やめとけ。」

 大が偉そうに言った。

「爺さんには、無理そうだから、俺がやる。」

 ジャックも負けていない。

 張り合っている二人をにこにこして、みていた弘明が今にも掴み掛ろうとしている二人を止めた。

「じゃ、突入は二人に任すよ。」

 弘明はネネを見た。

「わかりました。軍用ライダーの改造と整備場所は私が用意します。これでどうでしょうか。」

「流石だね。よろしく頼むよ。じゃ、後はノリン?」

 弘明の顔がノリンを見た。

 ノリンは力強く頷いた。

「じゃ、みんなよろしくね。あっ、それとこの救出作戦を・・・・・・。」

 ネネは、すでに手元のカードでミワに連絡を入れていた。

「私がすでに暗号、ミワに連絡を入れましたので、大丈夫です。」

「さすがだね。じゃ、みんな作戦開始だね。」

 一端全員が解散した。

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