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13実父登場

 ネネが一しきり罵った所に、なぜかミワの母親がドアをぶち壊すような勢いで現れた。

「ミワがいないって、どういう事なの。あなた?」

 流石は、現役の大女優であるレイラ・オーランドだ。

 取り乱して騒ぐ姿も、美しい。

 ジェームズが慌てて、レイラに駆け寄ろうとするが、彼女は夫ではなくその隣にいる、ノリンに詰め寄った。

「ノリン、本当なの。ミワが行方不明っていう話は・・・・・・?」

 涙に濡れた美女が、軍服姿のノリンの腕を、強く握って、彼女に質問の答えを促す。

「レイラ。あなたは誰に、このことを聞いたの?」

 ノリンの追及にあっさり答えが帰ってきた。

「情報局長のボサノバよ。彼がわざわざ、電話を掛けてくれたの。でも、そんなことはどうでもいいわ。ミワは私の娘なのよ。だったら、私が一番に知っていなければ、ならないことでしょ。」

 ノリンは心の中で、ボサノバを罵った。

『あの禿くそ親父。余計なことを。今度、軍内部の施設で見つけたら、八つ裂きにしてやる。』

「何でみんな、こんなところでグズグズしているの?早くミワを迎えに行く為に、軍艦を出して頂戴。なんなら、私がそれに乗り込むわ。」

 レイラは、次に夫である将軍の軍服の襟を掴むと、捲し立てる。

「そりゃ、ジェームズも気の毒だな。」

 いつの間に、ドアを開けて、入ってきたのか。

 ドアの傍には、黒い髪に黒い瞳の物凄く背の高い、引き締まった、いい男が立っていた。

まさる。」

 レイラが幽霊でも、見たような叫び声をあげた。

 その隣では、その光景を肩を竦めながら、見ている男がいた。

 その姿は、隣の男と同じく黒髪で黒い瞳だが、こちらは細身で優しい雰囲気を漂わせた、うっとりするような美男だった。

 胸の開いたシャッツを着ていなければ、思わず女性と間違えてしまいそうだ。

弘明ひろあき。」

 ノリンは、両目が飛び出すくらい、仰天している。

「「なんで、あなたがここにいるの?」」

 レイラとノリンは、ほぼ同時に叫んでいた。

 二人の声に、引き締まった筋肉をさりげなく強調しながら、大がレイラに近づいた。

「そりゃ、自分の愛娘が行方不明なんだ。来て当然だろう、レイラ。」

 大の声に、レイラは考えられないくらい取り乱し、震えながらも、なんとか反論した。

「もう、あなたとは、離婚したのよ。それなのに、私の娘に近寄るなんて、許さないわ。」

 レイラが震えながら、大に喚くので、それを見たジェームズがレイラの肩を抱いて、自分の背に庇う。

「大。ここは将軍室だ。お前が来て良い所じゃない。今すぐに出て行け。それにミワは私の義娘になったんだ。もう、お前の愛娘じゃない。」

 大は自分に突っかかってくる、ジェームスを軽くいなすと、逆に彼の軍服の襟を鷲塚む。

 そして、凄味のある顔を近づけると、腕一本で彼の体をそのまま持ち上げた。

「なんだと。お前がミワの名前が書かれた書類に、判さえ押さなければ、こんなことには、ならなかったんだぞ。」

 大はそう言うと、テーブルに将軍の判が押された書類を放った。

 書類の束は雪のように周りに飛び散る。

 将軍の傍にいたノリンが慌てて、放り投げられ、床に飛び散った書類を拾い上げると、その書類を確かめた。

「これは!!」

 その紙はテロ事件で大忙しだった時に、ノリンが連れてきた新人君によって、持ってこられた書類だった。

 よく見ると、確かにさっき大が言ったとおり、最終ページに、ミワの名前が書かれている。

「そんな!」

 ノリンは打ちひしがれた。

 打ちひしがれるノリンの傍では、首を絞められたジェームズの顔が、赤黒くなっていた。

 弘明は溜息をついて、大の腕をジェームズから引き剥がした。

「それ以上やったら、殺人だ。やめろ、大。」

「なんだと、何で止める。」

 大は自分を止めた弘明に、拳を叩き込んだ。

 弘明はそれをあっさり受け止めると、逆に、大の腕をひねり上げる。

「僕はやめろと言ったんだ。聞こえただろ。」

 大は腕をひねられ、おもわず悲鳴をあげる。

「大、もうやめるね。」

「わっ、わかったから、腕を離してくれ。お前に本気を出されたら、腕が折れる。」

 弘明は妖艶に微笑むと、大の腕を離して、次に床で打ちひしがれているノリンを、優しく抱き上げた。

「うっ、弘明。」

 ノリンは弘明の細身のくせに、妙に筋肉質の胸に、顔を埋めると大泣きした。

「うっ・・・うっ・・・うわーん。弘明・・・わたし・・・わ・・たし。」

 弘明はノリンの背を優しく撫でると、耳元で囁いた。

「大丈夫だよ。僕がついているんだ。心配ない。安心して、ノリン。」

 ノリンは弘明の言葉に、頷くと涙をぬぐう。

「弘明、ありがとう。」

 ノリンは弘明のがっしりした胸にまた顔を埋めた。

 隣でその様子を見ていた大が、ノリンの肩に手を置いた。

「おい、ノリン。もう充分だろ。いい加減。弘明から離れろ。」

 ノリンは、その大の言葉に、さらに弘明の腰にしがみつくと、そのままの姿勢で拒否の言葉を発する。

「いやよ。弘明が離れろと言うまで、離れない。」

「なんだと!」

 思わず大が、ノリンを弘明から離そうと、彼女の肩に手を置く。

 それをノリンの背中を撫でていた、弘明が気がついて、大の手を払った。

「大、ノリンは女性だよ。乱暴は、僕が許さないよ。」

「くそっ。わかったよ。」

 弘明の一言に、大は苦々しい顔をしながらも、その言葉に従った。

 だが顔は嫉妬心剝き出しで、ノリンを睨みつけている。

 そこにいままで、場の雰囲気に流されていた、ネネが割って入った。

「もう、お話の決着は着きました?私はミワの救出に、話を戻したいんですけど、いいでしょうか。」

 弘明がネネの言葉にハッとすると、ノリンの肩を優しく押して、自分の胸から離させると、ネネが使っていたコンピューターの前に近づくと、メモリーを彼女に渡す。

 ネネはそれを素直に受け取ると、すぐに取り込んで画面に再生した。

 画面には、ミワが乗り込んだ機内と着陸後の様子が映し出されていた。

 だがそれもすぐに切れてしまった。

『『『『ミワ。』』』』

 次にネネが探り当てた情報よりも、もっと詳しい敵勢力の布陣図が画面に映し出される。

「これじゃ。」

 ネネが呟いた通り、この布陣図じゃ、とてもじゃないが、辺境惑星に降りることは不可能だ。

 ましてミワの居場所が定かではない今、救出作戦も立てられない。

 もしかしたら、救出する相手は死体かもしれないのだ。

 ネネが絶望感に動けなくなっていると、画面がおもむろに辺境惑星図に切り替わる。

「今の映像で絞り込めるのは、この五か所。」

 スクリーンに五か所が示された。

「今の映像からミワがいる場所を絞り込んだけど、船があまりにも旧式で、航行距離と昔の軍、内部で残っていた情報では、これが限界だったんだ。さらに、まずいことに、この五か所があまりにも離れいて、どこに救出にいけばいいか・・・。」

『たしかに、この場所は離れすぎている。ミワが生きていて、その場所に行たとして、潜入はたぶん一回が限界だ。』

 思い沈黙が流れた時、ネネが持っていたカードが振動した。

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