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12真実

 ネネは、仕事が一段落したので、ミワにメールを入れた。

 ところが一向に、ミワから返信がない。

 一応、ミワのライダーチームとライダー整備をよくやっている俊介と伸にもメールを入れるが、ここ数日は姿を見ていないという返信があった。

 ライダー整備もしないなんて、体調でも悪いのかと、ネネは心配して、ミワのアパートを尋ねるが本人の姿はなかった。

 実家嫌いのミワが家に帰るとも思えなかったが、気になったので、バイオレットに聞いてみる。

 ここ最近、ミワの実家によく行っていると小耳にはさんだので、問い合わせてみたが、やはり、実家にはいないようだ。

 あのバカ娘、どこに雲隠れしているの?

 ネネは、まったく連絡の取れないミワがなにやら気になったので、いったん自宅に戻ると、ダメもとで、大学のネットワークに、勝手に侵入してみた。

 さすがに、個人情報を本人以外が見るとなると、いろいろとうるさい。

 そこで、ちょちょっと、ミワに成りすまして、ミワの個人情報の登録を見ると、とんでもない答えが返ってきた。

 半年間、外地研修で出席扱いの届け出が、本人から出されていた。

 なんなの、この届け出。

 本人が大学にいないのに、出席扱いって何それ、一体どこにいるのアホ娘。

 ネネは、厳重にセキュリティロックされている研修場所を見た。

 辺境惑星ですって、それもここって・・・。

 なにこれ、・・・・。

 ネネはすぐに、大学のネットワーク情報を抜けると、軍のセキュリティロックを解除して、辺境惑星に関する情報を覗く。

 それにしても、一体何なの、この厳重なセキュリティ。

 こんなちゃっちい件に、トリプルAのセキュリティロックを掛けるなんて、さも怪しいですって、大声で言ってるようなものじゃない。

 ネネはブツブツ呟きながら、ものの数分で、中の情報の鍵を外すと、次々にファイルを開けて行った。

 最後に、一番重い扉を開けると、これって・・・、やぁだぁー。

 そこには、兵器製造会社からの賄賂と敵国開戦派同士の密約情報があった。

 これはもうコピーするしかないわね。

 ネネは相手に、けどられないように、慎重に情報を盗む為の、罠を仕込む。

 このまま情報をコピーすると、相手に自分が情報を盗ったことがバレる可能性がある。

 なので今回は、侵入した証拠を、セキュリティロック解除の前に残す。

 これで、見る人間が見れば、わかるような足跡が残った。

 それも入ろうとしたけど、失敗しました足跡だ。

 こうすれば、相手は隠した罠に気づかないで、セキュリティロックの強度を上げる。

 強度を上げるのに、操作した途端に、情報が丸ごと、こちらにコピーされるのだ。

 細工は流々、仕上げを御覧じろだ。

 ネネは素直に、そこから退避した。

 待つこと、数十分。

 いきなり多量の情報が、ネネの高性能のパソコンになだれ込んできた。

 うんうん、良い子ね、君は。

 ネネが全部の情報を獲得して、腹黒い笑み浮かべた時、速報版の宇宙ニュースが流れた。

 テロップは、辺境惑星での人質交換と軍の私設への爆撃となっていた。

 ネネは搾取した情報をファイルに保存した後、厳重にロックすると、違うパソコンで、今回のニュースの詳細を確認する。

 ミワには私を、こんなに心配させた責任を、後で取って貰わなくっちゃ。

 でも、おかげで軍内部の弱みも握れたから、ある意味。

 ちょっとは、感謝してもいいかしら。

 ネネは、ぶつぶつ言いながら、手は人質交換名簿を確認の為、ダウンロードしている。

「よし、ダウンロード終了。さて、ミワはどこにいるのかしら。」

 交換名簿を見るが何度見ても、ミワの名がない。

『もしかして偽名?でも、使ってたの。』

 ネネは、さっき取得した軍の機密情報の中にあった名簿と今回の人質交換に出ている人物に、全検索をかける。

 軍の第五部隊に所属しているメンバーを除くと、最後の便で出た人物が何人か、その中にはいなかった。

『まさか!!!』

 ネネは慌てて、もう一度、軍の交代スケジュールに、ログインすると、第五部隊の人員検索をする。

 演習場で送迎の為、飛び立った三機のうち二機が敵に捕まった。

 なので人質交換のメンバーのうち5名が送迎の為、演習場から飛び立った、この第五部隊のメンバーのようだ。

 そして、ミワが乗った最後の一機だけは、敵に捕まりもせず、ある意味ミワたちを無事に辺境惑星に降ろして、また何故か無事、基地に戻ってきている。

 理由は不明だが、この為、人質交換のメンバーが、敵に流され人質15名と合致して、人質全員を捉えたと思った参戦派メンバーは、早速、軍施設に攻撃を掛けたのだろう。

 と言うことは、下手をすると、ミワはその攻撃で、・・・。

 いやあのある意味強運のミワだし、軍は普通の建物にはない、退避用のシェルターがあるはずだから・・・。

 もう、これ以上、私を心配させて、何してくれるの。

 ネネがパソコンの前で、悶々としていると、何故か手元のカードが振動した。

 無意識に通話ボタンを押して出ると、そこにジャックの声が響いた。

「ネネ。ミワと連絡がとれないんだが、知らないか?」

 一瞬、ミワをしっかり捕まえて、おかなかったジャックに、八つ当たりしようとして、ハッとした。

 そんなことしている場合じゃないか。

 早く何か手を打たないと。

 ネネは、電話口で喚いているジャックを無視って、しばらく思案すると、ジャックにいきなり、命令した。

「ジャック。今すぐ、ジェームズ将軍に非公式で会いたいんで、何とかしてほしいんだけど。」

「はっ、何言ってるんだ?」

「詳しい話は、ここでは、説明できないわ。でも今あなたが話しているミワと連絡がとれない件とからんでるの。だから、何とかしてほしいんだけど。」

「おい、それはどういうことだ。」

「今私が聞きたいことは、出来るか出来ないかの二択よ。」

 ネネの要求に、ジャックは唸りながら答えた。

「折り返す。だが、絶対後で説明しろ。」

 ジャックはそう言うと、通話を切った。

 ネネは将軍に渡す情報を、メモリーに記録すると、ジャックからの連絡を待った。

 ネネも、大塚財閥の名前があるので、連絡が取れない訳でははないが、後で変な勘繰りをされても、困る。

 ここは今、現在、軍に所属しているジャックの方が適任だ。

 ネネがしばらく、ボウっと考えながら待っていると、ジャックから折り返しの連絡が入る。

 場所は、軍の内部で、一番セキュリティが強化された場所が指定された。

 さすがジャックだ。

 かなり、やばい情報だと、言わなくても当たりをつけて、くれたようだ。

 ジャックがすぐに、ネネの所に迎えに来た。

 ネネはジャックの車に、乗り込む。

「まだ話す気はないのか?一応、これはダヴェンポート財閥特性のセキュリティの高い車なんだが。」

 ネネはジャックの当然の質問に、すげなく答えた。

「私はまだ事故死する気はないんで、ジェームズ将軍にあった時に、まとめて話す。」

「おい、そんなに、悪い話なのか?」

「私の掴んでいる情報だと、そうね。でも将軍が持っている情報は違うかもしれない。とにかく会って話して見ないと、わからない。」

 ジャックはネネから聞き出すことは諦めて、早く話を聞く為に、車のスピードを上げた。

 ジャックが運転する車は、周りの自動制御で走っている他の車を、グングン追い抜きながら、軍施設に滑り込んだ。

 車を降りて、扉に着くと、警備員にジャックはカードを見せて、何か話すと、ネネはすんなり中に入れた。

 一瞬ジャックが何を話したのか気になったが、聞かない方が自分の為のような気がして、ネネはそのまま扉をくぐって、中に入った。

 中の通路を何度もくねくね曲がった先に、ジェームズ将軍が待っている部屋にたどり着く。

 ジャックがもう一度、カードでセキュリティロックを外すと、扉が静かに開いた。

 中では、ノリンと将軍が待っていた。

 入った途端に、椅子をすすめられた。

 しかし、ネネは断ると、持って来たメモリーを再生するために、パソコンを借りる。

 すぐに、ノリンがパソコンを出すと、すぐにネネは、情報を再生した。

 途端に聞いていた三人の顔色が、どんどん悪くなっていった。

 最後まで語ると、ネネはジェームズ将軍の顔を見た。

 ジェームズ将軍もノリンも真っ青だ。

 ふとジャックに目線をやると、今にも倒れそうにしている。

 ジェームズ将軍は、あまりの事態に唖然としていて、役に立ちそうになく、代わりにノリンが答えた。

「ネネさんが持ってこられた情報と、こちらで把握している情報を照らしわせると、ミワさんの生存は絶望的です。」

「へっ、なんで絶望的なんですか?」

 ネネが慌てて、ノリンにくってかかる。

「先程、軍に敵から送られてきた映像を今、写します。」

「ノリンは手元を操作すると、エネルギー弾で跡形もなくなった、軍施設が映し出された。」

「なんなの、この脆弱な施設は?普通、地下に避難用シェルターがあるはずじゃ?」

「古い施設なので、ここにはありません。」

「そ・・・そんな。」

 ネネは黙り込んだ。

 ジャックは、青白い顔で、この画面を凝視していた。

「くそっ、なんでこんな辺境にいったんだ。」

 ぼそりと呟く。

『あのアホ娘、生きてるか死んでるかくらい。連絡をよこせ。』

 ネネは心の中で罵った。


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