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一撃必殺邪神道  作者: オーゼイユ街の怪人
新たなる敵!?
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可能性はゼロじゃない

 昔、師匠が言っていたことだが、人間と言う存在は鍛えれば鍛えるほどに強くなる面白い生き物だと。そもそも鍛えるという考え方はおよそ人間だけしか持ちえず、現に私も、例えば、犬なんかが鍛えている場面を見たことがない。だからおそらく師匠が言ったことは正しいのだろう。元ひ弱な少女だった私が、師匠の下で修業を積んだことによって、今や深きものやバイアクヘーの頭や手足を吹き飛ばすほどになったのだから間違いない。


 だが、魔力となると話は別だ。


 魔力の許容量は人によって決まっているもので、こればかりはどんなに鍛えようが増えることはない。コップがどんなことをやってもペットボトル並みの量の水を入れることができないのと同じことである。


 故に魔力を使った戦いとなると努力では覆せない天賦の才を持つ者に軍配が上がることなんてことはよくある話だ。師匠の見立てでは私の許容魔力量はまあまあとのこと。私自身その辺についてはよくわからないのでまあままと言われても、ピンとこないが、悪くはないらしい。例えるならプール二つ分ぐらいとのこと。それでもピンとこないが。


 常人がバケツぐらいらしいので最初こそ結構あると喜んだが、試しに聞いた師匠の許容量を聞いて取るに足らないことだと思い知らされた。師匠の魔力許容量は大きなダムほどとのことだった。師匠の怪物じみた技の数々を見てきたが、正に天賦の才によるものということだ。


 しかし、戦いに絶対などはない。


 確かに戦いの八割は魔力許容量が多い方が勝つが、例外だって存在する。何も真正面から強者に戦う必要はないのだ。自分の有利な場所におびき寄せる、寝こみを襲う、魔力ではないもので倒すなど例外はいくらでも存在する。


 この例外は邪神にだって通用する可能性を持つ。


 もし、何重にも重ねた旧神の印の元に邪神をおびき寄せれば、邪神を弱体化できることだってあるかもしれない。もっと、もっと強力な兵器を作ることができれば邪神を倒すことも可能なのかもしれない。


 希望はある――だが、そうは簡単にはいかないのも事実だ。それができていれば、既に邪神はこの世から消えている。それができていないからこの世にのさばっているのだ。


 私がやろうとしていることははっきり言って無謀だ。邪神の魔力許容量を例えるなら、それは海、いや、一個の星そのものとさえ言っても過言ではない。プール二つ分が星に勝つことは不可能に近い。誰しもそう思うだろう。だが、可能性はゼロではない。


 勝利の可能性を秘めたる呪具、毒をもって毒を制する究極の毒、その名は――トラペゾヘドロン。邪神ナイアルラトホテップが残した宝石。


 適合さえすれば持ち主に強大な力を与える。もし、完全にその力を引き出し自在に操ることができれば、邪神にさえ匹敵できるだろう。最も、そんなに旨い話があるはずもなく適合していてさえ暴走の危険を孕んでいるのだから厄介だ。


 それに私の下に現れた、旧神ヴォルヴァドスの力を持つ少女アリスの話ではトラペゾヘドロンの力を持つ者たちが、その強大な力を使い今なお地球を蝕み続けている邪神たちよりも遥かに強大な存在アザトースを復活させることが目的と教えてくれた。


 邪神たちを倒したとしても、トラペゾヘドロンの力を持つ者たちによってアザトースが復活させられてしまっては意味がない。いや、アザトースの復活はもっと酷いことをこの星に招くだろう。


 決してアザトースの復活を許してはならない。アリスはそのために世界各地を回って戦いを続けてトラペゾヘドロンを持つ者を探し、その旅で私と言う存在に希望を見出してくれた。可能性では言えばゼロに近いがゼロではない。


 だから、私は戦う! 


世界のために、平和のために、私に希望を見出してくれた人のために!


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