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パートナー2

「俺のターン、ドロー!マナチャージ・ブラック!マナレベル3!狼達のタフネスは1減少し4へ。サモンはせず、このままバトルだ!いくぞ『花売りの狼乙女』で『火之迦具土神』に攻撃だ!」

「おっとー!パワー1600の召喚魔でパワー2900の火の本選手のエースに攻撃を仕掛けました!狼乙女はバトルで発生する自分へのダメージを無効化しますが、一体どんなつもりなのか!」

「ふん、バトルで『火之迦具土神』のタフネスを削るつもりか?しかし1回の防御行動で削られるタフネスは1、タフネス6の『火之迦具土神』を倒すには悠長すぎるんじゃないか?」

「もちろんそんな悠長な事はしないぜ!リバースカードオープン!黒のレベル3即発魔法『夜道の狼』を発動!自分フィールド上の『狼』と名のつく黒の召喚魔はこのターンのエンドフェイズまでバトルでセメタリーへ送られず、バトルでタフネスも減少しない!そしてこのターン『狼』と名のつく黒の召喚魔とバトルを行った召喚魔は全てタフネスが1となる!さらに、既に1だった召喚魔はセメタリーへ送られる!」

「なるほど…2体の狼で削り切るつもりか!」

 狼乙女が炎に飛び込み、攻撃をする。『火之迦具土神』のタフネスが6から1に一気に減少する。

「これで決める!『新聞売りの狼青年』で『火之迦具土神』へ攻撃!これにより、『火之迦具土神』のタフネスは0となる!」

 おおお!という歓声が上がる。皆、俺がどうやって『火之迦具土神』を倒すのか気になっていたのだろう。

「これで終わりじゃないぜ!黒のレベル3誘発魔法『伝説の殺人鬼の称号』を発動!このカードは俺の召喚魔がバトルでレベル6以上の召喚魔のタフネスを0にした時に発動できる!その俺の召喚魔にパワー500アップの装備魔法として装備させ、さらに1ターンに2度の攻撃ができる能力を付与する!」

『新聞売りの狼青年』2000/1600/4→2500/1600/4

「いけ!亮へダイレクトアタックだ!」

「ここで!ここで追撃だー!」

 驚きと感嘆の歓声が上がる。どんなもんだい!俺は俺の信じるカードでどんな相手でもぶっ倒す!…はずが?あれ?亮は余裕の笑みを浮かべたままだ。

「遊、まぁそう焦るなよ。確かにこのコンボをまともに食らっていたら痛かっただろうな…だが、悪いが俺の『火之迦具土神』は健在だぜ」

「なにっ!?」

 炎の中に目を凝らす。煙が消えていき、現れたのは…

「まさか!まさかの『火之迦具土神』健在!しかもタフネスは4まで回復しています!」

「タフネスを0にされた時にリバースカードを発動させて貰った。赤のレベル3誘発魔法『キャンドルサービス』このカードは炎の召喚魔のタフネスが尽きた時、デッキから炎の召喚魔1体をセメタリーへ送る事で、その召喚魔のタフネス分タフネスを回復させるカード。俺はタフネス4の『火羅守』をセメタリーへ送り、『火之迦具土神』の炎を再点火させて貰ったぜ」

『火之迦具土神』2900/2600/0→2900/2600/4

「鮮やか!やはり『火之迦具土神』簡単には倒れない!花札選手、バトルをキャンセルし、ここからどうする!」

「くっ…手札2枚でターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー。マナチャージ・レッド。マナレベル4。『火之迦具土神』のタフネスは1減少し3へ。そしてサモン、赤のレベル4、『火山から下りたサラマンダー』!」

『火山から下りたサラマンダー』2400/2000/4

「ここでパワー2400のサラマンダーです!いよいよ危なくなってまいりました!」

「『新聞売りの狼青年』へ『火之迦具土神』で攻撃!紅蓮神炎!」

『火之迦具土神』パワー2900VS『新聞売りの狼青年』パワー2500

 狼青年が炎に包まれ、セメタリーへ送られる。バトルによるダメージは受けないが…せっかく強化したのにきついな…

「『火之迦具土神』の効果により、狼乙女のタフネスへ2のダメージを与える!連鎖神炎!そして1体の召喚魔をセメタリーへ送った為、500ポイントのダメージだ」

『花売りの狼乙女』1600/2000/4→1600/2000/2

花札遊ライフ7200→6700

「サラマンダーは炎の召喚魔から受ける全てのダメージを無効化する為、タフネスは減少しない。そして狼乙女に攻撃!」

『火山から下りたサラマンダー』パワー2400VS『花売りの狼乙女』パワー1600

「サラマンダーがバトルで召喚魔をセメタリーへ送った場合、そのレベル×200ポイントのダメージを相手に与える!800ポイントのダメージを受けて貰おうか」

花札遊ライフ6700→5900

「さらに『火之迦具土神』のダメージもあるぞ!」

花札遊ライフ5900→5400

「エンドフェイズ、『火煙の狼』の効果によりさらに800ポイントのダメージを与える!そして俺は手札0枚でターンエンド」

花札遊ライフ5400→4600 

残りライフはあと半分…早いとこ『火之迦具土神』をなんとかしなくっちゃな。

「俺のターン、ドロー!マナチャージ・ブラック!マナレベル4!そして黒のレベル0詠唱魔法『どろりとしたマナ』を発動!このカードをマナチャージするが、エンドフェイズにこのカードはセメタリーへ送られる。これによりマナレベルを5にアップ!行くぞ…黒のレベル5、サモン!夜道の支配者『街燈に潜む悪魔・ランタン』!」

『街燈に棲む悪魔・ランタン』2400/2000/5

「ここで花札選手もエースを召喚!両選手のエースが向かい合います!」

「いくぞ、ランタンでサラマンダーへ攻撃!」

『街燈に棲む悪魔・ランタン』パワー2400VS『山から下りたサラマンダー』パワー2200

火ノ本亮ライフ7100→6900

「サラマンダーは赤もしくは炎の召喚魔とのバトルでは傷付かない!お前のランタンは黒だが悪魔と炎の複合種族。相性の問題だ、残念だったな」

「くっそー!やっぱり、やっぱり俺はお前に勝てないのかよ!だが…まだ諦めねぇ!俺はまだ諦めねぇぞ。リバースカードを1枚セット、手札0でターンエンドだ!」

「そうか、では諦めの悪いお前を諦めさせるのも親友の務め。ドロー!マナチャージ・無色、マナレベル5。二体の召喚魔のタフネスを3へ減少。さぁ、バトルだ!『火之迦具土神』でランタンへ攻撃!紅蓮神炎!」

「ついに、ついにこのターンで終わってしまうのかーっ!?」

「まだだ!リバースカードオープン!黒のレベル4即発魔法『四方に伸びる影』!このカードは自分の召喚魔1体の影、シャドウトークンを4体生成する!」

『シャドウトークン』0/0/2

「さらに、ランタンが存在する限り、相手召喚魔の攻撃対象は俺が選択する!攻撃対象をランタンから影へ変更だ!」

「ほぅ、しぶといな…」

『火之迦具土神』パワー2900VS『シャドウトークン』ディフェンス0

「だが、『火之迦具土神』の能力により全ての召喚魔に2のダメージを与える!連鎖神炎!」

「花札選手、かろうじて攻撃をかわしましたが、『シャドウトークン』達は『火之迦具土神』の能力で消滅してしまいました!」

「トークンはセメタリーへは送られない。よって『火之迦具土神』の能力によるダメージは受けない」

「ああそうだな。しかし、お前が不利な事に変わりはない。さらに言うと、俺のバトルフェイズはまだ終了していない!」

「おっとー!サラマンダーのパワーはランタンに僅かに届きませんが、一体、どうするのでしょうかー!」

「無色のレベル4即発魔法『怒涛の嵐』を発動!俺の召喚魔1体のパワーは、このターンのバトルフェイズ中にタフネスを0にされた相手の召喚魔1体につき600ポイント上昇する!『シャドウトークン』4体×600ポイント、俺はサラマンダーのパワーを2400ポイント上昇させる!よって、パワーは4600!」

『山から下りたサラマンダー』2200/2000/3→4600/2000/3

「いくぞ、サラマンダーでランタンへ攻撃!」

『山から下りたサラマンダー』パワー4600VS『街燈に棲む悪魔・ランタン』パワー2400

花札遊ライフ4600→2200

「ぐあああっ!っつ、つええ…やっぱつええよ、お前は…」

「遊、お前の手札は0枚。フィールドもがら空き。対して俺のフィールドには最強の炎『火之迦具土神』と強大なパワーを得たサラマンダーがいる。次のターン、この2体でアタックして終わりだ!手札0枚、ターンエンド!」

「花札選手、しぶとく耐えきりました!しかし火ノ本選手は圧倒的!次のドローが勝敗を決めると言えます!」

 くっそ…負けたくねぇ。負けたくねぇ。けど、やっぱお前は強いよ。ガキの頃から一緒にいた。いつも一緒に遊んでた。いつしか周りに敵はいないってくらいに強くなっていて、高校に入ってからも俺達は最強だった。けど、いつもお前は1番、俺は2番だ。俺にパートナーがいないからだってお前は言ってくれるが、そんなもんじゃねぇ。亮、お前の努力は誰より俺が知ってる…お前は自分の召喚魔を、自分のデッキを信じてここまでやってきた。お前の強さは、召喚魔との確かな信頼関係、そして最強でありながらもなお高みを目指すその姿勢だ。だからこそ、負けたくねぇ!俺だって、お前に勝ちたくてずっと努力してきたんだ!どんだけ努力しても、お前も努力してる。この差を埋めるにはどうしたらいい?俺はどうしたらお前に勝てる!?次のドローで…この状況を逆転できるのか…考えろ…いや、俺のデッキにこの状況を1枚で打開できるカードは…無い。俺はまた、負けるのか?

「だったら、遊も知らないカードを信じればいい」

え?今、誰か何か言ったか?

「ドローしなきゃ、踏み出さなきゃ始まらない。あなたはここで、立ち止まって逃げるの?」

 どこから聞こえるのか分からない声。でも、その通りだ。ここでサレンダーするなんてダサいマネだけはできねぇ。最後まで、足掻いて足掻いて足掻きまくって、俺のデュエルを全うする!

「俺は逃げねぇ!いくぞ、ラストドロー!」

 ん?なんだこの感じ。懐かしいような、安心するような…だがドローしたカードは2枚とも、もちろん戦況を打開できるようなもんじゃない

「マナチャージ・ブラック!マナレベル5!」

 その時、デッキから黒いオーラが溢れ出した。

「わたしを召喚して。ようやく、あなたと戦える」

 さっきの声だ。これは一体?

「長らく待たせてしまった、あなたのパートナー。ずっと見守ってた。そして、今こそ傍らに立つ時」

 そうか、そうか!ついに、来たんだな。俺のパートナー。どうなるかなんて分からんが、今こそお前を呼び出そう。

「パートナーサモン!」

 声高に宣言する。

「パートナー!?遊、まさかお前っ!」

 フィールドに闇が広がり、黒いオーラが溢れ出す。そして現れたのは…

「花札遊のパートナー、大食いのベル、ここに」

「おおお!ここで!ここでまさかのパートナー召喚です!これまで1度としてパートナーを召喚してこなかった花札選手、まさかの美少女!まさかのパートナー召喚です!」

「初めまして、遊。あなたの事はずっと見ていた。そして、このデュエルも、あなたの想いも。だから、私はあなたの想いに応える!」

「ベル…初めてなのに、ずっと一緒に居たみたいだ。あぁ、まさかこんな事になるとは思わなかったが…お前の力、借りるぞ!」

「起動式のパートナーの能力か…?一体、どんな能力を?」

「契約能力発動!俺は契約の代償としてライフを100にする!」

花札遊ライフ2200→100

「なっ!?」

 会場が一気にざわつく。俺も、こんな代償見た事ねぇ。俺のライフを吸収し、ベルの周りに黒いオーラが漂う。

「契約成立!これにより、亮のフィールド上に存在する召喚魔を2体までセメタリーへ送る!」

「なんだと!?」

 真っ黒い渦がフィールドに生まれ、亮の召喚魔が沈んでいく。

「まさか!まさかの能力!ここで大逆転!」

「まだだ!さらにベルの召喚能力を発動!ベルは相手の召喚魔がセメタリーへ送られた時に特殊召喚できる!そしてそのタフネス以外のステータスは…セメタリーへ送られた召喚魔のステータスの合計に等しい!サモン、黒のレベル6俺のパートナー『大食いのベル』!」

「な、なんだと!」

『大食いのベル』7500/4600/2

「行くぞ!ベル、亮へダイレクトアタック!」

「うん!いくよ、ベル・ブラスト!」

「ぐああああ!」

火ノ本亮ライフ6900→0

 真っ黒なオーラを纏ったベルが突撃し、亮のライフを0にした。

「こ…これは…勝ったぁぁぁぁ!まさかの逆転!大逆転です!召喚したばかりのパートナーの力を存分に発動し、花札選手が優勝!優勝しました!」

「俺が…勝った…?勝った!勝ったぞ!」

「これがわたしと遊の力。遊の想いの力」

「負けた…のか。俺は。…強くなったな、遊。今までのお前は十分努力していた。そして今、パートナーができたお前はさらに強くなった。正直悔しいが、お前の優勝を、そしてパートナーとの出会いを祝福したい」

 亮が握手を求める。俺は半分夢じゃないかと思いつつも、もちろん応じる。俺は、亮にやっと勝ったんだ。そして亮はそれを祝福してくれている。ようやく出会えたパートナー、そしてパートナーと出会わせてくれた親友、俺は恵まれている。

 観客席から友人達が駆け寄ってくる。

「さぁ遊、こっからはパーティだ!悔しいがお前の自慢話を聞いてやろう!いつか再戦して俺が勝つまでだからな!だから今日は、皆で騒ぐぞ!校内戦の優勝、準優勝者だ。盛大に祝って貰おうじゃないか!」

「おうよ!」


 帰宅後、俺はベッドの上で天井を見上げていた。何故か召喚されたままで、祝勝会でもずっと食べていたベルは回転椅子で回りながら話しかけてくる。

「遊…待たせてごめんね。私、記憶が無いからよく分かんないんだけど、ずっと眠ってた。でも、遊のデュエルは全部夢の中で見てた。そして遊の想いも。そして今日、やっと目覚めたの。だから、これから一緒に頑張ろうね?」

「あぁ、もちろんだ。まだまだ知らない事も多いが、きっと俺達は最高のパートナーになれる。これから、よろしくな」

 そして俺達は、正導学園の代表選手として、高校選手権へ出場する事になった。


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