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28 「ロボ娘」 「世界崩壊」 「再起動」 「人探し」

この作品はキャラ設定の第一弾で予告していた03の続編ですね。

思い返させば、遠くに来たものです。

これからもこれを維持できるように、引き続きストック作成を頑張りたいと思っています。

学校が始まってからは毎日とはいかないでしょうし、投稿時間も今のように午前中というのも難しくなると思いますが、作品を切らさないように頑張りたいと思います。


読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。

それでは、本編をどうぞ。

 崩壊するはずだった世界を救ったのは一体の人形と、人形を愛した一人の女性だった。

 人形の名はジャック・リハード、女性の名は黒澤 紫雨。

 人形でありながら初めて人権を得た存在と、人形である彼を人と愛した女性。

 宇宙からやってきた未知なる存在たちは言葉を介することなく、地球上に存在する全ての生物を殺そうとした。

 その理由は全てが終わった今ですら不明とされ、ただジャック・リハード、黒澤 紫雨そして、その友人たちの尽力によって地球が守られたことだけが事実として残っている。

 二人がその戦いで命を落としたが、その二人には一人の娘がいた。

 二人の手から生まれた大切な愛娘、彼女の名はフィリア・リハード。

 『世界の救世主の娘』

 その呼び名を嫌った少女は、叔母を頼って都会から離れた森の奥で生活していた。


                     ×


『お父さん? お母さん? どこ?』

 幼い少女が泣いている。

 それは存在しない筈の子どもの私。

 その子は夢の中で小さな体で精一杯走っていた。

 時間は夕暮れなのか、見えている景色はほんのりと紅い。

 両親の背中が見えた。二人は私をちらりと見て、歩き出してしまった。

『待って! 待ってよぉ!』

 声が届いているのか、いないのか。

 両親は私を置いてどんどん暗いどこかへと歩いていく。

『置いていかないで!!』

 走っているのに追いつけない。

 当たり前だ、大人と子どもの歩幅は倍なんてものじゃない。

 二人は決して振り向いてはくれない。

 それも悲しくて、置いていかれることが怖くて、それが別れだとどこかで知っているから寂しくて、夢の中の私は泣く。

 それでも追い付きたくて、精一杯走っていた。

 追いつけない。二人は暗いどこかへと入っていってしまう。

『嫌だよぉ!』

 二人は最後にこっちを振り向いて、何事かを呟いた。でも、何も聞こえない。

 何を伝えたかったのかがわからない。

 

 聞こえないよ、父さん。

 何を伝えたかったの? 母さん。

 ねぇ、誰か教えてよ。答えてよ。

 一度でいいから、私は二人と・・・・・話したい。ただそれだけなのに。


                   ×


 私は嫌な汗をかいて、布団から跳ね起きた。

 外はまだ薄暗く、まだ日がのぼっていないことがわかった。

「・・・・・おかしいよね、私は人間じゃないのに」

 人間とほぼ同じ体、食べることも、飲むこともできるし、排泄だってする。それに父のおかげで、人形もロボットも人権を得ることもできる時代にもなった。

 それでも夢にうなされて起きるなんて、本当に人間みたい。

「どうして・・・・聞こえないのかな? ねぇ、何て言ったの?」

 夢の中の出来事は実際にはなかった。

 二人が死んだ日、それは私の誕生日。

 私が二人を見ていたのはいつも調整するために入れられていた機器の中からだった。

 二人はいつも寄り添って、嬉しそうに私を見ていた。

 言葉は聞こえなくても、私が生まれることを喜んでいたことだけはその様子から伝わっていて、私は愛されていることを実感していた。

 だけど、二人は私を置いて、世界を守るために死んでしまった。

 起動した私が叔母から初めて教えられたことはそんな残酷な現実で、私たち家族は一度も言葉を交わすこともなく死別した。

 叔母は私を抱きしめて、私を守ると育てると言ってくれた。

 祖父母は私の頭を撫でて、ただ静かに泣いていた。

 友人たちは私に二人のことを、私の知らないことを教えてくれた。

 優しかった、大切にしてくれた、愛されるということを二人の代わりに教えてくれた。

 だけど

 世界は ―――― 母さんと父さんが命をかけて守ったところだけは違った。


『世界の救世主の娘』

 そんな重たい称号と、期待の目をして私を取り囲む。


『人形と変人の娘』

 嫉妬と、侮蔑の視線と共に私を見つめる。


「世界は私から、父さんも母さんも奪ったのにね」

 そう呟きながら、私はベッドから起き上がった。

 机に飾られた三つの写真、二人の学生時代の写真と結婚式の時の写真、それから機器に入ってまだ眠っている私をバックに撮られた写真。

 二人の写真はもっとあるけど、三人で写った写真はこれしかない。私の記憶にないのは残念だけど、たった一つだけの両親との思い出の品。

 マスコミやパパラッチが鬱陶しくて、周りが私を守るために『様々なことを理解するのに必要な期間だ』と言い張ることも五年が限度だった。

 だから、私は周りにワガママを言って、あの場所から逃げ出した。

 公の私は両親の死にショックを受けて、目覚めることのない眠り着いたことにし、私は文明から外れた森の奥深くで生活する。

 祖父母と周りの協力がなければできない荒技であり、力技だった。

 その荒技をとおした後に、私は一人で生きていくつもりだった。

 誰にも頼らずに、誰を想うことなく終わるように。

 両親のように何かを守りたいと思うことが恐ろしくて、何も欠けてほしくないなどと思わないように一人であろうとした。

 でも、それをさせてはくれなかったのは両親が残してくれた存在だった。

 私がこっちに一人で住むことを良しとしてくれなかった叔母さんは、なかば無理やり私についてきた。

 祖父母はたまに龍を模したロボットで会いに来てくれるし、友人たちはそれぞれの方法で手紙やプレゼントを送ってくれる。

 それを嬉しいと思うことができることは、まだ自分が孤独を嫌っていることを知ってどこかで安心し、絶望する。

 『一人がいい』『誰にも頼らない』と言って、私は結局一人ではいられない。

「本当に一緒に居たかった人は・・・・・ここに居ないのにね」


 父は母がいた世界を愛した。だから、母に出会わせてくれた世界を守ろうとした。

 母は世界も、父も愛していた。美しいこの世界で父と共に生きたいと願っていた。


 でも、私は世界が嫌いだった。

 言葉すら交わすことなく、知らない世界なんてものを守って勝手に死んでいった二人を怨みすらした。


 子どものワガママだと、わかっている。

「でも・・・・・それでも」

 あぁ、駄目だ。この考えは・・・・してはいけない。

 これは、これだけは言ってはいけない。これは二人の死への侮辱だ

 私は堪えきれず、自分の考えから逃げるように外へと駆け出した。

 叔母は幸いまだ眠っている時間、私はあてもなくもう住み始めて五年経つ森へとあてもなく走った。


                     ×


 走って、走って、息が切れるまで走った。

「何してんだろう? 私」

 バカみたい。夢にうなされただけで、それを深く考えて、しかも子どもみたいに癇癪を起こして飛び出して・・・・・

「ホント・・・・・バカみたい」

 傍にあった樹に寄り添って、軽く上を見るように頭をぶつける。

「大きな樹・・・・・まるで世界を包んでるみたい。なーんて、ある筈もないか」

 自分で言ったことに笑いながら、目を閉じる。

「・・・・叔母さんが心配するだろうけど、まだ眠いし。ここで少しだけ寝よう」

 凄く人間的な言葉だと思う。私はいくらでも睡眠時間を調節できるのに、少しだけなんて曖昧で、寝たいなんてわざわざ誰に言うでもなく言葉にしている。そして、私は目を閉じて、すぐに眠りにおちていった、



―― 会いに来てくれたんだね、おねえちゃん。今度はずいぶん最初のおねえちゃんに似てる子になったね ――

 森はそこに眠る少女にそっと温かな風を向けながら、嬉しそうに木々をざわめかせた。

―― フフ、おねえちゃんの魂はいつも誰かを求めてる。大切な人たちのことですぐに頭をいっぱいにして、どんなに生まれ変わっても悩むのはそればっかり ――

『そんなお姉さんが好きなんだろう? 君は』

 樹の隣に透明度を持った黒髪を長く伸ばした女性、黒澤 紫雨の幽体だった。

―― そんなの当たり前でしょ? 私に名前をくれた大切な家族だもの。あなたたちこそそうでしょ? 本当はこんなところうろついてないで輪廻に行かなきゃいけないのに ――

『そう、なんだけどね・・・神さまにも急かされているから、僕たちも次に行かなきゃいけないんだけどさ。まさか、僕まで命扱いされるなんて思ってなかったけど』

 当然だと言い張るユーディアにジャック・リハードは苦笑しながら、自分の娘を見守っていた。

―― 天のお父様曰く、そこに在る全てのものには命が宿るんですって。そこに他のものがどう思うかは関係なくて、そこに在るというだけで全ては意味を成すらしいよ ――

『「お父様」といっても、あの人はお

『紫雨、それ以上は言っちゃだめだよ。あまり言うと、大雨が降るからね』

 空に一瞬だけ暗い雲がかかったが、それはすぐに霧散する。そして、空には雨が降ったわけでもないのに、虹がかかる

―― あなたたちにでなく、あなたたちに出会えなかった子へとお父様からプレゼントがあるみたい。輪廻に還らない遅刻者はその手伝いをしろって、言ってるわよ? どうする? お二人さん ――

 彼女はそう言って二人を見ると、二人は一瞬だけ驚いたような表情をして肩をすくめた。

『・・・・ふっ、結局あの人は親バカなんじゃないか』

『これがツンデレってやつだね・・・・・あまり言うと親としての見せ場もなくされそうだ、行こうか。紫雨』

 そう言ってジャックは紫雨の手を取って、そっと娘に寄り添うようにして入っていった。二人と入れ違いで大樹の下に立ったのは人の形を成した黒い何かだった。

【羨ましいと、思ったのかい? ユーディア】

―― 少しだけ、ね。お父様は私たちの話をいつか書いてくれる? ――

【あぁ、約束しよう。お前たち姉妹が幸せになる、あの家族が幸せになる話を。

 どれほど時間がかかろうと書くとね】

―― 期待してるわ、お父様 ――

【あぁ、期待していておくれ】

 そう言う声は少しだけ照れくさそうで、嬉しそうで、それを誤魔化すように大樹を撫でて姿を消した。


                      ×


 紅い夕暮れの中、ただ広いそこに私は立っていた。

「・・・・・・気分転換に寝ようとして、悪夢の続きか」

 でも、だとしたらおかしい。

 夢は夢と認識した時点で大抵消えて、覚醒するはずだ。あるいは私がこっちで眠ればいい。

 逃げるように頭を抱えて、瞳を閉じて起きることを念じればいい。

「悪夢なんて言わないでおくれよ、フィリア」

 後ろで初めて聞く声がした。でも、その声を私は知っている気がした。その声には寂しさと優しさが含まれていた。

 振り向きたい、でも、振り向きたくない。

「ジャック、それは無理もないと思うぞ? この子は私たちのせいで寂しい思いをした。親なんて呼んでもらう資格は私たちにはなく、親代わりをしてくれた翠の方がその資格を持っている」

 女の人の声がした。古風な話し方に女性にしては低い声、そして声だけで頼ってしまいたくなるような存在感。

 会いたかった。でも、出来なかった。

「とう、さん? かあ、さん?」

 どんな行動をするよりも早く、涙が零れてきたから。

「・・・・・あぁ、まだそう呼んでくれるんだな。私たちの娘は」

 後ろから抱きしめてくれたこの手の感触は夢だというのに、ちゃんと触れているという感覚があって。

「そうだよ、僕たちは君の親だ。フィリア」

 どうせ、夢だと思うとなおさら悲しくて。

「夢なら、覚めちゃえばいい。消えてなくなってくれればいいのに」

 普通は逆のことを言うのだろうけど、私は思ったことを正直に言葉にした。

「ハハ、私たちの娘は厳しいなぁ」

「そうしてしまったのは僕らだからね」

「だって・・・・・・どうせ、覚めてしまうんでしょう?

 だったら、一生知らない方がよかった」

 私は振り向かずに二人から離れるように間を置いた。

「温もりも、声も、名前を呼ばれただけでこんなに嬉しいことも、知らなければ私は辛くないもの」

パンッ

「?!」

 私を無理やり振り向かせて、母は私の頬を張った。

「そんな悲しいことを言うな!

 何も知らなければよかった? 会えなければよかった? そうすれば辛くなかった?

 そんなわけがないだろう!!」

 長く伸ばした黒髪を揺らしながら怒鳴る母に、私も怒鳴り返す。

「だって、そうじゃない!

 言葉を交わすことが出来なくて、ただ居たって言うだけでもこんなに辛かったのよ?!

 叔母さんが、おじいちゃんやおばあちゃんが、二人の友人たちが知っていることをどれほど聞いたって! どんなに良い人だったかを話していたって!

 私にはそれすらも妬ましくて、羨ましくて、どんなに願ったって届かないのよ!!」

 叔母が、祖父母が、友人たちが、それよりも多くのその他大勢が私よりも二人を知っていた。

 二人の娘である私は、何も知らない。

「二人は・・・・・」

 言ってはいけない。

 これだけはどんなときに言っても許されない。

 怒りに任せても、二人には言ってはいけない。まして、叔母さんにだって言ったらなんて返されるかわからない。

「ここに居るのはぼくたちだけだよ、言いたいことは全ていうといい。フィリア」

 父が促してくるが、私は顔を伏せて首を振った。

「言えないよ・・・・・だって、この言葉はどんな言葉よりも酷く自分勝手だもん」

 私が知るどんな言葉よりもこれは醜く、私が知るどんな感情よりもこれは汚い。

「怒らせてみても、言葉にはしてくれないんだな。フィリアは」

 溜息をついて、母は私の頭に触れた。

「大きくなって、それよりも心はずっと成長していて・・・・・もっと、ワガママになってくれればよかったのにな。

 私たちがしたことはフィリアが言うだろう言葉の何倍も酷いことだったというのにな」

 母はそう言って私を抱きしめてくれた。それを包むように父が私を抱きしめ、それがあまりにも温かくて、私は涙を零した。

「・・・・言っていいの? こんな言葉を?

 だって、二人をすごく傷つけるよ? これが夢でも、これが私の考えた想像だったとしても二人は傷つく・・・・」

 いや、そうじゃない。私は

「嫌われたくない・・・・! たとえ、夢でも二人に嫌われたくないよぉ」

 二人に手を回して、私からも抱きついていく。

「大丈夫、僕らは君を嫌わない」

 手を離され、二人に目線で促される。


「こんな世界なんて滅んじゃえばよかったんだ」

 二人の命を礎に、支えられた世界。


「父さんと母さんを私から奪った世界なんて、二人が死ななきゃ保てない世界だったならなくなっちゃえばよかったんだ!」

 私と、私の家族の平穏な生活を犠牲にした世界。


「たった二人の犠牲だもんね、さぞみんな喜んだでしょう?

 だって、変人と人形が居なくなるだけだもん!!」

 私は叫ぶ。たった三人しかいない、夕日に染まったことしかわからないような世界で。

「二人もよかったんでしょ?!

 だって、いちばん大切な人と一緒に死ねた!

 自分の命が止まった時、一緒に死のうとすら思っていた存在とずっと一緒にいれた!」

 そう、二人はそれでもよかったかもしれない。


「叔母さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、その友人の反対すら押し切って、母さんは無理やりついてった!

 父さんもそんな母さんを止めるでなく、抱きとめて一緒に戦うことを決めた!

 みんなもみんなだよ! そこで止めるのをやめて、受け入れて、見送った!!」

 思い出を持って、二人が死ぬかもしれないことを承知でみんなは送りだした。


「みんな、ふざけてる! 私は?!

 二人のことをまともに知らないまま、思い出だって作れないまま、声だって聞けずに・・・みんなして、身勝手すぎるよ!!!」

 ただみんなから少しでも二人を知れるようにと教わる全てが憎くて、辛くて、悲しくて、でも、そんなこと言えなくて。


「でも・・・・・・」

 目に焼き付いて離れないのはいつだって機器の中から見つめてた二人の優しい目、私にたくさんのことを知ってほしいと連れ出してくれた叔母さんと見た世界の綺麗な景色。

 人が作ったもの、人が作れないもの、触れてはいけないもの、いっぱいあった。

 みんな、綺麗だった。


「誇らしかった。世界が綺麗だって、知るたびに・・・・・人が凄いってわかるたびに父さんと母さんが守りたいって思ったことがわかったから」

 人の感情が嫌なものばかりじゃないことも、たくさん教わった。

 父さんと母さんの死を悲しんで涙を零し、二人の慰霊碑の前に花がなくなる日がないことを私は知っている。

 一度だけ、一日中慰霊碑を影から見ていたことがあった。

 子ども連れの主婦も、老夫婦も、妊婦を連れたまだ新婚らしき夫婦も、一見ガラが悪そうな集団も、集団で見学していく人たちも、誰も二人を悪く言う人なんていない。それどころか、感謝と謝罪の言葉を口にしてその場を去っていく。

 人が人を。

 否、誰かが誰かを想うことはとても・・・・尊い。

「でもね、やっぱり・・・・・・寂しかった」

 だからこそ、多くの人は私に期待する。

 『救世主の娘』、『人と人形の愛した証』として、私はいる。

 フィリア・リハードとして、私を見てはくれない。

 だから、姿を消した。

「本当にごめんな、フィリア」

「二人が謝ることなんてないよ、これは私が割り切れないのが悪いんだしね」

 そう、愛情は貰えてるのに。ちゃんとわかっているのに、割り切れていないのは自分自身。

「だから、ごめんなさい。お父さん、お母さん、心配かけちゃって」

 二人に言ってもうスッキリしてしまった。一番、文句を言いたかった人たちに面と向かって言えたのだから、もう拗ねるのも引き籠るのもおしまい。

「私はもう、大丈夫だよ」

 私がそう微笑みながら言うと、二人は一緒になって私に抱きついてきた。

「紫雨、やっぱり君の娘だね」

「それは違うな、ジャック。私たちの娘だからこんな素敵な娘なんだ」

「それに僕の自慢の妹が育ててくれたしね」

「それも間違っている。私たちの自慢の妹だろう? 翠は」

 父の間違いを指摘しながらも母は私の抱く手を緩めない。父もとてもうれしそうに笑っていた。

 十分ほどだろうか、二人とも私を堪能するかのように抱きしめてたあとようやく解放してくれた。そして、二人が並んで私を見る。

「「フィリア」」

 同時に名を呼び、互いにアイコンタクトをしてから母が私を見た。

「親として私たちは何一つとしてまともに残してやれなかったが、その心配も杞憂に終わって本当に嬉しく思ってるよ。

 ジャックに似て、優しくなってくれていた。それだけで私には十分だ」

 そう言って母は宙へと浮かび上がっていく。

「運命の人を見つけてごらん。フィリア。

 僕が紫雨と出会えたように、フィリアにも特別な人がきっといるから。大丈夫、フィリアは紫雨に似て、とっても美人だからね。父親としては少し複雑だけど」

 そう言って、ウィンクをしながら母の隣に立つ父は楽しげだった。

「うん。

 じゃぁね、父さん、母さん」

 もう夢から覚めることはわかっている。

「起きたら、公の私の再起動と・・・・・運命の人でも探しに行こうかな」

 夢の中で最後に呟いたその言葉を実行するのは、この三日後のことだった。


いかがだったでしょうか?


出ると言って出なかった翠ちゃん、ごめんね・・・・。

名前だけは出たし、出す予定だったのですが、書いていく途中で出す機会を失ってしまいました。

続編・・・・書くのかなぁ?


それとこれは予告ですが、明日は沙由梨様にいただいた四題を投稿いたします!

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