16 「ハロウィン」 「魔女」 「全国美味いモノ巡り」 「大失敗」
作品中、唯一のコメディ?です。
が、作者は人を笑わせることが苦手なので、これがコメディなのかがわかりません(汗)
そんな作品ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
浮火兎様、コメディですよ~。笑えるとよいのですが・・・・
読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。
では、本編をどうぞ。
ある山の奥、ある魔女たちが村を作って過ごしていました。
多くの魔女が自由気ままに暮らすその村の中でも、特に優秀で、自由であることで有名な魔女、シシィ・ガラクナーシャは今日もグツグツと大きな鍋を使って何か怪しげな薬を作っています。
「ちょっと! 怪しげとは何よ!! 怪しげとは!」
大きくて、稲妻のような模様が左右対称に入った魔女帽子と自分のイメージカラーと言ってやまない浅葱色、人よりも小柄なその体よりもずっと大きな古の楡の木で作った杖は彼女よりも偉大で、大好きだった祖母が作ってくれた魔導の杖。
「アンタ、あたしを褒めてんの? それとも貶してんの?」
さて、どちらでしょう?
何故なら私はただの語り手ですから、事実をありのままに読者様に届ける義務があるのです。
その薄紫にも似た恐ろしい鍋の中身を食事だとは、私は思いたくはありませんので。
「こんな色の食事なんてあってたまるか―!
新薬よ! し・ん・や・く! 私が考えた世界が楽しく見えて、しょうがなくなる薬のね!」
薄紫色が目を背けたくなるようなカラフルなピンクに変わりましたね、今。
蛍光ピンクの新薬、私ならば即逃げます。というか、その発言だけでも正直麻薬以外の何物でもないと思います。
「アンタ、ケンカ売ってるの?」
滅相もない。私は事実をありのままに(以下略)。
「本当は今回の長期休暇をハロウィンにこぎつけて全国美味いモノ巡りする予定だったのに、どっかのおバカのせいでこんな面倒な仕事押し付けられたんだから・・・・・・あの自称ライバルはどうしたら、片づけられるかしら?」
そうですね。いっそのこと、その薬の実験台にしてはいかがでしょう?
一応、他国の駄目貴族へ売る品とはいえ、薬の効果がわからずに服用して死んでは国際問題になるのでは?
「アンタもあくどいわねぇ・・・・・・その程度であれが死ぬとは思えないし、それでもいいかもしれないわねぇ。私も薬の反応がわかるし、コレも本来あいつの依頼だから思いついたのを適当に放り入れているだけだし・・・・・うん、そうしましょう」
おぉ、私の意見が通るとは思ってもみませんでしたが、さりげなく依頼をちゃんとやっていないと言っていませんか? この物語の主人公様は。
「ニニ!」
「にゃ? ご主人様、お呼びですかにゃ? お薬できたのを届けるにょかにゃ?」
少女の呼び声にパッと現れたのは一匹の白猫。ここは普通、黒猫じゃないのでしょうか? 何故、白猫なのでしょう?
「これをあのバカっ子のお茶にでも入れて、飲ませてきてくれないかしら? ナナには面白い物が見れるからとでも言って、見逃してもらいなさいな」
「にゃーい。ナにゃは優しいからそんにゃこと言わなくても、やらせてくれるにゃ。いってくるにゃー」
口に怪しげない色の薬の入った小瓶を咥えて、白猫は一直線に走って行きます。
あぁ、短毛種のあの白く美しい体に触れていたい。また、あの浅葱色のリボン、とてもよく似合っています。
愛くるしい、その御姿。人の姿は変わり見惚れることが出来なくなっても、彼らの可愛らしい姿は年齢と共に上がることも下がることもなく、素晴らしいまま。
「・・・・・・私の表現と同じくらいの文を、ニニの賛美に使うとはどういうことかしら?」
こめかみをピクピク動かされましても、正直私の打ち手であるマスターが動物に飢えておられるのですよ。
最近、書いている物も納得いくようにできていない上に、その物語上に必ず人以外の生物を入れようとしてしまうぐらいに精神を病み始めていますし。触れることなく、常に動物のことを学んでいますからね。
「大変ね・・・・・・猫を使い魔にしたのはそれだけが理由なのかしら?」
いえ、魔女と言ったら猫でしょう。騎士と言ったら犬でしょう。
それともアレですか? 蛇や烏の方がよろしかったでしょうか? マスターが最近、烏を捕まえそうな自分がいて抑えるのが大変だと泣いておりますので・・・・・野鳥は捕まえてはいけません。マスターの理性が壊れるのが先か、猫に会いに行けるのか。はたまた頑強な理性に押しつぶされるのか。
「まぁ、その・・・・・お大事にね」
まぁ、平気でしょう。多分。
それで? あの薬はあなたの予想ではどういった効果になるんでしょうか?
「うーんっと、あの薬は興奮剤と幻覚剤を基礎にして、本人に都合のいいように解釈できる幻想、というか理想的な世界を一時的に見せるんじゃないかな~。と、思ってるんだけど・・・・それって、作っておいてなんだけどあまり意味ないのよね」
それは麻薬と同じではないのですか?
「中毒性もないし、体に一切の害もないから大丈夫。
自分の都合よく夢を作れるような薬かな・・・・・・あ、でも現実に起こるし、自分がしたことも忘れないように調合したから何をしたって自分の責任が帰って来るかな?」
あなたは鬼か何かが親戚に居るんじゃないでしょうか?
そう疑いたくなるような完璧な薬ですね。
「コレ、効かない人もいるだろうけどね」
そうですね、自分の行動が恥ずかしいこともわかっていないような人間にはまず効かないでしょうね。
逆に効果絶大なのは、普段己を律している騎士のような人間。
「魔女には効かないでしょうねー、みんな自分の欲に正直だし。うーん、つまらないことしちゃったかな・・・・念のためにもう一個作っておこうかしら、もう一つ面白そうな薬でも」
うん、間違いなくあなたは悪魔ですね。
魔女狩りとかおかしなことした人間どもに怒り狂って、ある老人そそのかして悪魔召喚させた挙句、悪魔侍らして国とか権力を一度終わらした魔女の血族たる御方ですね★
なんでしたっけ? 悪魔以外もいろいろ呼び出しましたよね?
「あー、あったわねぇ。五、六回前の私が首謀者になったんじゃなかったかな?
フェンリルとか、魔女の嫌疑かけられて無念のうちに死んでいってなおも怒りに狂ってた子たちはラミアとか、ペガサスとか、ユニコーンとかになって手伝ってくれたのよね~」
『聖なる~』とかつくペガサスもゴーゴンの子どもですし、ユニコーンも処女以外には凶暴なことで有名ですからね。
ラミアとかあれですし、子ども思って化け物になってしまった存在ですからね。
「そうそう、だから基本的に私たちの魂に馴染んでくれるし、どうせ次に生まれかわっても私たち魔女は魔女だからね。
輪廻なんて、十字架背負った神様のもとになんかは意地でも行きたくないもの。彼自身と彼の息子がそれを望まなくても、彼らを崇拝するバカどもは潔癖症が多いからねー」
わぉ、まるで見てきたかのような物言いですね?
アレですか? あなたはマグダラのマリアとでもおっしゃるのでしょうか?
「まぁ、そんなもんかなぁ。あぁ、コレも入れてみるかな」
並んだ薬草の中から数本を取り出して、鍋へと放り入れられる。今回は全体的に綺麗な青や黄に移り変わるのが早くて、わからないですね。でも、今回は異様に色が綺麗なようで。
「薬を作るのやめて、ただの気分転換にいい香りがする奴混ぜてるだけだし」
やめたんですか? 意外ですね。
「いつでも試せるからなぁ・・・・・・・気に入らないことしでかした人間の駄目貴族を実験台に」
後半、さらっと恐ろしいこと言いませんでしたか? この御方。
「やってきましたにゃー」
おぉ、ご帰還ですね。ニニ殿。あぁ、愛らしい白い御猫様。
「どうだった?」
「にゃにも変わってにゃかったにゃ? アレ、どんな薬だったのかにゃ?」
やはり、か。
「つっまんないわねぇ、納品もこのままでいいわよね。快楽を求める薬ではあるし、効果がないのは本人がバカだからって言えば終わりよ」
そうですね、実況中継して紅茶でも片手にそれを見てみるのはいかがでしょうか? とても愉快なものが見れるでしょう。
「それ、良いわね!
あなた、地の文なんてやめて私の使い魔の烏にでもなってくれない?」
そうですね、それも悪くないかもしれません。マスターからお暇をもらったら是非そうしましょうか。
こうして深き森にすむ魔女は今も薬を作って生活しています。白い猫と、黒い烏を従えてただ自分が思うがままに生きているのです。
いかがだったでしょうか?
地の文を一人のキャラとして書くのは面白い試みだったし、書いているときも面白おかしくできたのですが終わらせ方がわからなくなりそうで適当なところで打ち切ってあります。
四題といいつつ、それも一文しか使っていないことも多いですし、書いていて課題だらけなのですが・・・・。
感想、誤字脱字報告、お考えになった四題お待ちしています。




