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14 「虎」 「バイオテクノロジー」 「メダル」 「謎の研究所」

この作品は正直・・・・今まで書いたどの作品よりも未完成であり、作者本人があまり納得していません。

が、あえて投稿させていただきます。

書いた時の私が何を思って完成に入れたのかはわかりませんが、私は同じ形式でこれからも書いていくつもりです。

納得できない作品も続きもできない作品もすべてが私です。


読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。

では、本編をどうぞ。

「虎? こんなところに・・・・すごい怪我ね。もう獣医にこれは無理でしょうね、かといって・・・・・あんなところにこの子を連れて行くのは・・・・でも」

 かつて、死ぬはずだった虎を助けたのは白衣の女性だった。

「おじちゃん、虎のおじちゃん」

 その謎の研究所で改造されて、人の形をとらされた彼の心を救ったのは一人の少女だった。

「全てを殺せ! 女子どもであろうと関係ない、ここにいる全ては悪だ!!」

「ごめんね、フー。八重を頼むわ」

 彼に初めて喪失と悲しみを教えたのは、恩人である白衣の女性との別れだった。そして、彼は初めて怒った。

 己を救った彼女を、心を救ってくれた少女を、狂っていた研究所で彼を番号でなく、名を呼んでくれた存在を奪おうとする『正義の味方』を許すことが出来なかった。

「おじちゃん、ごめんね」

 その背で流された少女の涙で彼は止まった。怒りを忘れ、少女の涙を止める方法を探した。

「フー、行って・・・・・八重、フーをお願いね」

「うん、母さん。バイバイ」

 少女は泣きながらも、幼いその年齢には不似合いな言葉ではっきりと母へと別れを告げた。少女は首にかけられたメダルを指で弾いた。そして、そこで景色が変わる。


 気づけば彼は少女と共にどことも知れぬ荒野に立たされていた。弾いたメダルを大切そうに手のひらに握って、必死になって涙をこらえる幼子をその逞しい背に乗せて、彼は誓う。

 たとえ、世界の全てが彼女に敵対しても、殺そうとしてもこの少女を守ると。


                       ×


「フー兄さん、ご飯出来たよー」

 暖かな湯気を立てながら少女だった女の子はスープを器に注いだ。固いパンを慣れた手つきでナイフで薄切りにして、青年へと手渡した。

「あぁ、すまんな。八重」

「干し肉もあるよー、こないだ兄さんが狩ってきてくれたウサギを乾燥させて作ってみたんだ。

 塩で軽くもんだだけだから、味は保証できないけど」

 女の子はおずおずと干し肉を青年の前に置き、自分の口にも運ぶ。青年は何もためらうことなく、口に運び咀嚼する。

「どう? 兄さん」

「うまいぞ。八重」

 わずかに口元を緩め、女の子の頭を撫でる。

「また、作ってくれ」

「うん!」

 素っ気ないともとれるそんな青年の言葉に女の子は嬉しそうに、笑った。

「八重、旅は好きか?」

「好きだよ、兄さんとずっと一緒に居られる。それに町に居たって、私たちは違うものだって実感するだけ」

 唐突に聞かれたその言葉を、女の子は対して迷うそぶりもなく答える。

 馬と幌馬車、それが二人の家。投げ出された荒野から二人だけで手に入れた宝、大切な場所。

 人であって人でない、獣であっても獣ではなかった。かつての黒き虎、名はフー。そして、女の子は白衣の女性―――久藤 紗江(くどう さえ)―――の実の子ではなかった。巣から落ちたアルビノの小鳥、名は八重。互いに紗江に救われ、家族として迎えられた者同士だった。

 彼らにはどうだってよかったのだ。

 謎の研究所で行われた遺伝子的な実験も、動物を人へと変えることも、そこが『正義の味方』によって滅ぼされる定めの『悪の組織』の一端だったとしても。

 ただ三人でいるあの日々が続きさえすればよかった。

 それ以外何もいらないと、己を拒まぬ場所がこれほど心地いいと知ってしまった時点で二人には紗江が心の支えだった。

「紗江も・・・・いればよかったのにな」

 珍しい青年の言葉に、女の子は頷いて立ちあがる。

「母さんもきっと好きになってくれたよね?

 三人で世界中回って、いろんな物見て、楽しい思い出を作って、もう世界を旅することも飽きたら、三人でどこかの山の中で暮らしてさ。

 誰かがいなくなっても、一人になっても、思い出と笑って最期を迎えられるような・・・・そんなことも出来たのかなぁ? 兄さん」

 その目には涙をためて、必死に流すまいとする強い女の子を青年は優しい眼差しで見ていた。

(この強くあろうとする愛おしい妹を、私はどこまで守りきることができるだろう)

「あぁ、きっと・・・・そうだろうな」

 食事を置いて立ちあがる。大切な妹を抱きしめて、頭を撫でてやる。

「泣いていい。お前は泣いていいんだ、八重」

「泣けないんだ・・・・兄さん。母さんと別れたときも、今も・・・・・・悲しみはいつだって突然に湧き上がってくるのに、幸せはどうして・・・こんなに遠いんだろう?」

 翼をもって生まれた小鳥は巣から落とされ、死ぬはずだった。

 それを一人の女性が救った。

 手のかかる野鳥の子を拾って、本を片手に寝ずに世話し続けてくれたことを少女は覚えていた。

 他の人間によって人間にされそうになった時も怒り、他の者たちに押さえつけられながら止めようとした彼女のことを知っていた。

 姿を変えた少女を最初に迎えたのも彼女だった。

 うわ言のように謝罪し、少女を抱きしめて離さない彼女を少女は見ることもなかった母を感じた。

 少女にとって彼女こそが母だった。

 産みの母など知らずに、本来食事を運んできてくれるだろう父も落ち子など見向きもしないのが自然の摂理。

 それを拾ってくれた人がいた。

 散る筈だった命を摂理から逆らい、食事を与え、少女を思って泣いてくれた人。

「・・・・・どうしてなのだろうな」

 異形の姿を持って生まれた虎は、親からも見捨てられ死ぬはずだった。

 それを女性は救った。

 獣として保てぬ体を彼女は泣きながら、人に変えた。

 目を充血させて、その下には隈を作っても女性は虎を安心させるように話しかけ続けた。

 兄弟にすらこうして語られることもなかった虎は、言いようもない心地よさに包まれて穏やかであれた。

 青年にとって彼女こそ同朋だった。

 誰もいなかった彼に、ただなんら負の感情なしに声をかけてくれた物を、彼は八重と彼女しか知らない。

「それでも私たちは今、生きている。生かされている。紗江によって、な」

 二人だけではなかった実験体を彼女は全員救いたかったはずだ。

 その中で彼女は二人を優先して、逃がした。

 それは彼女がより情をかけた者たちを優先した結果だということはわかっていた。

 『命に順位をつけるな』と、人は叫ぶ。だが、そんなことは不可能だ。

 人は身近な人間を優先するものだし、大切な者の笑顔を見るために片思いをする者を手ひどく振ることができる。

「わかってるよ、兄さん。行こうよ。いつか私たちが『正義の味方』に殺される日か、どっちかが死ぬまで一緒に居ようね」

「あぁ、八重」

 そして、青年と女の子はいつか訪れてしまうだろう終わりの日がくるまで、今もどこかで二人きりの旅を続けている。


いかがでしたでしょうか?


3000字に到達していないだと・・・?!

投稿していく中で初めてのことですねー。キャラ設定ですら3000字超えてるのに・・・・。

無理やりではありますが、話としてはまとめてあります。

この作品は納得いかないのでもしかしたらいつか書き直すこともあるかもしれません。


感想、誤字脱字報告、お考えになった四題お待ちしています。

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