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11 「自転車」 「旅」 「人の温もり」 「一杯のお茶」

これはすごく短いです。

メインは人の温もり・・・・・というより、絆ですかね。

四題にしてそれに沿って書こうとして入るんですが、文章の拙さでいくつかは触れる程度にしか書けてないんですよね・・・・。

これからも書き続けていく中で、自己満足でも形に残していけたらいいなと思います。

小説家もやはりあきらめきれませんし。

話がだいぶ逸れてしまいました。申し訳ございません。


読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。

それでは本編をどうぞ。

 僕は旅人だ。自称じゃない、ただの旅人。

 僕は異世界の多くを相棒であるこのバイクで回ることを、神から許されている『聖人』という立場の持ち主らしい。でも、僕はただの人間。かつて住んでいた『地球』と呼ばれる星の『日本』と言う場所で僕は実に普通の人生を送った。

 何、語るほどのことじゃない。

 ただ働いて、奥さんと子どものために社会の歯車になっていただけ。日々の糧を得るために仕事し続けただけの人生、趣味なんてこれと言ってなかったからなぁ。

 脳梗塞であっさり死んで、天国みたいなところに行ったら初めて出会った神さまが土下座してんだもん。アレは驚いたね。

 話を聞くとどうやら俺の死はまったくの想定外の上に、部下の一人のポカミスによって死んだらしい。無論、その者にはそれ相応の罰を与えるつもりではあるらしいのだが、詫びに何かをしたいとのこと。

 でも僕、特に欲しいものなかったんだよねー。

 本の編集の仕事におわれたような人生だったけど仕事は好きだったし、幸い人の縁には恵まれていたから同僚も友人も、先輩も、後輩も良い人たちばかりだった。

 料理上手で裁縫好きだった奥さんだって愛していたし、四人いた子どもたちだって大好きだった。

 長男は料理人に、長女は小説家に、次男は整備士に、次女はパティシエになってそれぞれが自分の好きなことを仕事にして、成功してくれた。

 死に方だって別に嫌じゃなかったし、次女の結婚式に一休みしようと思って座ったらポックリだもんなぁ・・・・。奥さん、びっくりしただろうぁ。めでたい席で死んで、向こうの親族には悪いことしちゃったかなぁ。生活は僕の貯金で何とかなるだろうけど、幸せになってほしいなぁ。

『じゃぁさ、僕の家族の今後を幸せにしてあげてくれないかな?

 僕の人生にあったはずの幸福の分以上に、笑顔に溢れた人生をさ』

 僕がそんなこと言うと神さまは驚いていた。

『そんなことでよいのか? 自分のことでもっと望むことができるのだぞ?』

『僕を生き返らせるのは無理でしょう?』

『まぁ、そうじゃが・・・・・・生き直したいとは、人生をやり直したいとは思わんのか? 美女を抱き、金に不自由しない生活や美食に溢れた生活に夢を抱かんのか?』

『実に神さまらしいねぇ・・・・・僕は端から見たらただの普通の男だった自覚はあるし、生活もこれといって華やかなものじゃなかったけどさ。僕にはもったいないようなできた奥さんと子どもたちがいて、楽しい職場があった。それで結構、満たされてたんだよね』

 美女を抱くとか、金が欲しいとか、美味しい物を食べたいとか、ワガママしたいとか、奪いたいとか、仕事したくないとか全然なくて、奥さんにはよく笑われたっけなぁ。

『あなたは無欲ですね。でも、そんな真面目で優しいあなたが好きですよ』

 って言ってくれたっけ。

『僕は僕で在れて、幸せだった。

 僕じゃなくなってまで、あそこに居たくなんて思わないくらいにね』

 僕は目を細めて思い出す。

 大好きな本の編集をして、原作者たちと繰り広げた熱い語り合い。そこを彩るのは妻の持たしてくれたクッキーと娘が書いたファンレター。

 休みの日は子どもたちと一緒になってパンを作ったり、ケーキを作ったなぁ。焦げたり、ちょっと甘すぎたり、形が歪だったりしたけどそれもとても好きだった。

 子どもたち全員が二十歳になった時に僕らの結婚記念日にしてくれたそれぞれの得意分野を生かしたプレゼントは嬉しかったなぁ。長男が料理、長女が僕らのなれ初め話を本にしてまとめてくれて、次男は僕にスライド式の本棚を、奥さんには車の整備をしてくれた。次女はウェディングケーキのような大きな手作りのケーキを作って僕たちを驚かせてくれた。

 友人たちのプレゼントは決まって本だった。各々自分のおすすめの本を寄越しては、次の週には感想をいうための討論会を開いた。

 長男の嫁は、奥さんとよく似た黒髪美人で古風な日本美人だった。裁縫が得意と言うこともあってとても仲が良く、互いに裁縫を教え合っていた。

 長女の婿は、武骨な大工見習いだった。『父さんと同じ、優しい人だよ』と言ってくれた娘を見て、『幸せにしろ』と涙ながらに僕は婿に伝えていた。

 次男の嫁は、スポーツ選手だった。活動的なその姿はとても新鮮で、奥さんや次女が作った食事を気持ちよく食べる女性だった。

 次女の婿は、同じパティシエだった。互いに互いを高め合うライバルのような夫婦、惜しむらくは二人が手掛けたあのウェディングケーキを食べれなかったことかな。

 すごく平凡な人生。でも、穏やかで満ち足りた人生だった。

 幸せで、温かい。これ以上の人生などないと思ってしまうくらい。

『・・・・・・・・本当に、すまなかった』

 僕の考えをどうやってか、読んでいたらしく涙ながらに神さまは頭を下げていた。

 あー、なんかずっと頭下げられ続けられそうで嫌だなぁ。

『じゃぁ、さ。奥さんたちがここに来るまで、旅がしてみたいなぁ』

『旅?』

『そう、大学時代に一度だけ自転車で北海道まで行ったことはあるんだけどさ。それをあなたができる範囲で世界中、いや、異世界中を回りたいんだ。バイクで』

『そんなことでよいのか? わかった。今すぐに用意させよう』

 そう言って飛び出していく神さまを僕は見送りながら、神さまが置いていった水晶玉を眺めていた。

『奥さんを映してもらえるかな?』

【承知いたしました。聖人様】

 そんな丁寧なメイドのような声が返ってきて、僕は驚いたけど気にしない。その水晶玉に映るのは僕の葬儀、多くの原作者と同僚と、友人と、後輩と先輩。そして、家族たちが映る。多くの参列者たちが僕の生きた証、供えられている物は僕が編集に関わった本や奥さんと娘たちのケーキ、子どもたちが誕生日や父の日、結婚記念日に送ってくれた多くの物が置かれていた。

【愛されていたのですね。あなたは】

 奥さんが泣いていた。

 娘と息子の嫁たちが泣いていた。

 息子と娘婿たちが泣くのをこらえて、支えようとしている。

 先輩が怒りながら泣いて、友人たちが惜しんでくれた。

 後輩が下を向いて、涙をこらえることなくむせび泣く。

 原作者たちが僕のことを褒めていて、同僚たちがそれに胸を張っていてくれた。

 胸が痛くなってきた。僕のせいじゃないけど、僕の死んだせいだしね・・・・。

『そう、なんだろうね。ハハ、死にたくなかったなぁ』

【私たちもあなたのような方を殺したくはなかった。まことに申し訳ございません】

『いいよ、もうどうしようもないんだから。奥さんたちの幸せも保証してもらったし、僕は異世界を旅することができる。奥さんたちがこっちに来るまで、それを楽しんでまた出会えた時の話のタネにでもするさ』

【前向きなのですね、あなたは】

 なんとなくその声の主が、微笑んだ気がした。僕はそれが嬉しくなって、さらにこう言った。

『旅に同行者が欲しいと思っているんだけど、君に来てもらってもいいかな? 君の本体は水晶なのかい?』

【はい? かまいませんが、私はこれを管理しているだけであって姿もとれますが・・・・本気ですか?】

『本気ですよ? 旅は一人だけじゃ、味気ない』

 だから、僕は神さまから彼女を借り受け、異世界中を回れるパスポートのようなものを貰って旅に出た。某小説の○ルメスみたいな形のバイクはとても気に入っている。なんとなくでしゃべってくれないかなぁとか考えてたら、ホントにしゃべった。名前はケイオンにして、僕は天使の従者と相棒と共に今も旅を続けている。


 この旅が終わるとき、それは奥さんが死んだとき。

 それまで僕は多くの世界を見て回り、楽しい話を知るとしよう。

 そして、いつものように手作りのクッキーと美味しい一杯の紅茶と共に多くの話をしよう。 相棒と従者と共にいろんな世界に行って、楽しんだことを。

 その上で神さまと交渉して、可能ならば今度は妻を交えて旅に出るのもいいかもしれない。

 そんな新しい夢たちが僕の中でキラキラと輝きだしていた。


珍しく3000字をやっと超えるくらいですね。

旅のほうを書くと長くなりそうなので書かなかったんです、これ。

もしかしたら、今後この主人公の旅するところは書くかもしれませんし、読んでくださっている方のリクエストがあったら書くかもしれません。

・・・・・でも、彼。名無しなんですよね。


感想、誤字脱字報告、お考えになった四題お待ちしています。

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