国境戦の戦い
第一章の一年前の話です。
異世界アースが舞台ですが 欧州、東方、中東など地球と地理が類似しており、便宜上 流用しています。
この世界アースは現在7人の英雄達の群雄割拠の時代にあった。
西の王国連邦
ブリタニアの“悪魔使い”佐藤真理亜
ロマリアの“勇者”山本修
ポルトガ“海賊王”高橋 渡
東の帝国連合
シンの“戦女神”伊藤迦具夜
ルーシの“改造人間”鈴木剛太郎
ガリア公国
ガリアの“教授”渡辺彰
暗黒大陸
イシスの“人形師”田中義嗣
世界の覇権を巡り、領地拡大を虎視眈々と狙っていた各国に強大な力を誇る異世界からの来訪者が来た二年前に世界大戦が勃発した。
各国の異世界人達が国の戦力として扱われる中、西帝国連合、通称戦女神帝国の女帝“傾国の美女”は他と異なり、時の権力者にまで上り詰めた。
伊藤 迦具夜は絶世の美女と読んでも過言ではない旧家出身の令嬢だった。
いつもの稽古の帰りにこの世界、アースに落ちてしまい。此処が異世界であると知り、帰れないという悲嘆より自分は、あの息の詰まるような旧家から解放されたことを喜んだ。
誰に縛られることなく、自由に生きることも出来るようになった反面、自分を守るものが居ないと危惧したがそれは杞憂に終わった。
身体能力と自身の魅力が飛躍的に上がっていたのだ。
異世界人には、世界を渡る際に個人の力が強化される。
“教授”アキラは言語学を専攻し、尚且つ教職を目指していたため。 古代語さえ理解、解読できる言語能力と効率よく指導できる指導力が強化されたのである。
あまりにも地味なため本人は嘆いているがw
かぐやの場合、先祖代々脈々と受けつがれてきた技と血つまり、武芸(戦闘技術)と美貌(魅力)が大幅に強化され、神業と永遠の美を手に入れ、副産物として其れを支える身体能力が強化された。
完全なる肉体……決して老いることなく、全盛期の実力を兼ね備え続ける不死の体。
東洋武術の最終目標は不老不死に到達する事であり、日々、外功(肉体)と内功(内臓)をも鍛えてきた為、異世界に渡った際、その部分が色濃く強化され、不老不死の肉体を手に入れたのだ。
異世界人確保に乗り出し、カグヤを確保しに来たシン帝国の権力者に庇護を受けようとする素振りみせて皇帝に近づき、かぐやの美貌にあてられた皇帝の家臣、民衆を扇動し内戦を起こしたのち帝国を乗っ取ってしまい次々に周辺諸国を吸収して女帝へと成り上がった。
女性が国のトップに立ち、女性でも実力があれば要職につける事をスローガンにしたことで、世界中から女の身の上だけで要職に就けなかった実力のある女性たちが集まり、かぐやは戦女神女帝と呼ばれるようになる。
此処に栄華を極めた権力者が最後に求める不老不死を手にした皇帝が誕生し、破竹の勢いで北の技術大国ルーシをも破ったのだった。
ルーシを破る際、最後まで抵抗したのは同郷の青年“改造人間”鈴木 剛太郎。
まんま昭和ライダーなみの戦闘能力と騎乗技術でかぐやを圧倒し自身を改造したからか、魅力も通じない。カグヤにとって最大の天敵かと思われたが、かぐやを相手にするにはあまりにも遅すぎた。
改造人間といってもあくまで人間の域を超えない。
たとえ超人であろうと戦女神の域まで経験を積み実力を付けたカグヤには歯が立たなかったのである。
此処に異世界アースのヨーロッパ大陸の7割を支配下に置く東ヨーロッパ及びアジア帝国 通称ヴァルキュリア帝国が誕生したのである。
此れに危機感を感じたロマリア、ポルトガ、ブリタニアは三国同盟を結び、そのあと周辺国家も加わり西ヨーロッパ王国連邦となり対抗する。
両大国の間に挟まれ、異世界人を獲得していないが遺跡、迷宮など古代遺産と魔石の産出国ガリア公国を足がかりにしようと両者のにらみ合いが続き、この間に戦力の増強を図るため、未だ見ぬ異世界人の捜索の為、“海賊王”は新大陸。
“勇者”は暗黒大陸へ、悪魔使いはガリア公国に内戦を誘発させ英雄のあぶり出しにかかった。
そして、異世界人最後の2人が現れた。
暗黒大陸に、機能美と造形美の人形を製作、自由時際に操る“人形師”田中義嗣
ガリア公国内全ての遺跡、ダンジョンを単独で踏破した“教授”渡辺彰である。
人形師は覇権に興味が無く静観を決め込み、強硬策に出ようと勇者を嗾けたくとも彼の性格上不可能。 海賊王は現在新大陸へと航海中、悪魔使いはガリアへの工作と抑止力の為動かせない。
幸い人形師は国に属しているわけではないので、不干渉とし、勇者には暗黒大陸を開拓、国力増強に努めてもらうことになった。
注目すべきは伏兵、ガリアの英雄だった。
次回、戦闘回
思いっきり武等派の英雄二人にどう戦う?