教授VS戦女神 決着
月明かりが照らす中、二人の英雄が向かい合う
「へ~今朝に鈴木さんと戦って、殆ど連戦の状態でアリア、エレンのタッグを倒せるとは、ちょっと意外でした。まさか接近戦であそこまで動けるなんて彼女達にしても予想外だったでしょうね。」
カラカラと彼女が笑う。 戦いを前にした今、庇護欲をさそう少女 かぐや(・・・)はいない。
僅か齢18にこの世界に降り立った少女はユーラシア大陸の7割近くを支配する大帝国の女帝、世界征
服に最も近い女だ。
「連戦でお疲れでしょうが、これは戦争です。最後の攻撃の時手心を加えようなど考えないように・・ ・・・死にますよ。」
「俺を欲しいとか言っておいて随分な女帝だこと。」
「今でもその気持ちは変わりませんよ?ただ、貴方を欲する私と、貴方と戦いたい私は何ら矛盾していませんから?」
「違いをご教授願いたいね。」
まぁ近くに似たような女が居るから想像つくが。
(私ことですね♪ 主様❤)
「どちらも貴方の事をもっと知りたいという欲求から来る感情だからですよ。」
おっかないことで。血を見て性的興奮を得るのときになる異性をみて性的興奮を得るようなものか。
ヤンデレで二重人格かよ、このままいくとツンデレラにも遭遇しそうだ。
「さあ 殺し合おうか❤(あいしあおう)」
方天画戟を構えて戦女神がほほ笑む、やはり接近戦かでやる気か。
此方も業物の複製鉄槍を取りだし、技術力を底上げして構える。
空気が張り詰める中、初めに動いたのは俺だ、よく初めに動いた方が負けると言うが、先に動いた方が有利と判断、歴代の槍の持ち主たちが、俺に勝つ為に、其の穂先を、突いては引くを繰り返しを繰り返し瞬時に何発もかぐやの急所を穿つが、カグヤも方天画戟のラッシュを持って応酬する。
小手先の技などつかおうものなら即座に心臓を貫いて決着が着く。高速で撃ち合うのみの槍使い同士の最速の戦い。
彰が用意した槍は長年使い続けて尚槍としての形状を保ち続けた無名の業物、鉄槍にしみ込んだ技術は、生を受けて20年もたたない少女に負ける要素は無い!
一方かぐやもその血に脈々と受け継がれ、研鑽されてきた武術の歴史がある。つまるところ技術はどちらも同じ達人級、拮抗しつづけている。
両者ともに高速の突き以外にも攻撃手段はあるが、それを使えない。
使わないではなく使えない。
彰の無名の槍やかぐやの方天画戟も各々積み重ねてきた、研鑽してきた技も奥義もある。
だが、それでも槍の最速は何かと本人達に尋ねれば、”突き”という答えが返ってくる。
一本の槍を真正面にいる敵に向けて、最速最短の距離を突き込む単純にして槍術の奥義・・・突き以上
の攻撃手段は存在しない。
槍の穂先がぶつかり合う音は、次第に速さが増していき「ガガガガガガガガ」から「ガーーーーーーー」と音が続き、マシンガンを超える速度に至った。
そして、決着は唐突に着く。
互いの槍が心臓を貫く・・・相打ち
静寂の中、先ほどまで高速で動きあっていたのに時が止まったかのように両者は動かない。
しかし先に動いたのは、生き残ったのはかぐやだった。再生能力 レベル4 不老不死に最も近い肉体。
アキラのそれよりたった一つレベルが上だったが命運を分けたのは彼女に宿ったこの力だった。故に彼女は涙が止まらなかった。
自分の領域にまで到達した実力者。しかも相打ちであるが、彼はベストの状態で無かったにも関わらず。
相手の土俵で勝負を受け、尚且つ相打ちに持っていったのである。引き分け? 私の勝利? 違う!私はこの男に完膚なきまで敗北したのである。
彼のうわさを聞いた時胸騒ぎがした。彼の実力を一目見た時心躍った。彼と先に戦うアリアとエレンに嫉妬した。
彼と槍を交えた時、彼に惹かれていると自覚した。彼の心臓を貫き、自身の心臓を貫かれた時、槍を通じて心が通じ合った。
そして自分だけが生き残り、自分は失恋した。
敗者である自分が生き残り、勝者の彼が生き残った。彼には目的があった。 彼はガリアに心残りがあったのに!!!
生き残った敗者はひとしきり泣き叫んだ後、飛竜に乗り、ガリアの地を去っていった。
次回 戦乙女の章 ラスト




