プロローグ ”ガリアの名物教授”
感想くれると作者のやる気が上がります。
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「ガリア王立士官学校、講師 アキラ=ワタナベは異世界人である。彼を召喚したガリア王国は、世界制覇をたくらむ 悪の王国である。異世界人アキラは異世界人の自由のために、そして故郷に帰る為にガリア王国と戦うのだ!」
と、もはや講義のはじめの挨拶と化したセリフに生徒たちは苦笑いしていた。
ここ、ガリア王立士官学校は、未来の士官候補生、医者、政治家など軍部の幹部候補生を育成する教育機関であり、生徒や教師もエリート、上流階級の者が多く在籍している。
当然、先ほどのガリア王国を悪の王国だの営利誘拐(召喚)しただの国相手に戦うなどという発言は不敬罪、国家反逆罪と、国をも恐れぬ物言いなのだが、この若き異邦人の講師、アキラに限っては許される。
「本日の授業は、皆が普段世話になっている医療系スキル、アイテムの治療以外での使用法についてだ。これを知っていると知らないでは、迷宮での生存率は大きく変わるぞ。」
そうして、アキラは、教卓の上にネズミが数匹入ったケージを2つ置き投影機をあてて、講堂のスクリーンにその映像を投影した。
「このケージには普通の実験用マウスとアンデットマウスがそれぞれ入っている。アリシア君、アンデット系の魔物の特徴を答えてくれ。」
当てられた金髪ショートカットの生徒が席を立ち、答えた。
「はい。アンデットは死体に大気中の魔素が取り込まれて魔物化した物の総称です。不死と呼ばれるように生命力が高い反面、知能は殆どなく本能で襲いかかり、厄介な魔物で、血液感染で同類を増やすことが特徴です。 弱点である頭部の破壊もしくは火属性の攻撃手段が有効です。」
学年主席のアリシアの模範解答に満足に頷き、着席を促す。
「そのとおり、この魔物を狩るには高火力の魔法で腐って乾燥しつつある肉体を燃やすか、頭部の破壊が最も効率的な手段である。勘のいいものならそろそろ気づいただろうが、今回は医療系の魔法、アイテムでアンデット系を狩る方法を伝授する。」
この発言で、教室はどよめいた。特に士官目的ではなく医師免許の修得の為に入学した生徒はヒーラーやアイテムを使って後方支援を役割とする者で、高火力の攻撃手段を持たないため、単独での戦闘力は決して高くは無く自身の無力さに嘆いた経験を持つものは少なくない。
前衛で戦う戦闘職、高火力のメイジと同等の働きを得られる機会が得られるという教師の発言に心躍った。
「通常のマウスにヒールや回復ポーションをかければ知ってのとおり傷は回復するし、疲労もとれる。だが、このアンデットマウスにかけると・・・」
スクリーンに映るアンデットマウスはポーションが一滴掛かるたび、掛かった個所から煙(魔素)が吹き出し、苦しみだした。傷だらけのアンデットマウスの傷は回復せずに明らかにダメージを受けている。
そして、ワタナベ先生が右手を掲げ「ヒール」をかけるとアンデットマウスは動かなくなった。
みてのとおり、アンデット系のモンスターは回復ポーション、魔法に弱く強力な蘇生魔法やアンデット化の治療薬を打ち込んでしまえば一撃で狩ることもできる。此れは死体を媒介にして発生した魔物を唯の死体へと回復する方法で、相手の力量に関係なく効果がある。これならドラゴンゾンビも容易く狩ることができる。」
本日、最大の驚きは此れだろうドラゴンゾンビの討伐可能。
この国に“腐ってもドラゴン“という格言があるように、ドラゴンゾンビはドラゴンに比べ飛行能力、ブレスこそ失われ戦闘力は1ランク落ちるが刃を通さない強力な鱗と耐火力、生前より、強力な食欲を誇る高レベルの魔物でまさに腐っていようとドラゴンの名に相応しい魔物でである。
アンデット本来の弱点を無くした魔物で士官候補生が狩れるような魔物ではないが、ヒーラーのスキルを修得、あるいは効果の高い回復アイテムを揃えれば、容易に狩れるなら、高価な装備や人数をそろえるよりもコストパフォーマンスは遥かにいい。
「それではこの後は、ヒールの修得及び、ポーションの調合だ、すでに修得済みの者は、未習得の者にヒールの指導もしくは購買でアンデット化治療のアイテムを揃えてくるように、午後から、アンデット狩りだ!全員レベルを大幅に上げれる(アンデットの魔素を取り込む)チャンスだ!しっかり準備に取り掛かれ! 以上!」
この日を境に王国中のアンデットの乱獲が起こり、回復アイテムと国民のレベルがインフレしたのは言うまでもない。
アンデット達に冥福をww
この講義の後 放課後に、ダンジョン、死者の森などアンデットが多数沸く場所での乱獲を終えた時、生徒たちのレベルは急激にあがった。
この世界アースは俺達の故郷 地球とは異なった文化体系を持った異世界である。
地理や歴史、文化も地球と似通っているが決定的な違いは「魔力を持つ元素」が存在することである。
魔法の源である 架空元素 この世界では 「魔素」と呼ばれ、八百万の神の様に万物に宿る事が出来る。
魔素の結晶である「魔石」や大気中に満ちる魔素の 魔霧や魔素を含んだ 魔砂など決まった形を持たない。 これらをひと括りに魔素、若しくはエーテル、魔力と呼んでいる。
魔素は有機、無機問わず、生物、鉱物に蓄積されていき、一定量以上の蓄積量を超えると成長、変異、進化する。
俗に言うレベルアップ出る。
呼吸や食事でも魔素は蓄積されていくが微々たるものだ。
最も大量に取り込む方法は魔物を狩った時に死体から溢れだす魔素を身近で取り込むことである。
魔素を取り込める人体の器(成長限界)をトレーニングや戦闘経験、薬品などで強靭に鍛え、取り込める容量を増やす事でこの世界の住人は人よりはるかに強大な魔物を打倒してきた。
当然、器の鍛錬の下地は士官学生は済ませてあり、頃合いを見計らってこの講義を行ったのだ。
「蘇生したらゾンビじゃなくなっちゃうからアイデンティティーの崩壊で消えて無くなる法則」長いので「概念崩壊の法則」を始めたのである。
事前にゾンビ化の治療薬、ポーションを学園に大量に発注しておりアキラ自身もため込んだ貯金で、買い占めてある、いずれ起きるインフレでひと儲けする気満々である。
「(くっくっく暫くは、アンデット中心の授業になるだろうが、これと同様に「概念崩壊の法則」で、石像系のゴーレム、ガーゴイルも軽く屠れる魔物になるから、石化治療のアイテムなどの買い占めも忘れないと。全く笑いが止まりませんなぁ!! あっはっはっは!)」
そんなアキラに皆、尊敬と憧れの眼差しが向けらる。知らないということは幸せである。
僅か数日で、国力を大幅に上げてしまう黒髪黒瞳の異世界人、アキラ=ワタナベ
ガリアの英雄“教授”(プロフェッサー)
それでいいのか?教授、帰る方法はいいのか教授?
5月7日修正