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星攫いの少年  作者: 月蜜慈雨


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3/6

空の牢獄、光なき群星1



 人の魂は、死を経験して完全となり、やがてその結晶が夜空に輝く星へと成る。

 それは大変名誉なことであり、不変の事実だった。

 レオも何度も、葬儀屋で日雇いの仕事をしていたとき、その光景を目にした。



 死者の額から白い焔が現れ、やがてプリズムに輝きを放ち、形を不定形から結晶のような定形に姿を変え、ピューと空へ流星のように飛んでいくのだ。

 弔う人々はその姿に安堵の涙を流し、また自分もいつか星になることを望む。

 レオも自分がいつか、星になるだろうと信じて疑わなかった。

 レナの願いを聞くまでは。

 レナの魂をこの身に宿すまでは。




「レオ・フィエラは戦争犯罪の法を犯し、また其の身に別の魂を宿していることから、空の牢獄に封印する刑に処す!!」



 星集教の高等裁判官が恐々にそう宣言するのを、レオは茫然と見つめるしかなかった。

 そして鎖でぐるぐるに縛られた身体を修道士に引きずられながら、ただ青い空を見つめた。

 星がひしめいているだろうあの空を。

 修道士が乱雑にレオをある広い石畳の上に放った。

 その反動でレオの身体に衝撃が走り、何回かバウンドする。


「ウッ…」


 レオが唸り声をあげるのを気にも留めず、そのやせ型の修道士は、レオを下等生物を見るような目で見下し、一言、


「大人しく封印されなさい。攫い手よ」


と言い、去っていった。



 レオはただ、その後ろ姿を見つめるしかなかった。

 ゴゴゴゴ…と音がして、石畳が上へ上がる。


「え、えええぇぇぇぇぇ!」


 そのスピードはどんどん上がり、街が小さく、山が小さく、空が黒くなってゆく。

 あまりにも上空にいるせいで、寒すぎて吐く息が白くなる。

 このまま凍え死ぬのではないか、レオは急に浮上したせいで気圧の影響をもろに受けて、朦朧とする意識の中思った。

 あの修道士が言っていた、封印とは凍え死ぬことで、俺は死ぬことを望まれているのかもしれない。

 そう思ったとき、初めてレオの心の中が叫ぶように熱くなった。



 まだ、レナとの願いを果たしてない、こんな所で死ぬわけには行かない!

 それでも身体はもう動かず、レオの白い息だけがまだ生存していることを知らしめていた。

 レオは気付かなかったが、石畳はある上空の地点で止まり、静かに役割を終えていた。

 霞む視界の中、レオは人影を見た。大きい、神話に出てきそうな巨体の持ち主だった。

 それを最後にレオの意識は完全に途絶えた。





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