本格的なストロー
噓狐短編
「京子、ストローが欲しい」
学校の帰りにファストフード店で購入した期間限定のカフェオレ(よくわからない横文字がたくさん並んでいる)を飲もうとしてたときに気づいてしまった。
まるくなって寝ていた京子がめんどくさそうに目を開けてこちらを見る。
「…ストローなら今君が握っているじゃないか」
「これ?*ストローがストローだなんて僕は認めないよ」
「ええ…」
「京子は、*ストローなんて使ったことないでしょう。だから分からないんだよ」
「それはまあ、そもそも僕はストローなんて使う必要ないんだけどね」
「でしょ。こんなふにゃふなやになるやつじゃなくて本格的なストローを出してよ」
「ふーん。それよりこれなに?なかなかおいしそうだね」
京子が興味を示してきた。紙コップの中身をくんくんと嗅いでいる。
「かふぇおれかな?それで本格的なストローをあげてらお返しは何がもらえるの?」
「カフェオレだよ。お返しは、…このカフェオレおいしー(棒)っていう笑顔かな」
「…ふーん。ま、いいや、ほいよ」
京子が軽く尻尾を振ると、僕の指の間にストローがぽんっと現れた。
そうそうこれこれ。水を吸わないつるつるな素材の…あれ?なんだか知ってるのと感触が違う。
「京子!!これ草じゃん!」
「うん。本格的なstrawだよ。せっかくあげたんだからさぞおいしそうに飲んでくれるんだろうな~」
京子は楽しそうに笑っていた。
今日もいたずら狐によるいたずらの被害は続く。
2025年3月13日