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【コミカライズ進行中☆】 「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中
三章 ❄❄❄ 子育てする氷たち

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50/61

❄50:テレシアが望むは――――。

 



 瞬く間に寝室から走り去ったランヴェルト様は、思いのほか早く戻って来られました。

 

「じ、じょと……いし…………よんっ、ッハァ……呼んだ」


 肩を上下させ、ゼーハーと荒い息を吐きながらそう言われると、その後すぐにベッド横の床に跪かれ、私に無理に動かぬよう言われました。

 その後、少しして侍女たちが寝室に入ってきました。

 お医者様が来るまでは、少し時間が掛るようです。


 普段とは違うズンズンとした痛みから、どうやら陣痛が起こっていたのだと理解しました。

 唸りたいほどの骨を抉るような痛みが来たかと思うと、ふっと和らぐタイミングがあり、その時に急いでお尻の下に清潔な布を敷いてもらいました。

 動かなくとも羊水が漏れ出ていくので、ベッドを汚してしまい、ちょっとしょんぼりです。

 

「そんなことを気にしなくていいから」

「はい」

「ほら、水を飲みなさい」

「ありがとうございます」


 ランヴェルト様が甲斐甲斐しくお世話してくださいます。


「他には? 欲しいものはあるか?」

「っ……」


 ――――欲しいもの。


 言って良いものか分からなくて、言葉に詰まってしまいました。

 それに気付いたランヴェルト様が、真剣なお顔になられました。


「我慢も遠慮もいらない。私たちは夫婦だろう? 天下を取ってこいと言うなら取ってくるし、ケーキが食べたいと言うなら今すぐ作る!」

「っ、あはははっいたたたたた! ランヴェルト様っ、あははは! 痛いから笑わせないでくださいっ!」

「ぬ、すまん……」


 天下だの、ケーキだの、妻や妊婦を何だと思っているのでしょうか。そんな不思議な思考回路をした生物ではないはずですが。

 ランヴェルト様のそのセリフで、彼が心底慌てているのが分かって、なんだか笑いが込み上げてきました。


「とにかく、何でも言って」


 少し不安そうな面持ちでそう言うと、首を傾げて見つめてこられます。

 仕草が表情が、そこらの少女よりも少女らしく、あまりにも美しいのですが、男性なのですよね。

 ちょっとスンッとなってしまったのは内緒です。


「では――――」


 甘えても、良いんですよね?


「――――手を握って欲しいです」

「は?」


 ぽかんと口を開けて、放心したような反応をされてしまいました。


「手を、握って欲しいのです」

 

 いろいろなことが初めてで、ずっと痛みが続いていて、ちょっとだけ不安になっています。

 ランヴェルト様のお気遣いも嬉しいのですが、ただ手を繋いで、「大丈夫だ」と言ってもらえたら、なんだか不安が拭い去れるんじゃないかと思ったのです。


「っ! 尊いっっっ!」


 ランヴェルト様が何かを噛みしめるように歯を食いしばり、小声で叫ぶという謎の特技を披露されたあと、素早く手を握ってくださいました。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ コミックシーモア

▷▶▷ honto

▷▶▷ Amazon

▷▶▷ BOOK☆WALKER

― 新着の感想 ―
[一言] ……そして、ランヴェルト様の手が握り潰す勢いで握りしめられるのですね……
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