❄41:いちゃこら。
諸々の手続きをしつつも、日常生活は続くもので、時には友人たちとのお茶も。
「――――やだわぁ! 今さらそんなことを!?」
「フリーナ様、もっと言って下さい」
フリーナ様とアレイダがなぜだか仲良しになりました。
久しぶりにブックカフェでアレイダとお茶をしようとしていましたら、たまたま訪れたフリーナ様とばったり。
一緒にお茶しましょうよ! からの、大盛りあがりです。二人が。
「今さらと言われましても――――」
「ちょっとは進んでるのかと思えば、変な方向に爆進して……」
「驚きですね」
この二人に口で勝てる気がしません。
相談相手としては、とても力強い味方であり友人なのですが。
「変な方向とは?」
「普通は、夫婦仲をなんとかするじゃない?」
「はい」
なんとかしようとしていますけど?
「まさかの一斉断罪とか誰が想像つくのよ!?」
「なんとかしようとしたからこそ、このようなことになっているのですが?」
「いやいやいや。国を揺るがす前に二人でイチャコラが先でしょうが!」
フリーナ様がバッシバシとテーブルを叩かれます。頼んでいたジュースが溢れそうだったので慌てて持ち上げると、さらにバッシンバッシンと叩かれてしまいました。
「いちゃこら? は、ちゃんとしていますし、会話も弾むようになりました」
「……は?」
「ですから、イチャコラ――――」
「かーっ! しっかりヤってんのかよ!」
フリーナ様が素に戻りました。
「……フリーナ様の声、けっこう野太いわね」
アレイダのツッコミが恐ろしいです。
フリーナ様を見ると、「キャッ、やだぁ! もう!」とかくねくねしていました。今日はエメラルド色のドレスにスパンコールが大量に縫い付けてあるので、凄く魚っぽい煌めきがあります。
「アンタ、褒めてないわよそれ」
「え……綺麗だなと」
「いや、褒めてないわよ……もうやだこの子」
フリーナ様がなぜかしょんぼりと下を向かれました。
「あっ!」
「何よ?」
「いえ……下を向かれていると、少しだけランヴェルト様に似ているなと」
伏せた瞳の感じとか、輪郭とか、そういえば鼻や唇もけっこう似ているのよね。
なんで今まで気づかなかったのかしら?
「ランヴェルト様も女装似合いそうですよね」
「…………アンタ、怖いもの知らず過ぎない?」
ふと思ったことを口走ってしまったのですが、まさかドン引きされるとは思いませんでした。





