❄30:甘い口づけ、溶ける氷。
お互いがお互いを想い合いながらの口づけは、今までにない多幸感がありました。
ランヴェルト様からの愛が深く深くに染みわたるような甘いキス。
これまでしていたものは、なんというか……ふわふわとしていたというか、ソワソワとするだけだったというか……。
それはそれで良かったのでしょうが、今は――――。
「――――もっと」
「っ! ん……」
何度も角度を変えて重なる唇。
それは、お互いの息が乱れて苦しくなり、深呼吸が必要になるまで続きました。
「ふ……ははは」
急にランヴェルト様が笑い声を上げられたので、どうしたのかとお伺いすると、楽しそうにバードキスというチョンと触れるだけのキスを繰り返されました。
「幾度か体を重ねただろう?」
「ええ」
結婚式のあとの初夜、その後も何度か。
どれもこれも、思い出すと顔から火が出そうですが。
「とても幸せだと感じていたんだよ。間違いなく。だが、いまこの瞬間にした口づけが一番甘く感じたんだ」
まさか、ランヴェルト様も同じように感じていてくださったとは、思ってもみませんでした。
ランヴェルト様が飲まれていたワインの移り香の可能性もあるかも…………なんて予防線まで張っていたのに。
何度目かの深いキスのあと、見つめあいながらお互いが頷きました。
こういう時、とても夫婦だなと感じます。
ランヴェルト様が微笑みながら枕元のランプを消すと、暗闇が訪れました。
窓から射し込む月光。
きらきらと反射するランヴェルト様の白銀の髪は、宝石のように美しく、いつまでも見ていたいもののひとつです。
翌朝、目覚めてお互いに見つめあうこと、三十秒。
ゆっくりと近づいていく顔。
「……やはり、甘いな」
朝の挨拶にしては、とても濃厚なキスのあとに、ランヴェルト様が妙に満足そうに頷かれました。
朝食を終え、執務室へと向かいました。
ランヴェルト様は本日も王城での執務がありますが、その前に例の手紙を開くことになりました。
「何度も言うが、気持ちの良いものではない」
「はい。承知しております」
「破り捨てたくなったら、やっていい。どうせまた直ぐに届く」
「……はい」
そっと渡された封筒からは、妙な禍々しさが伝わってきました。
これを読んだところで、私たちの関係に悪影響を及ぼすことはないのだと解っています。
ですが、やはり少しの緊張があり、受け取った瞬間、手が震えてしまいました。
――――大丈夫。





