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13/61

❄13:頬を赤く染めた氷の貴公子様。

 



 ◇◇◇◇◇




 もう寝ようとベッドに入ったところで、侍女からお父様が執務室に来るように言っている、と伝えられました。

 こんな夜更けにどうしたのかと思いましたが、お父様の性格は、気になったことはその時に解決したいタイプなので、何か事情聴取でもされるのだろうと思いました。もしかしたら、氷の貴公子様に出した手紙のお返事が来たのかもしれませんね。


 ――――やはり、婚約破棄かしら?




 ガウンを羽織り、お父様の執務室に入りました。

 てっきりお父様が執務机に着いて、何か書類でも記入しているのだろうと思っていたのですが、執務室にお父様はいませんでした。

 その代わりに、執務机の前にこちらを向いた氷の貴公子様が立っていました。


「なっ!?」


 驚いた顔と声。

 そこで、私が人前に出てはいけない格好だったと思い出しました。

 どうせお父様相手ですし……と、ちょっと気が緩んでいました。

 氷の貴公子様が背を向けてくださったので、ガウンの襟を正し、腰紐をしっかりと締め直しました。

 足首はどうしようもありませんから、諦めでいいでしょう。


「見苦しい格好をお見せして申し訳ございません」


 氷の貴公子様の背中にそっとお声を掛けると、彼が恐る恐るといった雰囲気でこちらを振り向かれました。


「っ! さっきと何も変わってない!」


 氷の貴公子様が慌てた様子で、右手でご自身の両目を覆いました。べチン!と勢いの良い音が聞こえたのですが、大丈夫でしょうか?


「襟元は正しました」

「っ! このまま話す!」

「はぁ……」


 どうせ数カ月後には夫婦になりますし、多少肌を見るくらいは気にしなくても良いのでは? とは思いましたが、それを言ってしまうと、なんとなく怒られそうな気がして口を噤みました。


「手紙を読んだ」

「はい」

「なぜあんな方向になる」

「え……? だって、不適格でしょう?」

「……………………婚約は継続するっ! いいな!?」


 氷の貴公子様が怒鳴りつつ、継続の命令を出されました。


「はぁ、承知しました」

「っ! 帰る。ちゃんと暖かくして寝なさい!」

「はぁ、かしこまりました」


 足早に立ち去る氷の貴公子様は、氷とは思えないほどに、頬も耳も真っ赤でした。

 そこまで怒っているのに、婚約関係は継続なのですね。我が家との契約はそんなに公爵家に利点があったのでしょうか? よくわかりません。


「おやすみなさいませ、良い夢を」

「っ――――ん、君も。良い夢を」


 執務室を出たところで、氷の貴公子様の後ろ姿に声を掛けましたら、ピタリと立ち止まり、真っ赤なお顔のままで、返事をしてくださいました。


 ――――優しい方ですね。




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


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