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12/61

❄12:黒髪の少女からの手紙。

 



 ❄❄❄❄❄




 王城から戻ると、テレシア嬢の家の使いが家に手紙を持ってきた、と報告があった。

 淡い桃色の封筒を受け取り、足早に執務室へ向かった。

 

「ランヴェルト様! お食事は?」

「後で良い」


 多少空腹ではあるが、今はそれどころではない。

 テレシア嬢が手紙を寄越すのは初めてのことだ。つまりは、一大事の可能性がある。

 

 執務室に座り、レターナイフでゆっくりとシーリングスタンプを剥がした。

 カサリと中から手紙を取り出し、ゆっくりと開く。


『ランヴェルト様

 先日は失礼な態度を取ってしまい、大変申し訳ございませんでした』


 一文目を読んで、ほっとした。

 季節の挨拶など一切なしなのが、なぜか彼女らしいと思えた。

 

『通い慣れた場所が今までと違う雰囲気になったせいか、少し気が立ってしまっていたようです』


 なるほど、私がいたから妙に騒がしく感じたのだろう。たしかに、聞いていた雰囲気と違うなとは思ったが、私の周りはいつも何かと煩いから気にしないようにしていたが。

 

『あのような小さな変化で心を乱すなど、淑女教育を受けておきながらお恥ずかしい限りです』


 いやいや、きっと私の感覚が変なのだ。良くも悪くも注目され慣れているせいか、ただの雑音として処理してしまう。もしかしたら、聞きたくない言葉など混ざっていたのかもしれない。


『公爵家に相応しくないとの判断でしたら、すぐにでも婚約破棄をしてください。慎んで受け入れます』


 っ、て! なぜそうなる!?

 まてまてまて、急いで返事を書かねば。

 大慌てでレターセットを探すが、公爵家の家紋入りの妙に圧力を感じるものしかない。

 

 テレシア嬢が選んでくれたような、可愛らしいものなど持っているはずもなく。

 大慌てで馬車に乗り込み、ダンメルス伯爵家へと向かった。




「連絡なしでこんな夜更けに訪問してすまない。テレシア嬢と少し話したいのだが可能だろうか。無理であれば、伝言だけでも――――」

「では、こちらに」


 伯爵家の屋敷内は暗く、既に寝る準備に入っていたのだろう伯爵が応対してくれた。流石に断られるかと思ったのだが、伯爵の執務室に通された。

 ものの五分もしないうちにテレシア嬢が、現れたのだが…………。


「なっ!?」

「え……………………なぜ()()……」


 執務室に入ってきたのは、寝間着の上からガウンを羽織ったテレシア嬢だった。

 慌てて彼女に背中を向けたものの、ガウンの隙間からちらりと見えた鎖骨や、片方に寄せた黒髪から覗く項、顕になった足首。

 しっかりと目の奥に残ってしまっている。

 

 人のことを言えたものではないが、伯爵は何を考えているんだ!?

 なんと言って、テレシア嬢を呼び出したんだ!




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◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


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