豆鉄砲を頭に、包丁を腹に、薬も頭に
どろんこ巨人です。
今回は2作品目です。少し重めの内容となります。(前作 煙の狼狽)
お楽しみください。
「死ねばどれだけ楽になれるんだろ」
そう思った夜がいくつもあった。というかほとんどそうだ。ない夜なんてほとんどない。
みんな孤独で、息苦しくて、冷たい夜だ。
「なんで俺だけ」
そう思った夜が何度もあった。毎日そうだ。隣の芝はいつも青い。
惑わすために酒で頭を誤魔化す必要があった。そうしないといつ自分から命を捨ててしまうかわからない。
「もう疲れた」
そう思った夢をいくつも見た。幸せになれない。自分は他より恵まれてる。そう自覚できるのに、何も充足感がない。そんな人生に意味があるのかと、邪推してしまう。
「幸せになれよ」
そう願った夜がいつもあった。自分は幸せじゃない。ならせめて他人の幸せを願おう。
せめて清い人間であろう。そんな人間じゃないことは自分が一番わかってるのに。
「さよなら、いい人生だったよ」
そう言いたい夜が幾度もあった。もう諦めたかった。いい人生だなんて胸を張って言えない。でもせめて、虚勢を張ってでも心配させたくない。孤独はいやだ。
「……」
夜はもう来なくていい。1日なんていらない。なんで一生があるのだろう。そう考えを巡らすと全てを終わらせたくなった。せめて笑おう。
「ごめん」
朝はもうこない。言えればどれだけ楽だったろう。家族や友人にどれだけ迷惑をかけただろう。その借りが返せないなら謝罪と感謝を伝えるべきだった。
「なんで死んだの」
そう言われる日々は続いた。原因はお前たちなのに。自分はあたかも被害者かよ。
ああ、死んでよかった。
「なんで死んだんだ」
そう思う時間が沢山あった。何が辛かったのかは明確だった。でも自分でなんとかできたはずだ。そう思うと、笑いが止まらなかった。全く可笑しい、喜劇だ。
でもなんでだろう、涙が溢れてくる。悲しくなんかないはずなのに。
ご覧いただきありがどうございます。
この感情、わかる人いますでしょうか。
次回作、ご期待ください