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第1話 俺を捨てる

大学でも非認知スキル言葉では表しずらい技術が重要視されるようになった。偏差値だけで決まる世の中ではなく俺南條佑希は自身のスキルを日々磨いていた。そんな時トラックに引かれ人生に幕を閉じた...筈だった。

「気付いたかい」

大きなお髭を生やしたお爺さんが目と目10cmも満たない距離でにんまりと黒い笑みを浮かべていた。

「きしょ」

目の前の爺の顔を押し上げ手を床に着いたまま後ずさりをした。唾がかかった気がしたので腕で口を擦るとそんなに警戒するんじゃないと一歩一歩近づいてくる爺とは逆向きに走ろうとしたが膝が落ちるような感覚に見舞われ歩けない。

「どうしたんじゃ、逃げんのか」

爺の格好は皮製で片胸見せたローマや神の世界を思わせる格好をしていた。年老いた爺の体は鎖骨が浮かび上がり臍周りが陥没していた。何俺どうなるの。必死に逃げようとすればする程力が抜ける。その中でも爺は止まることなくこっちに近づいてくる。

「それっ襟が反対になってるぞ」

「あっ、すいません」

腕を後ろに回し襟をただ正してくれた爺さんはそのあと続けて言った。

「お主異世界には興味はないか」

「...異世界」

「そうじゃ異世界じゃ」

爺さんは今まで勉学に励んで来たことを高く評価して結果を残せず証明するチャンスを得ぬまま死んだ自分に情けしチャンスをくれた。

「これはなわしら神様が本当はしていい事では無いんじゃ。お主魔王と言う言葉は知っているじゃろうその下の機関に異界省と言う組織があるんじゃ、異世界人を俗に言う神隠しして連れ去っている機関なんじゃがお主が求めるならそこを通して異世界に連れて行けるぞ。」

「ただ搾取されて終わるだけでは」

「お主は今まで努力してきたじゃろう、異界ではそれをスキルポイントと言う形に変換する事ができるんじゃ。異界に着いたらスキルを使って逃げれば良い。選択肢はこのまま人生終了させるか、異世に飛ばされて第2の人生を送るかどちらが良いかなんて最初から決まっているじゃろう」

スキル、魔法のような不思議な力が使える世界があれば悪の組織からも逃げられたり日本では送れなかった特別な人生を歩めるかもしれない。答えは決まった。

「俺を異世界に連れてって下さい」

覚悟を決めてから2分が過ぎた。

「捕まってもわしのことは喋るんじゃないぞ。」

「なんで捕まる前提なんですか」

「冗談じゃよ、異世界着いたらわしの事報告をするんじゃぞ。」

「もうそろそろ連れて行って下さい。」

「連れない子じゃなあ。《 fkclふぉcじぇおxjうぃ》この先に行けば異世界じゃ行ってらっしゃい」

「行ってきます神様」


「異界から来た人間よどうか我らに新たな叡智を」

「...ここは、どこ、君は誰」

勿論ここの情報は神様から聞いたので質問する必要は無いだがこれからが掛かった場面それも選択を誤れば死ぬと言う場面慎重に行くしかなかった。

「そういうの良いから」

「僕はただ、ここが...」

声を震わせ目を大きく開き彼女の目を見つめる。彼女が睨んで来ても怯まずに涙目で訴え続ける。

「私香織ね。あなたふざけてるの?」

「...けてなんかない。本当に僕は...」

「マズ、嘘かどうか確認して」

「はい」

突然のマズの重々とした声に緊張で力を入れていた腹に更に力が入り吐きたくなる。男が背中側から近づいてくる。やばいやばい人生オワタ人生オワタあぁー神様今すぐ下さい。えと、非認識スキル、透明にさせて下さい。お願いします。

「右腕見せてね」

そう言い腕を袖を捲ろうとするマズの手を体がすり抜けた。こちらからは自身の体は半透明になって見える。

「どういう事、一体どこに消えたの」

「術式の不備で強制送還とかは」

「考えにくいけどそれしか考えてられないわね。彼が新しい知識を持っているようにも思わないし不備を確認出来しだい直ぐに再開するよ。」

バレなかった感じかな。足を地面に垂直に落とすようにしてゆっくりゆっくりと扉に向かう。

「思ったんだが転生時に魔法を授かったとかないか。フラッシュ。」

辺りが光に包まれ肌が焼けるような感覚に襲われる。紙が炙られるようにして透明化が解除される

「そんなところにいたのか。マズ捕らえろ」

透明化、透明化なんで使えないんだ。そのまま捕まった俺は魔法が使えない首輪を繋がれ牢に閉じ込められてしまった。

「上手くやったと思ったんだけどな」

牢屋の扉は厚い金属扉になっていて食事が届けられる以外外部との繋がりは持てなかった。その上窓なんてものは無く1日何食なのかすら分からない。

「今日は何日だ」

「言えないな。そういう決まりなんだ。」

彼らの返事は決まってこう、けれど聞かずにはいられなかった。返事に人の言葉が聞きたかった。

幾日たっただろうか。そろそろ食事が来るだろうかそれとも1時間後だろうか。

「そろそろ心も壊れた頃かしら。」

女、誰。

「マズ彼を鑑定して」

男は牢から俺を引っ張り、背中を服越しに手を当て詠唱を始める。マズ誰だっけ、聞いた事ある名前。背中が光り始め焼けるようにして痛い。

「浮かび上がった文字を読め」

「名前は南條佑希スキルは透明化ひとつ本人のLVは1」

「神からスキルを貰えるってなって透明化選ぶとかきしょ。」

「それでどうします。」

「調教室に回して変態趣味の親父にでも売っぱらいましょ。他に技能もあるわけじゃないし」

彼女の目には長い間の牢獄生活でやつれた佑希の顔は頬のたるみが無くなり腹の肉が削がれ貧相な体着きに手入れ次第では端麗な彼の顔はダイヤモンドの原石に映った。

「彼はきっと高く売れるわ」

「私が彼を買い取る事は出来るかい」

「トゥルカナ様どうしてここに」

男はローブを纏った黒い影。暗色の骨の周りを影が覆っている。

「たまたま近くを通っただけだよ。私も君と同じように彼が写ってね。これで譲っていただけるかね。」

「魔鉱石...。もう受け取りましたから。トゥルカナ様が忙しいようでしたら指定先まで運びますがいかがしますか」

「私の手で連れて行くよ。アルティナ。」

「はっ。ゲート」

トゥルカナと言う男とどこからか現れた女に連れられて黒とグレーのマーブル模様の時空の狭間に入り牢を後にした。


「なんだね、緊張しなくて良いんだ佑希くん。

私は神様に君を連れ出すように頼まれてね、もう君は自由だよ」

男の影は私から首輪を外した。すると首輪は不安を倍増させるようでさっきまでの声、返事が欲しいと言う気持は嘘のようになくなった。爺に文句の電話を入れトゥルカナさんの元独り立ち、今後に向かって勉強していた。


「お前はサモナーになりたいんだろ。スライムの一疋も手懐け出来ずにどうする。」

スライムは大型犬並のサイズはあるゼラチン質の体をしている生きる水まんじゅうみたいな生物だ。目の前にいるスライムに同じ目線になり魔石と言う餌をやっていた。

「おへぇえ。」

膝から崩れ落ち口が淫らに半開きになる。

「お前は芸人か!スライムに自分が主人だと自覚させるには素手で餌をやる必要がある。これは誰もが通る道だ。サモナーになりたくないのか。」

「なっちゃうんだってサモナーにはなりたいよ」

スライムに餌をやる時彼らは手を含めて飲み込もうとする為、口内の粘液に含まれる微量な毒に痙攣を起こしてしまうのだ。

「お前ゴブリンと対峙してみこのまま

だと痙攣して洞窟連れてかれてちょんだぞちょん。」

人差し指を手で作った鋏で切って見せる。身震いがして手足をピンと張り一瞬で立ち上がってみせる。

「これに関してはなれるしかないがお前の体が持つようにも思えん。反応も良いしサキュバスの店で働いた方がいいんじゃないか。」

「...そうですか」

ちょっと頬を赤らめて手を後ろで重ねモジモジする自分がいた。最近会う人から女の子と間違われる事も多くなり熱心に勉強を教えくれたり買い物の時はおまけしてくれたりと以前は絶対してくれなかったような対応をしてくれる人が出てきた事で自分は可愛いんだと自覚し目覚めようとしていた。部屋では布団の中で裏声出してみたりメークに挑戦してみたりとこれは時間の問題だった。

「今日はここまでだ。もしこれが続くようならスキルポイントで耐性を付けたらどうだ。」

「でも逃げたらダメだと思うんです。ここで...逃げたらテイマーにはなれない。どうしても我慢出来なかったらその時は考えます。」


「トゥルカナさん...と言う事があって」

「君の気持ちもわかるだがね私は彼の考えにも賛成するよ。君はスキルポイントがどういったものか分かるかい?」

「スキルを得る為の引換券」

「そうだな、そうか今から君にはこの世界の住民はスキルをどう捉えているかについて説明しようか。スキルは殆どの者が生涯に1つとるか取らないかと言う特別なものなんだ。スキルポイントはモンスターとの殺し合いの末獲得出来るもので神からのお祝いと捉える人もいる中で君は幾つもスキルを獲得出来る、君は正当なもの努力の結果得たものと捉えるだろうがこの世界では異常なんだ命かけずして神の祝福を受ける事は。君以上に努力したけど得られない人がいる中で制約なく欲しいスキルを得られ、数も複数個取れる君は指導官は耐性を得て時間を短縮してもっと高みに行って欲しいんじゃないのかい。」

「そういう事だったんですか」

自室に戻りベットに飛び込み布団を抱き枕のようにして声に鳴らない声をあげる。

「うぅーーーーー」

悩んでいた麻痺への耐性を持つとほとんどの毒が効かなくなり今の感覚も得られなくなる。スキルはあと4つ取れてすでに神様と話せて透明になって麻痺が加わるとゴースト専門、ダンジョンの罠師もありえるか。あと暗殺者も。テイマーは後方支援か前衛にたって味方の盾になる事が求められる中で不意打ちかけては消える事を繰り返すゴースト専門はどうだろうか。ダンジョンに雇われても対策をされやすいから長くは務められないだろうし。罠師は別途で技術がいるしゴーストのブリーダーってのは仕事として成り立つのだろうか?猫カフェならぬスライムカフェ作ってその手の人をもてなすのはどうだろうか。こう考えると道は幾つもある。悩んだ末ダンジョンに足を運ぶことにした

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