龍の木
大干ばつ。村では日照りが続き人々は餓死ししました。
神社には龍の鱗が祀られていました。鱗の形をした木の種で龍の形を成す木となり、天に昇り雨をもたらすといいます。
「あれは伝説じゃよ。あんなもの何になる」
諦めた大人たちを少女は残念に思いました。
少女は鱗の種に願いを込めて口付けをして乾いた土に埋めました。
次の日、種から龍の髭のような根っこがのび、芽が出ました。少女も村人たちも驚きました。
芽はさらに成長し小さな龍の木の姿になりました。
次の日、木はぐんぐん村人たちの背丈を越え大きな木になりました。
それでも雨が降りません。
どうしたら雨が降るの?
少女は悲しくて涙がこぼれました。その雫が龍の木の根に落ちると龍の木が白く輝き、空に向かってうねりながら昇っていきました。龍が一声吠えると。雨が降ってきました。
少女も村人たちも喜びました。
龍は花火のように、鱗は飛び散っていきました。




