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2-62.悪戯な火曜日3

落馬。


担架で、フィリップス王子が運ばれる。


「アリー、医務室っ。」


ライリューンが、叫ぶ。

そうだね。すぐ医務室に向かうよ。


「いや、そんなに、慌てなくても。」


「うん。頭から落ちたわけじゃないから。

 重くて骨折でしょ。」


うわぁ。ライレーンも、ミラドールも冷たい。

確かにその通りだけどね。


「急いだところで、治るわけじゃないし。」


「ボク、慌てないで、ゆっくり行ったほうがいいと思う。

 どうせ、バタバタしてるから。」


あっそか。処置の邪魔になっちゃうのか。

ライリューン、急がないで・・・。


あっ。もういないや。早いな。




[美容師の娘]  【 2-62.目がハート♡ 】




マスクをした医療スタッフが、てきぱきと動く。


ボランティアスタッフのコズネード・マカーは、ホゥスボールの医務室に派遣されていた。



エペイロ伯爵家の令嬢、オリンピュアス。

この人物は、今回の大祭で、大いに名を上げた。


もちろん聖火や、カワウーソス山の儀式で、主役を務めたことも、一因だ。


しかし、なりよりの貢献は、医務室への豊富な氷の提供。

彼女は、大量の氷を、保冷庫と共に、魔法で提供したのだ。


拳格闘、ホゥスボール、スタディオン走、幅跳び、円盤投げ、やり投げ。


競技で負傷した選手のほとんどは、この恵みを享受している。


そうして、また一人。負傷者が、運ばれてくる。



「こちらに、王子が、運び込まれます。」


「意識は?状態は?」


「大丈夫です。

 右腕を強く打っているようです。

 頭は打っていないようですので、問題ありません。

 意識は、はっきりしています。」


「では、こちらの部屋を、あけてください。

 王子だけが、使用する部屋になります。

 あっ、保冷庫の氷は、全て王子用に確保して。」



なんと、保冷庫ごと、氷が全て、王子用の部屋に持ち去られてしまった。

これでは、他のけが人が出た時に、対応が出来ない。


特別扱い・・・。分からないでもないが、これはさすがに・・・。

王家は、なんと、ひどいことをするのだろう。



******************************



「いや、私、知り合いだから通してよ。」


あっ、ライリューンが、捕まってる。

まぁ、そうだよね。 王子がケガしたからと言って、病室に入るのは、簡単じゃない。 いままで簡単には入れたのは、オリンピュアスが居たからだね。


普通に考えたら、入室許可書とか、身分証明書とか、そういうのが必要な気がする。



ライリューンに追いついた私は、改めて入室を申し込んだ。


「ヘドファン家のアリーでございます。

 王子のお見舞いに参りました。」


ライリューンが、何を言っても通れなかったドアが、あっさり開く。

ん~。私偉いっ。ちょっと、気持ちいいね。


「アリーって、便利だわぁ。」


いや、通行証みたいに言わないで。ライリューン。


ベッドに横になるのは、フィリップス王子。


「アリーっ。

 格好の悪いところを、見せてしまったな。

 もう少し、上手くできると思っていたんだが。」


いやいや、フィリップス王子。 すごーく上手かった。 下手したら、私よりうまいんじゃない? ホゥスボール。 私のは、魔法でドーピングしてたし・・・。


「そうだね。

 周りも見えて使えているし、自分でもボールを運べている。

 さすがに、ピクシノビッチ レベルとは言わないけれど。

 なかなかよ。王子様。」


おぉ、ミラドールが高評価。


「西部代表のレジェンドに言われると照れるな。

 アリーから見てどうだった?」


「そうね。

 相手選手と、馬体を入れ替えるのとか、うまかったね。

 あの馬の使い方は、私ではできないかな?」


まぁ、私なら、そんなことしなくても、相手を置いてけぼりにできるけどね。 もちろんフィリップスには言わないけれど。


「他も、上手かったよ。

 たぶん、オリンピュアスが居たら、目がハートになったと思う。

 ね、ライレーン。」


「ボクは、ホゥスボールは、分からないけれどね。

 王子の騎乗レベルが高いのは、分かったよ。

 すごかったね。」


うん。ライレーン。ナイスフォロー。

これで、フィリップスのご機嫌も上々のはず・・・。あれ?


褒めたのに、不機嫌なお顔に・・・。


「オリンピュアスか・・・。 私が、望んだのでは、無い。

 エペイロ家との縁は、パオラ妃、母の意向なのだ。アリー。」


いや・・・私に言われても。 どう、言えばいいんだろう?


「ほら、その氷も、オリンピュアスに言われて用意したの。

 魔法で作ったんだよ。」


とりあえず、フィリップスの使っている氷は、オリンピュアスが用意したことを強調して置く。


「アリーの魔法で作った氷か。

 それならば、右腕の痛みもすぐ良くなりそうだ。」


いや・・・オリンピュアスが用意した・・・こおりだよ。

フィリップス、意識してオリンピュアスから、話題を逸らしてる。 困ったな。 今、オリンピュアス居ないし、後でどうにでもなるかな。


「まぁ、落馬したにしては、元気そうだし、問題なさそうね。

 安心したよ。

 迷惑にならないうちに、そろそろ、行こっか?」


空気を読んでくれそうな、ミラドールに声をかける。


「そだね、アリー。

 じゃ、頑張って早く良くなりなよ。 王子様。」


ミラドールは、サッとドアの向こうに姿を消した。


ナイスッ。


「じゃね。 ゆっくり休んでね。」


フィリップスに引き留められないように、後ろに続く。


私は、「すたこらさっさ」と言う音が聞こえるくらいのスピードで、その場を離れた。



******************************



「ちょっと、あれ何?

 オリンピュアスの婚約者じゃないの?

 アリーを見る目。完全に、惚れられてるじゃないの。」


医務室を離れると、ミラドールから、矢継ぎ早に質問が・・・。


「いやぁ、最初に会った時、懐かれちゃって。

 ちょっと、良くないね。」


「いや、玉の輿じゃない。 王子と結婚のチャンスよ。

 オリンピュアスから、奪い取ったらどう?」


「あっ、ごめん。

 私、アレのお兄さんと、婚約してるんだ。」


フィリップス、アレ扱いしちゃった。別にいいけど。


「は? 今の第2王子でしょ?

 お兄さんってことは、第1王子?

 じゃ、アリー、次期王妃じゃないの。

 なにが、どうなってるの?」


なにが、どうなってるって言われても、流れに身をまかせていたら、こうなったとしか・・・ねぇ。




=== ===== === ===== ===




まぁ、とりあえず、目立ちたくないので、騒ぐのはやめようね。


ミラドール。




=== ===== === ===== ===

空気を読むのが得意な人は、高評価を押して次の話へ⇒


蛇足1.空気を読む?


 空気を読んでくれそうな、ミラドールに声をかける。



モスクワで、6月22日、、プーチン大統領が、「ロシアはヨーロッパとの包括的なパートナーシップを回復したいと考えている。」と双方の関係を修復する必要性を訴えたそうです。


その、ロシア。

6月23日、黒海で、英海軍の駆逐艦「ディフェンダー」に対し、警告射撃と警告爆撃を行ったと発表。


その日、オランダ海軍のフリゲート「エファーツェン」と、英海軍の駆逐艦「ディフェンダー」は、黒海に入ってウクライナのオデッサに寄港した後に、ロシアが実効支配しているクリミア半島付近で行動をしていました。


ロシアの黒海側の出口であるクリミアは、1954年、フルシチョフによって、ロシアから、ウクライナに友好の証としてプレゼントされ、2014年3月14日、友好の証だから、友好じゃないなら返してねということで、ロシアの領土に、ロシア的には、戻されました。国際的な承認は得られていませんが。


イギリスは、ロシア領土って認めないよってことで、ここを通行したため、領海侵犯として「ディフェンダー」は、銃撃・爆撃されたんですね。


ここで、面白いのは、イギリスは、「銃撃・爆撃されてない」って言い張っていること。


「ウクライナの領海を無害通航した」けれども、ここは、ロシアの領海では、ない。


「ロシア軍は実弾演習していた」けれども、英駆逐艦への警告射撃も警告爆撃も、無かった。


と、ツイッターで発表。


パートナーシップを回復したい。仲良くしようっていいながら、警告射撃と警告爆撃を行ったと発表するロシアも面白いし、英駆逐艦への警告射撃も警告爆撃も無かった。ってツイッターで呟くイギリスも面白いです。 外交って、いろいろと空気を読むことが、大切そうって思いました。



蛇足2.ドーピング


 私のは、魔法でドーピングしてたし・・・。


6月22日、中国の競泳選手、孫楊のドーピング規定違反について、CAS(スポーツ仲裁裁判所)で、4年3か月の資格停止処分が確定しました。


彼は、2012年のロンドンの金メダリスト。個人的には、まだ引退してなかったのね。って感じですが、裁判って長いですね。




蛇足3.免許証の画像


 入室許可書とか、身分証明書とか、そういうのが必要な気がする。


5月ごろから、宅配業者を不在通知を装って、スマホにショートメッセージを送りつけて、免許証の画像を送らせる手口が、相次いるそうです。 身分証画像や証明書画像などと一緒に、電話番号や、メアドと一緒に送らせるということで、簡単にアップしちゃダメですね。



蛇足4.


 マスクをした医療スタッフが、てきぱきと動く。



ワクチン接種が進み、感染者が減少していたイスラエルでも、6月21日には、感染者数が100人を超えたそうです。


マスクの着用義務などの再導入も検討し始めたそうで、接種後もマスクは、必要みたいですねぇ。


6月22日、ロシア・モスクワでは、ワクチン接種済み証明かPCR陰性証明がなければ、28日から、飲食店を利用できなくすると決めたそうです。


世界中、もうしばらくは、不自由な生活が続きそうですね。

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