2-43.ハレルヤっ!ハレルヤっ!ハレルヤっ!
「ほら、また、右目の上に当たった。」
うん。でも、ダメージ無いんでしょ?
「たぶん、2回戦と逆なんだよ。」
逆?
「エウリュアがノキマで、シーアがエウリュアってことだね。」
え? ライレーン? 何言ってるの?
ノキマは、昨日の 対戦相手。 帝国の暴力王。
圧倒的、すさまじい 力を もった、パワーファイターだった。
「エウリュア様が、ノキマとは、どういうこと ですの?」
オリンピュアスが、顔を こちらに 向けた。
「たぶん、このまま、見ていれば、分かる。
ちょっと、余裕を 持ちすぎかなぁ。エウリュア。」
ペチンっ
エウリュアに 目をやると、シーアのパンチを、さらに もう1発。
その 顔面に 受けていた。
[美容師の娘] 【 2-43.右目が、腫れルヤ 】
拳格闘2日目、3回戦。
スピードスターの異名を持つ拳闘家、シーア・キズミヤの対戦相手は、エウリュア。
パワーとテクニックを兼ね備えた、強敵だ。
シーアは、左腕をしならせて、エウリュアの 顔面を 狙う。
ペチンっ
そして、ステップ。
ブォンという音とともに、エウリュアの右腕が 空を切る。
すさまじい パワー。
さっきまで 顔があった 空間が、もぎ取られるような 勢い。
だけど、当たらなければ、意味がない。
ステップを踏み、左のこぶしを当てる。
そして、足を左に。ぴょんと 小さく飛ぶ。
華麗な ステップ。
水中を 泳ぐ魚のように、ヒラヒラと。
このダンスは、ひとりでは、踊れない。
エウリュアの 体の運びを 見ながら、足を右に前に。
ピョンピョンと ステップを 踏む。
そのたびに、空振る エウリュアの こぶし。
顔を ひょいと動かし、こぶしを 避ける。
そして、腕をひねる様に、左のこぶしを置く。
ペチンっ
おもしろいように 当たる。
そして、また、繰り返し。
闘技場の太陽が、エウリュアの 額の汗を 照らす。
そのエウリュアの 顔を見ながら、足を前に右に。
シーアは、美しいステップを 踏む。
その端正な顔に浮かぶ 笑みと 共に。
闘技場の歓声が、シーアの 背中を押す。
その観客の 歓声を 聞きながら、体をくるり。
シーアは、美しいダンスを踊る。
空を切る エウリュアの こぶしと 共に。
「そろそろだね。」
何発目だろうか。
左のこぶしを、エウリュアの 右まぶたに当てた シーアは、つぶやいた。
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チッ。
これは・・・マズい。
相手の 仕掛けた罠に みすみすと はまってしまった ようだ。
エウリュアは、舌打ちをし、首を振った。
不意に、シーアの 体が 消えるように なったのだ。
右の まぶたが 熱を 持っている。
かなり、目が、腫れているんだろうな。
シーアが、私の右に移動すると、その体が見えない。
やられたッ。右目の視野が、ほとんど 無くなっている。
完全に、右の視界を 奪われているのだ。
昨日、ノキアに対して、自分が取った作戦。
視界を奪う、目潰し。
シーアは、よりスマートで、より美しい方法で、その作戦を実行してきた。
ふっと消える、シーアの体。
ボスッ。バンっ。
見えない 死角から 飛んでくる パンチ。
厄介だ。
見えないながらも、両腕を 振り回す。
しかし、当たらない。
当然だ。見えている時も 当たらなかった パンチが、視界を 奪われた 今、当たるわけが ない。
正確な リズムで、飛んでくる パンチを 受け続ける。
ダメージは、ほとんど、無い。
まだ 耐えられる。
歯を食いしばり、私は、反撃の チャンスを うかがった。
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「もう、見えていないよね。 右目。」
ライレーンが、のんびりとした 声で いう。
「でも、ダメージはない の ですよね?
それなら、エウリュア様が 勝ちますわ。」
「どうかな。
日没までに 決着がつかなければ、審判による 判定だから。」
オリンピュアスに 答える ライリューン。
「ライリューンから見ても、このままだと、判定は、厳しい?」
「当たってないからね。エウリュアの攻撃は。
アリーが 審判なら、攻撃していない人を 勝者に する?」
まぁ、そりゃそうだね。
「じゃ、このまま、判定になりそう?」
ペチペチと、攻撃を され続ける エウリュア。
それに反撃しようと、シーアに対して、両腕を 振り回すパンチ。
相変わらず 当たらない。
「うん。攻撃が当たっていないから。
何か、幸運でもない限りは、このままかも。」
ライリューンは、冷静に分析する。
「ボクは、そうは 思わないけどね。」
「ライレーン、エウリュア様が、勝つのですね。
どうやって、反撃いたしますの?」
ライレーンの言葉に、オリンピュアスが、反応した。
「いやぁ・・・。どうなんだろう。
いくら シーアのパンチに 威力が ないと いってもね。」
「どういうこと ですの?」
「打たれすぎ なんだよ。
日没まで 持つかなぁ? エウリュア。
サンドバッグ みたいに なってきてる。」
太陽が照らす、エウリュアの顔の右側。
この距離からでも、赤く 腫れあがっているのが 分かる。
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「このまま 殴られ続けたら、
どこかで、ノックダウンされて、倒れる気がする。」
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レナードさんのボクシングを見たことがある人は、
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蛇足1.
スピードスターの異名を持つ拳闘家、シーア・キズミヤ
イメージしたのは、レナードさんという方です。
と、言っても、試合の映像すら見たことがありませんが・・・。
シュガー・レイ・レナードは、昔のアメリカのボクサー。
モントリオールオリンピック、ライトウェルター級の金メダリスト。
その後、プロに転向。
WBCウェルター級、WBCスーパーウェルター級王座を獲得。
ウェルター級では、WBAとWBCで統一王座。
網膜剥離が発覚し、一時引退しますが、復帰。
WBCミドル級世界王座を獲得。
そして、WBCのスーパーミドル級、ライトヘビー級の世界王座を獲得。
はい、全くナントカ級のクラスが分かりません。
とにかく、5階級制覇をしたボクシング中量級の世界チャンピオンと言うことですね。
スピードスターと呼ぶのに ふさわしいボクサーだったようで、ウェルター級歴代最速とも言われるそうです。
異名は、スーパーエキスプレス。
オンラインストアとかで、安心お届けサービスを提供しそうな異名だなって思いました。
蛇足2.
ハレルヤっ!ハレルヤっ!ハレルヤっ!
レナード・コーエンは、カナダのシンガーソングライター、詩人、小説家。
格闘系って、まったく分からないんですよね。
それでも、色々と調べて、書いています。
レナード + 右目が、腫れる
これを頑張って調べたところ、たどり着きました。
人物レナード・コーエン。曲名「ハレルヤ」。
昔の名曲らしいです。
ダビデがイスラエル王サウルに竪琴を弾いた旧約聖書の話。
ダビデが月明かりのもと沐浴するバトシェバを誘惑する話。
サムソンの髪をデリラが切り落とす話。
などが、歌詞にあり、「ハレルヤ」の文言が繰り返される。
らしいです。
情熱的な曲なんだなって思いました。
この曲をイメージして、スピード感あふれる闘技風景を書いていきます。
ふぅ、疲れた。じゃぁ、曲を聞いてみよう。
あれ?
ゆっくりとした曲調。
ボソボソした歌声。
良く分からないゴスペル風コーラス。
あっ、全然イメージと違う。
もっと、アップテンポの曲だと思っていました。
・・・もう書いちゃったし、いっか。
なお、この「ハレルヤ」、2010年バンクーバー五輪の開会式でも歌われたそうです。
バンクーバー五輪といえば・・・って、すでに書いていましたね。
2021/03/28 09:00
2-21. はじめての飛翔訓練
https://ncode.syosetu.com/n6487gq/57/
浅田真央さんは、トリプルアクセルにチャレンジしたのに2位。
高難度ジャンプ不遇の大会でした。
真央さんは、エキビジョンの練習中に、プルシェンコさんにキスしたりと、場外でも いろいろありました。