2-42.スピード スター ボクサー
「筋肉痛に、似ているな。」
朝 目覚め、体を 動かすと、上腕に 痛みが あることに 気づく。
グルリと、腕を回す。
「うん、イタイ、イタイ。」
自分の 顔に 笑みが こぼれるのが 分かる。
いける。これなら戦える。
腫れも、ほどんとなく、痛みと言えば、筋肉痛 程度。
昨日、目覚めた時の 状態を 考えると、完全回復と 言ってよい。
jumping out of bed という表現がピッタリだったと思う。
私は、ベッドから 飛び降りた。
バサッ、ドン。
という音とともに、水の詰まった、革袋が落ちる。
あぁ、夜の間も 冷やして くれて いたんだな。
既に、水の袋と なってしまっている 革袋を持ち上げ、ベッドの上に置く。
「あら、エウリュアさん、お目覚めですか?」
教会前 診療所の、看護の女性。
目が、腫れているように見える。
徹夜で 看病 してくれて いたのだろうか。
「あぁ、ありがとう。
一晩中、氷を替えてくれていたんだな。」
「いえいえ、ここ2時間程度は、替えておりません。
水を詰めた、袋を腕の下に 敷いていただけです。
腫れが、だいぶ 引いてきたようでしたので。」
「そうか、ありがとう。
おかげで、腕も自由に動く。」
私は、腕を ぐるぐると 回して見せた。
「良かったですね。
今日も、活躍を 期待していますよ。」
ぐっと、胸を そらす。
彼女の笑顔と、窓から差し込む 太陽の光が、痛んだ 体を 目覚めさせた。
さぁ、行こう。今日も 戦いが 待っている。
[美容師の娘] 【 2-42.パンクラチオン2nd day 】
「エウリュアの対戦相手、女の子みたいに、顔がキレイね。」
「女の人だったりして・・・。」
拳格闘2日目、3回戦のエウリュアの相手は、シーア・キズミヤ。
スピードスターの異名を持つ拳闘家だ。。
ペチンっ
音が響くたびに、エウリュアの 顔が 腫れていく。
「強いの?」
ライレーンに 尋ねる。
「ボクのスピードなら、捉えることはできるかな?
だけど、勝てるかどうかは、分かんない。」
エウリュアより、ライレーンが、素早いのね。
「ライリューン、相手は、パンチしか使ってないよね。
エウリュアは、蹴れば いいんじゃないの?」
「キックが、当たればいいんだけどね。
空振りすると、大変なことになるから。
相手が、速すぎるのよ。」
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ペチっ。ペチっ。
シーア・キズミヤの 左パンチ。
痛くは 無い。ただただ、面倒だ。
これが、拳闘家か。
ボクサーとも呼ばれる 拳闘家。
蹴りを ほとんど 使わないので 距離的に、私に 分があると 思ったのだが・・・。
速いっ。
こちらの こぶしは 相手に 届かない。
相手のパンチは ~すごく軽いのだが~ こちらの 顔を 捉える。
シーアは、左のこぶしを、腹の前に構え、ゆらゆらと 揺らす。
そして、手首を かえすように 動かす。
ヒュンっ。ペチっ。
腕の しなりを きかせた 相手の手の甲が 私の 右目の上を 捉える。
やっかい。厄介だ。
通常のジャブと呼ばれるパンチは、真っすぐ飛んで来る。
しかし、彼は、下から 払うように 腕を しならせる。
そこから、拳を突き出し、当たる直前に、はじくように 打ちこむ。
こぶしが、下から飛んでくるので 軌道が分かりにくい。
踏み込もうとすると、左のこぶしが 顔の前に 置かれているような 状態だ。
手首のスナップを利かせているのか、相手のこぶしの甲の部分が、当たる。
ペチン。
距離を取ろうとすると、相手に踏み込まれ、こちらが踏み込むと、相手の こぶしが 顔の前に 置かれる。
まいったな。
ダメージは、ほとんど無いけれど、攻撃が当たらない。
と、いうよりは、攻撃する チャンスすらない。
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それは、観客席。
騎士学院の ジンホは、エウリュアを、応援していた。
対戦相手 シーアの 戦いのスタイルは、スピードを生かした 中遠距離戦。
彼は、拳闘家なので、蹴りが ほとんどない。
このため、近距離戦となるかと 思っていたのだけれど、予想に反して、距離を取っての 戦いとなっている。
彼は、エウリュアの パンチが 届かない 距離を保ちつつ、フリッカーと 呼ばれる 鋭いジャブパンチで 攻撃をしている。
自分に、ダメージは 無いと 思っているんだろうな。
攻撃さえ まともに 出来ていないのに、エウリュアの表情は、まだ、余裕を 持っているように 見える。
確かに、意識を失うような 強いパンチは 受けていない。
しかし、あのパンチには、副次効果がある。
エウリュアっ、早く 気づけっ。
そのまま、ジャブを 受け続けるのは、危険だぞ。
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「殴られてはいますけど、エウリュア様、大丈夫ですよね。」
オリンピュアスが、心配そうに つぶやく。
「痛そうには、してないよね。
ライリューン、どうなの?」
「ん-。ダメージは、無いとは思う。
ノキマのパンチみたいに、強くないから。」
ライリューンが、そういうなら、大丈夫よね。
「ボクは、エウリュア、危ないと思うよ。
パンチを 顔に 貰いすぎだから。」
ライレーンの、空気を 読まない 発言が、オリンピュアスを青ざめさせる。
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「ほら、また、右目の上に当たった。」
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フリッカージャブを打つことができる人は、
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蛇足1.
彼は、下から 払うように 腕を しならせる。
下から 払うように 腕を しならせるジャブ。
ということで、フリッカージャブと呼ばれる鋭いパンチをイメージして書きました。
どうも、手の長い黒人系ボクサーが得意とするパンチみたいです。
日本人では、辰吉丈一郎さんと言う人が使っていたといわれるみたいですが・・・。
見たことないんですよね。
と、言うことで、完全にイメージで書いています。
蛇足2.
「エウリュアの対戦相手、女の子みたいに、顔がキレイね。」
「女の人だったりして・・・。」
女の人みたいに、きれいな男の人っていますよね。
さて、北海道円山動物園のお話ですが・・・
2013年にオニオオハシのペア計2羽導入。
性成熟を迎えることが見込まれた2016年から、繁殖に向けた取り組みを行う。
毎年産卵は確認されるものの、孵化予定日を過ぎると毎回卵を運び出す行動が見られ、孵化に至らない。
2北海道大学獣医学部の協力のもとDNAでの性判定を行ったところ、2羽ともメスであることが判明。
2021年4月1日更新の、オニオオハシの性別について北海道円山動物園の説明ページ。
4月1日に更新されているので、「あぁ、4月1日用の話なんだ。」と思っていたのですが・・・。
本当に、ポコ、トト、2羽のオニオオハシとも、メスだったそうです。
女の子同士での、求愛行動の、給餌や追尾もあったそうなので、分からなかったみたいですね。
巣箱の増設、周辺の環境改善、栄養改善などに取り組み、卵を巣外に運び出す前に、卵を光に透かして内部での胚の発生の様子を確認することも行っていたそうで、繁殖のための準備など、スタッフの方々は、本当に大変だったとは思いますが・・・。
こういう少し、抜けた 徒労の話、大好きです。
この鳥ですが、写真でみると、青い目に、オレンジのくちばし、黒い口先に、くちばし上部の赤色がキレイ。
可愛らしい顔をしています。
コロナが落ち着いたら、札幌まで、見に行ってみたいですね。
蛇足3.
「筋肉痛に、似ているな。」
朝 目覚め、体を 動かすと、上腕に 痛みが あることに 気づく。
これは、・・・という内容の蛇足3がありましたが、書いてから消しました。
蛇足4.
大昔、「オロナミンCは小さな巨人です!」というフレーズがCMで用いられていたそうです。
『巨人の星』というアニメのCMをしていたためと言われています。
今、調べてみたら、このフレーズ、2001年まで使っていたんですね。(もっと、昔の話だと思っていました。)
巨人=オロナミンCのイメージが浸透し、阪神タイガースある関西地方では「敵の飲み物」として売上は、極端に低かったそうです。(中日の中部地方や、広島の山陰・中国地方でも、売上は低かったそうです。)
80~90年代の阪神タイガースの本拠地「甲子園」では、巨人のイメージがあるオロナミンCを持っていると、
「今すぐ捨てるか、飲んでから吐け。」
と言われた。という伝説があると聞いたことがあります。
蛇足3.の、
「という内容の蛇足3がありましたが、書いてから消しました。」
をいう文章で、飲んでから吐け伝説を、ふと、思い出しました。