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2-39.勇敢な 冒険者の 言葉

「エウリュア様・・・。」


オリンピュアスが、両手で目を(おお)った。


そだねぇ。シークツ・ノキマが、強い。

どうにか 致命傷を 避けている けれど、エウリュアの 額は(ひたい) 切れて 血が にじみ、足は ふらついて いる。


「これ、アリーが、当たったかもね。」


「ボク、これは、賭けなくて よかったな。

 試合前は、技術で エウリュアが 優勢だと 思ってたから。」


ライリューンと、ライレーンは、冷静。

というか、エウリュアの 心配を しようよ。


「エウリュア様は、負けませんわ。」


オリンピュアスが、顔を あげた。


「いまは、まだ 劣勢です。

 でも、エウリュア様の 目は 死んでおりませんわ。」


いや、遠いから、目なんて、見えないよ。


「たしかに、そうね。

 エウリュアは、まだ 何か やろうと している みたい。」


ライリューンが、いう。


あら? オリンピュアスの 言ってること、あってた のね。


「無理だろなぁ。

 ちょっと、攻撃が 通らなすぎる。

 筋肉の 鎧に 守られて いるよね。

 ボクでも、倒す方法が 思いつかない もん。」


ライレーンは、否定的。

でも、まぁ 攻撃しても、ダメージが 与えられない のは、ツラい よね。




[美容師の娘]  【 2-39.飛ぶ血潮 】




それは、観客席。

騎士学院の レンウヨ・ジンホは、エウリュアを、応援していた。


さっきまでは・・・。


今は、応援してないのか? と 言われれば、そうでも ないのだが・・・。


どちらかと 言うと、棄権 してほしい。

その 思いの方が、強く なっていた。


例えば、サンボ、柔術、そして、レスリング。

選手は、あらゆる体勢から、最適解を見つけ出し、対戦相手を 絞め落とす。


それは、圧倒的に、不利なはずの 体勢からでも 起こし得るものだ と 言われる。


しかし、どうだろう?

今回の試合は、パワーという 1点において、相手に劣る。

筋肉の鎧という 1点においても、守備に 劣り、攻撃が 入らない。


勝てる 要素が まるで ない 。

エウリュアが、ギブアップ しないのは、勇敢と 言うより、無謀。


ジンホは、学友として、そう 思っていた のだ。



******************************



「よーく、覚えて置け。エウリュア。」


それを教えてくれたのは、ライリューンと、ライレーンの父親。

彼は、勇敢な 冒険者 で あった。


「剣も 槍も 通らない。

 そんな モンスターだって、存在 する。

 そんな時、オレたち 冒険者が 狙うのは、目だ。

 目を つぶせば、相手の 視界を 奪える。

 もちろん、倒す チャンスも 得ることが 出来る。

 その上、逃げるチャンスも 得る わけだな。」


しかし、目潰しは、パンクラチオンでは、禁忌。

ルール違反だ。


「目にも、攻撃が 届かない。

 そんな時に 狙うのは、関節だ。

 てこの 原理を 使え。

 小さな力で、大きな力を 相手に ぶつけることが 出来る。」


ニヤリと、笑う自分に気づいた。


こんな ピンチであっても、彼女たちの 父親の言葉が 浮かぶ。

ライリューンと、ライレーンは、どこまで いっても、私から 切り離せない ようだ。


ツツツっ。つぅー。


額に(ひたい) にじんだ血が、下に 垂れてきた。

ペロリっ、と舐める。


これだっ。

右手を 顔に 近づける。


左手で、こぶしを握り、ジャブっ。

ノキマを けん制 する。


そして、本命は、こちら。

右腕を 振りぬく。


渾身の 力を 込めた 右のフック。


ひょいっっと、(かわ)された。

ノキマは、まるで、相手に していないような 素振り。


だが、これでも、そう 言って いられる かな?


審判に見えぬよう、振りぬいた、右こぶしを 開く。


シュッ・・・。


手に 握りこんだ 血潮を 飛ばす。 目潰しだ。


「そんな時、オレたち冒険者が狙うのは、目だ。」


あぁ、オヤジさん。

言われた通り、視界を 奪ったよ。


返すこぶしで、顔面に左フック、そして右ストレート。


・・・効いていない。


しかし、効果がないのは、織り込み 済み。 想定内だ。

要は、今、ノキマが、目を 擦っている 理由が、必要なんだ。


血による、目潰しが、原因ではない。

左フックと、右ストレートが 効いて、良く見えていない。

そう 審判や、観客に、勘違いして もらわないと、反則負けだ。


そして、右足を高く蹴り上げる。

顔面スレスレに。空振りするように。


どうせ、当たっても ダメージなど ほとんど無い。

それならば、追い打ちだ。


足の 指の 間に 挟んだ 砂。

ノキマが、やっと 開けた 目を 潰すのだ。


顔面の前で、足の 指を 開く。 砂を 放つ。


ドン。 ピシャリ。

そんな 言葉が 浮かぶ。


完璧なタイミングで、砂が、目に入った。

これで、優位に 試合を 進められ・・・なっ・・・に・・・。


見えない状態 にも かかわらず、ノキマが 殴りかかって きたのだ。


後ろに スウェイして かわす。

離れすぎても、危険だ。


左に ステップし、ノキマの 体を 両腕で、つかむ。

そして、投げる。


くるりっ。

体がきれいに1回転し、砂の上に・・・。


ノキマが 上・・・? なぜ?

まるで、魔術に かけられた ように、私は、組み伏せられていた。


必死で、左腕を 相手の 首に かける。

右足は、相手の 左足に 絡める。


少しでも、距離が開くと、あのパンチを この至近距離で 受けることに なる。


相手の 手足を 自由にしては ダメだ。、

幸い、ノキマの目は、見えていない。 まだ、いける。


下から、足を抜く。ノキマの右腕を取る。

そのまま、両手で、右腕を握り、両足を肩にかける。


ノキマが、左手で顔面を殴ろうとするが、距離がある。

右の こぶしを 受けるほどの ダメージは 無い。


ノキマの 右腕を 離しては いけない。


よしっ 右腕が キマった。


「そんな時に 狙うのは、関節だ。てこの 原理を 使え。」


オヤジさんの 声が 聞こえる。

どうだい、関節を狙うのも 指示通りだ。 いい生徒 だろう。


と、不意に 体が 持ちあがった。

まさか・・・。なんてパワーだ。


ドンっ。


背中に、強い 衝撃が 走った。

ノキマは、右腕が キマったまま 私を 持ち上げた。


そして、地面に 背中から 叩きつけたのだ。




=== ===== === ===== ===




い・・・息が出来ない。




=== ===== === ===== ===

5月が、Mayであることを知っている人は、

高評価を押して次の話へ⇒



よくも、全く知らない 格闘について、あたかも 知っているかのように 書けるな。と、自分でも 思います。


それは、ともかくとして・・・


前々話、第73部分2-37.の蛇足から、続く、蛇足の蛇足。



蛇足4.の蛇足1.


と、いうことで、8月は、オーガストってどういうこと?



ローマ帝国の初代皇帝オクタウィアヌスは、カエサルの 姪アティアの 子供。

血縁なんですね。

だから、大叔父カエサルによって 建設された ウェヌス神殿を 記念して、古代オリンピックに 強制参加 させられました。


さて、時代は進み、いろいろ、権力闘争をして、オクタウィアヌスは、首都ローマおよびイタリアを直接支配する執政官職を持ちます。

ところが、紀元前27年に元老院で、内戦の非常大権の全特権を返上し、共和制への復帰を宣言します。


巧妙なのは、返上したのは、内戦の非常大権だけで、ローマおよびイタリアを直接支配する力は、返していないことです。


これに、感動した、元老院に、全権を掌握するよう懇請され、アウグストゥス(尊厳者)の称号を贈られたオクタウィアヌス。


アウグストゥスを名乗るようになります。


こうして、ガイウス・ユリウス・カエサル・オクタウィアヌス(Gaius Julius Caesar Octavianus)は、インペラトル・カエサル・アウグストゥス (Imperator Caesar Augustus)に。


有名な初代ローマ皇帝アウグストゥス(Augustus)の誕生です。


アウグストゥスは、紀元14年8月、悪徳の商業都市ポンペイ近郊のノラの町で75歳で亡くなります。

そうです。無くなったのは、8月。


アウグストゥスは死後、神格化され、その名前は、8月になりました。


と、いうことで、8月は、オーガストです。



蛇足4.の蛇足2.


内戦の非常大権の全特権を返上し、共和制への復帰を宣言



内戦の非常事態から、特権を持ち、ほぼ独裁者として振舞っていたオクタウィアヌス。

しかし、その特権返上が、共和制から、帝政ローマへの移行に繋がるのだから、皮肉なものです。


オクタウィアヌスは、権力を返還し、元老院によって再び譲渡されるという形式をとることで、気づかれぬ間に自身に権力を集中させました。


さて、徳川15代 将軍、慶喜は、慶応3年11月9日、大政の奉還を、明治天皇へ奏上し、10日に天皇が奏上を勅許しました。


有名な「大政奉還」です。


実は、「天皇が国家統治を将軍に委任している」=「大政委任」について、幕府は、朝廷に確認をしていました。


文久3年 と、元治元年 に行われた その確認は、「大政委任の再確認」と呼ばれます。


幕府が行わざるを得なかった「開国」と、朝廷が求める「攘夷」という思想がぶつかり、幕府の国家統治の正統性が揺らいだための確認ですね。


「再確認」を行うことで、幕府が国家統治することは、正しいですよ。と周知したわけです。


しかし、齟齬は埋まらず、歴史は「倒幕」へ「明治維新」へ「公議政体」へと向かうこととなりました。


どうなんでしょうね。

もし、慶喜が、「大政奉還」した大政を、「大政再委任」で、返してもらっていれば・・・。

実際、幕府に戻すことも、検討されていたみたいですし。


オクタウィアヌスのように、気づかれぬ間に自身に権力を集中させ、中央集権国家化することが、できたかもしれません。


でも、薩長が「倒幕」に動いている以上、その場合は、内戦を免れることはできなかったかな?とも思います。


権力を返還と、再譲渡という形で、エンペラーになるのは、周りの環境も大きいみたいですね。



蛇足4.の蛇足3.


しかし、齟齬は埋まらず、歴史は「倒幕」へ「明治維新」へ「公議政体」へと向かうこととなりました。



「公議政体」

日本の国家意思としての「公議」。加えて、日本の構成員による「輿(世)論」。

そして、「公議」と「輿論」を還元するシステムが、「公議政体」。


うん。全く意味が分からない文章ですね。

「公議政体」は、議会制民主主義みたいなもの。と言うことにしておきましょう。

それはともかく、前話の、あとがきで出てきた板垣退助が、自由民権運動を率い「公議政体」を反映するための議会制度導入を唱え、憲法制定や、国会設立に繋がりました。



蛇足4.の蛇足4.


ふぅ、疲れた。

あぁ、やっとアウグストゥス Augustus = August に、たどりつきました。



そういえば、紀元前4年が、キリスト誕生の年といわれます。

ローマ皇帝アウグストゥスの治世中に、生まれたんですね。

場所は、ベツレヘムなので、パレスチナです。


紀元4年12月24日の夜から、25日朝にかけて、馬面で・・・

と、書こうとして気づきました。

このネタ、既に使っていましたね。

https://ncode.syosetu.com/n6487gq/26/

1月26日の 1-26.馬刺し ③ の あとがきです。


このころは、蛇足の文字もなく、シンプル。

とても、読みやすいです。



蛇足4.の蛇足5.



ローマ帝国の初代皇帝オクタウィアヌスが、建設されたウェヌス神殿を記念してギリシアの古代オリンピックに参加。


ウェヌス神殿?って何でしょうね。


ウェヌスって、誰よ。って、まず、思いますが、ヴィーナスですね。

Venus = たしかに、ヴィーナスです。

ビーナスは、ギリシア神話のオリュンポス十二神のアプロディテ(アフロディーテ)と同一神とされます。


もともとは、菜園の女神ですね。


ところが、ヴィーナスは、ローマ時代の人に、アプロディテ(アフロディーテ)と、(意図的に?)取り違えられます。


アフロディーテは、愛と美の女神です。


と、いうことで、ヴィーナスは、愛と美の女神に、なりました。

そして、後述のように、軍神ともされます。

また、ヴィーナスのエピソードのほとんどが、アフロディーテのエピソードです。


アプロディテと、アンキセスとのロマンス。


アンキセスは、トロイア王イーロスの 娘テミステの子。

トロイアは、トロイの木馬のトロイア。


そして、アンキセスとアフロディーテの子「アイネイアース」が、ユリウス・カエサルのユリウス氏族の祖とされました。


アフロディーテは、ヴィーナスと同一神とされます。


なので、カエサルは、ヴィーナスを祖神として、彼女を祀るために、壮麗な神殿を奉献しました。

カエサルの祖神として、軍神ともされました。


アフロディーテは、ギリシア神話のオリュンポス十二神なので、ギリシアのオリンピックに参加。


ローマ帝国の初代皇帝の古代オリンピック参加には、こういう流れがあったんですね。



蛇足4.の蛇足6.



実は、


オリンピュアス大祭の 名前って、オリンピュアスと 関係あるの?

「あぁ、私の 名前と 同じよね。

 エペイロの祭神、テウスの神殿のある 地名ね。

 私の名前は、その地名から 取られたの。」

エペイロの祭神、テウス?

それは、ホームカンシ教と 関係があるの?

「ん-と、エペイロ伯爵家の祭神は、もう少し古いの。

 だけど、教団の人の前で 言ってはダメね。

 あそこは、唯一神だから。」


第67部分2-31.ドリームレースに出場が決まったよ。

https://ncode.syosetu.com/n6487gq/67/


と、言う会話も、ヴィーナスを祖神として、ユリウス・カエサルが、神殿を建てる話を参考にしています。

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