1-7.ダイエットしなきゃダメ? [2]
母ウェンディの周りに明るいしゃぼん玉が舞った。
虹色のバラがふわりと香る。
そうだ。美容院には 野バラを飾ろう。
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「野バラ香水」の収量が少ない。
全然、まったく、これっぽっちも、足りない。
水魔法で抽出する、私の「野バラ香水の滴」は、この世界の普通の「バラの香水」より 良い香りで濃度も高いと思う。
だけど、花びら50枚から 1人分の香りしか とることが できなくて、美容院ボエロの お客さんに 使うには 少なすぎるのだ。
山とお家を 何往復もしても 作れるのは 数日分だし、そんなことをしてると 山の野バラが なくなっちゃう。
私、天才・・・のはずだったんだけどねぇ。
って、あきらめかけた時、スゴいこと思いついちゃった。
「花びらを ちぎらなくても いいんじゃないかな?」
そうだよね。
バラバラにしちゃうから無くなっちゃうんだもの。
お庭に植えている状態で、野バラさんから、少しずつ香りを 分けてもらうことに したんだ。
そして やっぱり 私 天才 かもっ。
なんと 葉っぱ からも香りの成分を抽出することが出来た。
花びらから 得られるものより 量は 少ないけれど、同じものが取れちゃた。
花びらを 1枚ずつ なでながら 水魔法で 滴を茶色の小瓶に ぽとりと落とす。
葉っぱも 1枚ずつ なでながら 水魔法で 滴を茶色の小瓶に ぽとりと落とす。
ありがとうね。
今日、滴を貰った子は、3日間お休み。
3日休んだら、また作ってくれるんだよね。いい子だ。
こうして3種類の野バラから いっぱいの「香りの滴」を いただきました。
野いばら から取った さわやかさのあるフローラルな 香りの小瓶は「アリー」。
サンショウバラ から取った 甘くフローラルな 香りの小瓶は「ウェンディ」。
シロモッコウバラ から取った フレッシュでさわやかな 香りの小瓶は「イアン」。
お名前シールを貼って お仕事完了。
・・・じゃないのよね。
私の計画は「野バラが香る石鹸」作りだもの。
いつも美容院で使っている石鹸を取り出す。
ウェンディは 水魔法でこれを泡状にする。
同じように 私も泡状にしてみた。
ここに香りの滴を まんべんなく 振りかけて 魔法で元に戻す。
できなぁぁぁぁぁぁぁい。
難しい。元には戻りません。
固形石鹸が、液体石鹸になっちゃった。
仕方がないので ガラスの瓶に入れて 1か月ほど放置してみる。
これはね、ちょっと置いとくと カビとか生えちゃわないかな?って 心配になったの。作り置きした場合の長期保存の安全性の確認は、物づくりの基本だねっ!
だから実験。
うん。カビは生えなかった。カビは。
見事に 上下に分離。
上に液体、下は固体。
下の固形石鹸部分は、香りもあるし うまく泡立つ。
これは、保存もできて とっても便利ね。
上の液体部分は、普通に使うのは無理みたい。
でもね。泡状水魔法で、これを使うと、きめこまかい泡で 洗浄が できちゃう。
素敵な香りは、そのまま。 ちょっと濃度が薄いのは、気にしない!
それに、美容院でマダムの髪に使うには、こっちのほうが便利かな。
ウェンディに頼んで 優しそうなマダムに試してもらった。
「ウェンディ液体石鹸」は、かわいいシャボン玉とともに、甘くフローラルな香りを 美容院全体に 舞わせた。
マダムは 大満足。
イアンに 抱っこされてる 私もご満足。
よくできました。
ということで、そのまま マダムも一緒に みんなで お茶会をすることに。
ぱりーん。
イアンが 手がしびれたと 言って カップを 落とした。
私を見ながら、「これは昔からの症状だ」 と イアンは あわてて 言うけれど、さっきまで、私を 抱っこ してたよね?
食べ過ぎだから 太ってきたのかしら?
ウェンディに似て 胸は無いのに!
ヤバイっ、肥満児になっちゃう。
お菓子は減らそう・・・。
トンッという 音とともに
ウェンディが 目の前に 焼き菓子を置いた。
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うん。明日から頑張る。
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子曰くの 子って 孔子の 子じゃなくて
師匠って 意味みたい。
短く話を まとめ切れなくて 2話に 分割してるね
って思った人は高評価を押して次の話へ⇒
短く話をまとめきれないでって書いていますが、たかだか、1381字と1571字。今なら合わせて1話にしている気がします。
ちなみに、「第195部分3-34.オリンピュアスのチョコレート」でも、「うん。 わたし、今日は、充分に頑張ったと思う。 ゆっくり休んで、明日から頑張ろうっと。」というオチを使っている所から、発想の安易さが透けて見えます。