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2-26.【閑話】アレキサンドロスの嫁探し1

「エペイロ伯爵家は、フィリップスにこそ、ふさわしいですわ。」


第2王妃パオラは、王に訴える。


エペイロ伯爵家 オリンピュアスは、私の 婚約者候補だ。


王都筆頭の 伯爵家であり、縁組は、王子の地位を 強固にする。


私は、オリンピュアスは、好きでは ない。

彼女は、私ではなく、王子の 椅子を 見ているように 思える。


「私も、フィリップスも、まだ幼い。

 急ぐ必要は、ありません。」


オリンピュアスと 結ばれたい わけではないが、私の地位が 脅かされることは、気持ちが いいものではない。


それとなく、反対を しておく。




[美容師の娘]  【 2-26. ヘドファン伯爵家の娘 】




私は、フルーク王国の 第1王子 アレクサンドロス。


将来の 王妃候補を 探しに・・・


いや、未来の王として、自分が率いる軍を学ぶために・・・だな。


王立 飛翔師 学院に 進学した。


春の宮を離れ、学院の寮に暮らす。

生活が大きく変わるわけではないが、他者と関わるのは、面白い。

将来の 側近となる者も、見つけることが 出来るかもしれない。


そんな期待を (いだ)きながらの学院生活も 1年が過ぎたころだった。


「新たな、婚約者候補?」


「はい。ヘドファン伯爵家の 娘です。」


「東? 西だったか?」


「西で ございます。」


「オリンピュアスが、怒り 狂う 顔が、見えそうだな。

 フィリップスの・・・。

 いや、パオラ妃の目に ()まる前に、会いたい。

 呼びつけろ。」


ヘドファン家は、西の辺境を守る伯爵家。

その大きさは、王国一の、武の名門の貴族家である。


代々、魔法に優れ、優秀な 飛翔師兵を 輩出す(はいしゅつ )ることで知られる。


そこの娘、と言うことで 期待していたのだが・・・。


背は低く、胸は無く、オリンピュアスと 対極。 子供だな。


「私が、アレクサンドロスだ。」


「あっ。 はい。 アリーです。」


礼儀を 知らぬのか、私に 敬意を払う 素振りが 無い。

まるで、用が 全く無いかのように、不機嫌そうに こちらを見る。


「婚約者候補として ご機嫌伺(きげんうかが)い に

 来た に しては、無口だな。」


「私、あなたを、教会の 干渉から 守るように

 言われているから、顔を 見に 来た だけ なんだけど。」


守る? こんな 小さな 子供が?


「ん? 私を 守る?

 弟と 同い年の 子供が? 面白い。」


いいな、こいつは。

オリンピュアス の ように ()びて 来ないのが いい。


話し相手には、丁度よいかも しれない。


「私を、守って くれるの だったな。

 では、時々 遊びに 来て、話し相手に なって くれぬか?」


「そ・・そうですね。

 都合が 合えば そう いたします。」


こいつ、露骨に 面倒だ という 顔をする。


「少し忙しいのです。

 現在、馬に 乗れるように 練習して おりますので。」


嘘を つけ。

西部ホースボールの代表で、大活躍をしたと 報告が来ている。

まさか、これほど 平然と 私に 嘘をつくとは・・・。


「馬か?それなら、遠乗りに でも 行くか?

 私と 一緒ならば、学院の 外にも 行けるぞ。」


エサを 投げて 釣ってみる。


「はいっ。 いつに します?」


簡単に 釣れた。

馬に 乗れるように 練習している 設定は、どこに 行った?


政治的な 意図で、私から 離れようとした のではない・・・と。

自分の 欲望に 素直なだけか。


ん? と、言うことは、私と 話をするのは イヤだということか。

少し、腹が 立つな。


「それでは、今から 行こう。

 服を 着替えて 来るが よい。」


少し イジワルを してみる。

なんといっても、大貴族の、子弟だ。

今からと 言って、すぐに 出かけられる ものでは ない。


「うん、じゃぁ 用意 して くるね♪」


側仕えに 話を振るでもなく、即答。

口調を 取り繕うこともなく、タメ口に なっている。


面白い。

私は、急いで 愛馬ブースケパレーを 用意させた。



******************************



「と、言うことで、私のことは、イスカンダルと 呼ぶように。」


「さっき、アレックスと 呼ぶように。って、はっきり 言ったよ。

 アレックス?もう、ボケ はじめてるの?

 お薬、用意 したほうが いい?」


ボケに 効く薬など あるものか。


「大人っぽいと 思ったけど、お子ちゃまね。アレックスって。」


この・・ガキが。どの 姿かたちで そんなことが 言えるのだ。


「バレても いいんだ。

 名前さえ 違えば、問題が 起こっても、別人で 押し通せる。」


外に出る以上、問題が 起こるかも しれない。

本名ではなく、偽名を 使うことで、何か起こった時に もみ消すことが 出来る。


「じゃ、アンリ・エンドーで いいや。

 エンドーって 呼んでね。」


なんだ? エンドーとは。


私の イスカンダルは、アレキサンドロスの 帝国語 読みである。

帝国語の エンドーを 調べさせた方が 良いの かも しれない。




速いっ。しかも 余裕がある。

話を しながら、このスピードに ついて来られるとは。


アリーの 騎乗の腕は、私と同等か 上回るものだ。

馬の、スピードを 上げてみる。


「私は、いいけど、後ろの 護衛さんは、ほっといて いいの?」


「かまわない。

 ブースケパレーに ついて こられるもの は 居ない。」


アリーが、どこまで 馬を操れるか 見てみたい。


「ベルの方が 速いと 思うよ。

 乗っているのも、私だし。

 いざと なったら、風魔法を 使うもんねー。」


そうだ、ヘドファン家なら 風魔法は、得意であろう。


「あぁ、風魔法を 使えるの だったな。私と、同じで。」


馬の、鐙に(あぶみ )に 足を 残したまま、体を 浮かせる。

しかし、アリーは、余裕をもって スピードアップする。


「これに ついて 来れるのか。エンドーは、面白い。」


私は、そろそろ 限界だが、アリーには、まだ 余力がありそうだ。


護衛たちの 姿は、もう 見えない。

アリーは、しきりと 後ろを 気にしている。


「大丈夫だ。いつもの ことだ。

 待って いれば、そのうち 追いつく。」


リンゴの 木の下で、アリーの 馬が 止まる。

ここで、少し待てば、追いついて 来るだろう。


「聞いていた 以上だ。

 ホゥスボール代表も 実力 だったん だな。」


「実力って、それ以外 に 何が あるのよ。」


「フィリップスは、代表に 名前が 入っているぞ。

 王都ホゥスボール 子供代表 だがな。」


「いや、あの人、馬に 乗れないでしょ。」


「だから、そういう こと だ。 実力とは。

 まぁ、子供代表だ。 勝ちに こだわる 必要もない。」


「そんなもの なのねー。」


自分の 心臓が ドキリと 拍動(はくどう)する 音が聞こえた。

不意に アリーが、馬の 背に 立ったのだ。




=== ===== === ===== ===



空から 射す光に、透きとおる アリーの 髪が 揺れる。


・・・美しい。


私は、彼女に 目を 奪われた。



=== ===== === ===== ===

イスカンダルは、宇宙戦艦ヤマト2199に出てきた星の名前だ

と思っていた人は、高評価を押して次の話へ⇒


蛇足1.

アラビア語やペルシア語ではアレクサンダー大王は、イスカンダルの名前で知られます。

Al-iskandar、アル-イスカンダルと言うわけですね。


Al-Ittihad、アル-イテハドは、サウジアラビアの都市ジッダをホームタウンとするサッカークラブ。

Al-Ahly、アル-アハリは、エジプトの首都カイロを本拠地とするサッカークラブ。

Al-Jazira、アル-ジャジーラは、カタールのドーハにある衛星テレビ局。


Al-、アル-は、語頭のal-が定冠詞と勘違いされたようです。


また、都市アレクサンドリアは、アル・イスカンダリーヤ、都市アレクサンドレッタはイスカンダルンと呼ばれるそうです。


この後あった、蛇足2.の書き出しは、

「ユーロの父」 ロバート・マンデル氏が・・・

でした。

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