2-22. 空の散歩は爽快?
労働多幸薬 ヒロパノス。
覚醒効果を 顕著に持つ ソレは、夜間作業に 関わる 兵士、特に 夜間に飛行する 飛翔兵に 広まった。
アーキオ商会によって、チョコレートとして 加工され、販売された ヒロパノス入りチョコが 疲労回復目的で 支給されたことも、これに 拍車をかけた。
やがて、飛翔兵の 保有のチョコが 市場に 放出され、乱用が 広まる。
労働や、工場の能率向上のために 使われ はじめた それが、幻覚や 妄想を 引き起こし、依存性を持つことが 判明するのに 時間は かからなかった。
王命により、一般の 製造を 禁止されたものの、密造品が 広まり、市中では、違法販売が 後を 絶たない。
[美容師の娘] 【 2-22. オリジナル 水魔法の改良 】
私は、地面に 風魔法を当て、ふわりと 浮き上がった。
イヴァナさんは、赤い羽を 自分の背中に 取り付けている。
「そのまま 飛翔することは、出来る? 羽は 必要?」
私は、凧みたいな 羽は、付けたくない。
飛んでいい? 飛んでいいのね。 じゃ、お空にGO。
久しぶりの、空の 散歩。
いつもは 一人 なんだけれど、今日は、イヴァナさんが 一緒。
「これは、すごいわね。ヘドファン家の 血ね。
どのくらいの スピードで 飛べるのかしら?」
えーと、ベルで 走る程度の スピードは、出せる けどね。
ついて 来れる?
「馬で 走る 速さなら、なんとか ついて いけそうね。
東に 向かって 飛んで みてくれる?」
まだ、午前中なので 太陽は、東側にある。
私は、太陽に 向かって、飛んだ。
最初は、ゆっくり、そして ちょっと スピードを 上げる。
ぴゅーん。
風が、気持ちいい。
でも、ここからは、風が 危険なのよね。
スピードを 上げると、顔に 飛行風 が当たるから。
飛行風は、速度が 上がることで 働く 空気の流れや 圧力。
これに 自然風が 組み合わさるから、やっかい。
向かい風が 強ければ、飛行の速度にも 影響し、横風が 強ければ、体が振られて、危険な 状況になる。
私は、汗血馬に 挑戦した時と 同じように、水魔法を 使う。
顔の前に、水の 膜を張る。完全に ふさいじゃダメ。
横から 空気が 入るように 隙間を、開けないと 息が 出来ない。
オリジナル 水魔法、ウインドシールド。
こうして、顔の 前に 透明の水の膜を 張ることで、飛行風や 自然風から 視界を 守るのだ。
そーしーてー、スピードアップ♪
さぁ、これで どこまで でも 行ける。
わぁ、気持ち いいよねー。
飛び はじめて 1時間 くらいかな。
私は、振り返って イヴァナさんを 見た。
あっ・・・居ない。
っていうか、学院が 見えない。
あれ? 向こうの方に 青い色の宮殿が 見える。
あれが、春の宮 なのかな?
大きい。 あんなところに、アレックスは、住んでいるんだね。
行って みようかな?
行っても アレックスは、居ないけれど。
結局、イヴァナさんが、来るまで、待機 することにした。
ウロウロすると、迷子に なりかねない からね。
遅いな。 イヴァナさんが、来ない。
周りの景色を眺める。 ・・・飽きた。
そうだ、ウインドシールドの魔法を 改良してみよう。
改良? えっとね、顔だけ、水のシールドで 守ってたの。
これだと、胸元や腕、首、肩、関節部分が、特につらい。
スピードを 上げた時、体中に、強い風を そのまま受けてしまう。
だから、全身を守るするように、シールドを 張ってみた。
真っすぐ 壁のような シールドでの 守り方はしない。
丸みを 帯びた、シールドを作る。
前方からの 風の抵抗を 受けにくく しちゃうのだ。
そして、シールドの 上面を、下面より 膨らませる。
上側を通る気流と、下側を通る気流は、同時に シールド後方に 到達するので、こうすると、長さのある 上側の気流の方が スピードが速くなる。
これで、何が 起こるか っていうと、揚力が 生まれる ん だよね。
上と 下の 気流の速さが 違うので 浮き上げる。
飛行機の 羽と 一緒だよ。
止まっているときは、変わらないけれど、高速飛行中は、勝手に 浮き上がって くれるので、下から 風を 当て続けなくていい。
新しい、シールドを 全身にまとって、ビュンビュンと 飛び回る。
うん。 これ、いいね。 飛翔魔法の 制御が すごく楽♪
下からの 風を調節する 必要がないから、方向や、体位、スピードだけに 気を使えばいい。
これは、私、飛翔魔法に 革命を 起こしたかも!
って 得意に なってたんだけどね。
うーん。 びゅんびゅん、グルグル 飛んでいても・・・。
待てど 暮らせど、イヴァナさんが、来ない。
仕方ない。 ゆっくり 引き返そう。
半分くらい 戻った ところで、イヴァナさんを 見つけた。
遅いよー。
「アリー。 あの速さは、ダメよ。
普通の 馬の疾走 程度なら、私でも 出せる。
でも、あれは、汗血馬の 疾走と 言っても おかしくないわ。
あんなのには、ついて いけないわ。」
あぁ、ベルや ブースケちゃん 基準は、普通 じゃないのね。
そうだ、イヴァナさん。 すごいの見つけたの。
私、飛翔魔法に 革命を 起こしたかも しれないよー。
「あら? 何かしら? 気になるわね。
でもね、アリー、そろそろ 授業が 終わる時間よ。
学院に 戻りながら、話をしてちょうだい。」
イヴァナさんの スピードに 合わせながら、飛ぶ。
だいぶん、遅いのね。
私は、改良版 ウインドシールドの魔法 に ついて 説明した。
「おそらく 複合魔法ね。
それは、水魔法だけ じゃなくて、風魔法も 使ってるわ。」
そうなの? 私、水魔法だけ 使ったはず なんだけど。
「これだから、ヘドファン家は・・・。
水と風の2属性の魔法を 使える人は 少ないのよ。
そもそも、飛翔魔法の 制御だけで、みんな 精一杯。
私だって そうよ。
そんな 複雑な魔法を 使い続けるなんて、誰も 出来ないわ。」
うーん。いい方法、見つけたと 思ったのに・・・。
どうだろう? イアンや、アレックスでも 使えないのかな?
学院に 戻ったら、アレックスに 聞いてみよう。
イヴァナさんが、ふわりと、地面に 降り立つ。
その隣に、そぉっと 着地。
久しぶりに 空も飛べたし、気持ち よかったぁ。
あれ? どうしたの? みんな 何を 見てるの?
「あぁ、パオラが 来ている。」
イヴァナさんが、つぶやいた。
騒ぎの 中心にいたのは、フィリップス王子。
・・・と、一人の女性。
=== ===== === ===== ===
第二王妃 パオラ・ルッカラ・ディブリア。
フィリップスの 生みの親 であった。
=== ===== === ===== ===
今週、あったかくなるっていうから、春物に切り替えた人は、
高評価を押して次の話へ⇒
蛇足1.
第二王妃パオラ・ルッカラ・ディブリア。
フルコ・ルッフォ・ディ・カラブリアさんは、イタリア王国の貴族。
そして、第一次世界大戦イタリア空軍のエース・パイロット。
よく見かける黒い骸骨をパーソナルマークにしていました。
その娘のパオラ・ルッフォ・ディ・カラブリアさんは、ベルギー国王アルベール2世の王妃。
その息子フィリップさんは、ベルギーの現国王。
そう、今のベルギー国王。
この人、国王なんですが、空挺部隊に配属された後、空軍大佐にもなっているそうです。
蛇足2.
BS放送で、サッカーを放送していました。
日本と、アルゼンチンが試合をしていました。
すぐ、チャンネルは変えたのですが、LIVEって書いていました。
つい先日、試合したところですよね?
録画でしょ。って思って、LIVEの文字を消そうよって思いました。
って、そのあとニュースを見たら、2試合連続アルゼンチンと試合?
そんなの初めて聞きました。
すごいですね。2試合連続って。
このあと、蛇足3.がありましたが、その書き出しは、
コロナ陽性が確認されたと嘘をつき、特別休暇を不正に取得・・・
でした。