2-20. 一口サイズのチョコレートだね
フルーク王国は、夜の世界、冥を司る 王国。
その王は、死と眠りを 統べる。
王は、その拠となる 魔法、睡眠魔法を 御する。
人を 眠らせてしまう 魔法だ。
アースワム帝国は、朝の世界、生を司る 帝国。
その帝は、生と 起を 統べる。
帝は、その拠となる 魔法、覚醒魔法を 御する。
人を 眠らせない 魔法だ。
得てして、王は闇、帝は光に、例えられる。
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敵の 家では、食べ物を 口にしない って いうもんね。
そういえば、時計が 赤く 光ってた。
敵意が あるって 言ってた。
アレックスは、ナカヨシが 嫌い。
ほんと、アレックス、お子ちゃま だわー。
[美容師の娘] 【 2-20. チョコレートキス♪ 】
「アリーっ。」
アレックス?どうしたの?
私の お部屋 できたの。 こっち だよ。 きれい でしょ。
いま お掃除 した ところ。
「何も 食べて ないな。」
ん? お茶ならあるよ? 飲む?
「王子、心配せずとも 良い。
ここに、ヒロパノスの 入った食品は、無い。」
声を 掛けられても、ナカヨシとは、目を 合わせようと しない。
「アリー、ここから出る。 来るんだ。」
アレックスが、私の 右手を つかむ。
お茶が こぼれちゃうよ。
強引ね。 あんまり 強引すぎる 男は、女の子に 嫌われるんだよ。
じゃ、またねー。
私は、ナカヨシに 手を振って 研究室を 後にした。
「アリー。 なにも 口に して いないな。」
いや、だから お茶は 飲んだって。
アレックス どうしたの?本当に。
「あの 研究室で、出されるものは、口にするな。」
なんだろう。この お子ちゃま感。
こういう 意味の無い カッコいいセリフ、男の子、好きよね。
うんうん。 分かったよー。
そういう お年頃 なんだよね。 仕方ない。
アレックスの 頭を なでようとするが、手が 届かない。
ヨシヨシして あげようと 思ったのに・・・。
って、あんっ。
バランスを 崩した 私は、アレックスに 抱きついてしまった。
アレックスって 案外、胸板 厚いんだね。 びっくり。
ん? あれ・・・ オリンピュアス様。
これは、見られたね。
私から 抱き着いた みたいに 見えたかも・・・。
あぁ、シンデルラララ城に 帰りたくない。
あの 階段 通りたく ないわ。
いっそ、ナカヨシの 研究室に 泊まり込もうかしら?
やや遠く、後ろからの、視線。
アレックスと 腕を組んで 歩いているから、後頭部が 痛い。
刺さるのよ。 視線が・・・。ちくちくする。
後ろを 振り向く わけにも いかないし、最悪だ。
「どこか 入らない?」
学院内は、1つの 町 みたいな もの。
お店や 建物が いっぱい。
オリンピュアス様の 視線を かわすためにも、どこかに入りたい。
「あぁ。 こちらの 店なら、低位のものは、入れない。
上位貴族 のみが、入れる店だ。」
いや・・・オリンピュアス様、入れるから ダメでしょ。
・・・そんなことを 言うわけにも いかず、お店に 入る。
わぁ、お店の中に 庭がある。オシャレね。
「じゃ、わたし、ロイヤル ブレックファースト ティーラテ。」
舌を 噛みそうになりながら 注文する。
朝じゃないけどね。 そういう 名前の メニュー だし。
「キャラメル ホワイト チョコ モカを。」
おーい。 どこの 女の子 だよ。
王子の選んだのは、ホワイトチョコに、キャラメルが たっぷりの クリーミーなモカブレンド。意外と、こういうのが 好きなのね。
晴れた 庭の テーブル。 アンティーク風で クラシカル。
っていうか、上位貴族の お店なら、本物の アンティークか。
小鳥が 飛んでいる。 いい雰囲気。
まるで ヨーロッパの 田舎だね。 行ったこと ないけど。
こういう庭、欲しいな。
王子権限で、寮に お庭を 作って くれないかしら?
あら? 頼んでないけど、チョコが 出てきた。
一口サイズ。
小さい タマネギ というか、ゲームの スライムみたいな 形ね。
アレックスが タマネギ・・・じゃなくて、チョコを 指でつつく。
「そうだ。 アリー。 ちょっとした ゲームを しないか?」
オッケー、いいよ。 何するの?
「そうだな。
負けた方が1個 相手の言うことを 聞くっていうのはどうだ?」
ナイスタイミング。 お庭を 作って もらおう。
「では、今から、カタカナの 言葉を 言っては ならない。
言った方が、負けだ。
負けた方が、相手の 言うことを 聞くんだぞ。
はじめっ。」
「オッケー。 じゃ、ゲーム 開始ね。」
「よしっ。 アリーの 負けだ。」
え?
「オッケーも、ゲームも、カタカナ だよな。」
あぁぁ。 まだ始まってないよー。 今からだよ。
「ダメだ。 1個、言うことを 聞いてもらう。」
くちょ。 私の お庭 計画が・・・。
ニヤニヤ 笑う アレックス。 腹が 立つ。
「じゃ、これを 口に くわえて・・・。」
アレックスの 指が チョコを つつく。
パクッ
「飲み込むなよ。」
うん。 スポン。
あっ、うなずいた 勢いで 食べちゃった。
うーん。口の中で クリーミーに とろける。
お値段の 高い チョコの 味 だわっ。
「食べるなっ。 やり直しだ。」
怒られた。
もう一度、パクっと くわえる。
「じゃ 立ちあがって、目を つぶれ。」
ほいほい。 立って 目を つぶれば いいのね。
うぅ。 目をつぶった 瞬間、口に 違和感。
後頭部に、手の 感触。
こらっ、アレックス。
アレックスの 右手が、私の 髪を かきあげる。
くわえた チョコが、少しかじられた感触がした後、押し込まれた。
舌を 入れるなっ。
口の中で クリーミーに とろけるチョコと、舌の感触。
もう、お値段の 高い チョコの 味が、分かんないよ。
「うん。 いい味だな。」
やっと、私の頭から 手を離した アレックスが、モカブレンドを 口に含んで飲み込む。
「ちょっと。 何してるの。 こんな場所で 頭 おかしいでしょ。」
「こんな 場所じゃ なければ して いいのか?」
「いや・・・。 そうでもないけど。」
って・・・。 口の中が モカの香りに 包まれる。
「もぉ、ダメって 言ったでしょ。」
アレックスから 体を離し、椅子を 少し 遠ざけてから 座る。
ほんと、だれか 見てたら どうするの。
オリンピュアス様とか。
オリンピュアス様とか。
オリンピュアス様とか。
あっ。
周りを 見渡すと、目が 合った。
居たんだ・・・。 見られたな。
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フィリップス王子・・・。 カフェの 窓の 内側。
屋内に、泣きそうな顔の 王子が、たたずんでいた。
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自宅で、後頭部に視線を感じた人は、
高評価を押して次の話へ⇒
ここに、蛇足1.を書いていましたが、その書き出しは、
「後頭部に視線を感じた」で検索すると、AGA発症の原因や治・・・
でした。
蛇足2.
視線を1つの物に注意する見方をスポットアングルといいます。
動物は、スポットアングルを、生と死にかかわる時に使われます。
具体的には、獲物を狙う時、外敵から身を守る時。
そしてもう一つが、求愛です。
ストーカーが、女性の後頭部へ視線を合わせ、後をつけると、
かなりの確率で、振り向いて気づくと言います。
視線が刺さるのでしょうか。
本能で、見られていることを察知できるみたいですね。
このため、警察の人は、尾行時、カバンやに靴に視線を合わせる人も居るそうです。
このあと、蛇足3.がありましたが、その書き出しは、
視線を1つの物に注意する見方をスポットアングルといいます。
男性が、女性の胸に視線を・・・
でした。