2-05. 白馬に乗っていない王子 2
アメリムーン・セテプエーン・イスカンダル
うわっ。 かっこいい 名前。
どこかの 中学生の 男の子が、つけそうね。
「と、言うことで・・・。」
どう言うことよ。
「と、言うことで、私のことは、イスカンダルと 呼ぶように。」
いや、さっき、アレックスと 呼ぶように。って、はっきり 言ったよ。
アレックス?
もう、ボケ はじめてるの?
お薬、用意 したほうが いい?
[美容師の娘] 【 2-05. アダムとイブ 】
学院の 外に出たら、イスカンダルと 呼ぶように。
んー。 大人っぽいと 思ったけど、お子ちゃま よね。
その馬に 乗ってたら、何って 呼ぼうと 王子だと バレるって。
偽名を 使う意味が ないよね。
私も? 偽名?
やだよ。 めんどくさい。
「バレても いいんだ。
名前さえ 違えば、問題が 起こっても、別人で 押し通せる。」
うわっ・・・。
権力者って 怖いね。
じゃ、アンリ・エンドーで いいや。
ある意味、本名だけど・・・。
エンドーって 呼ばせて おこう。
それにしても、うまいなぁ。
6割くらいの スピードで 走っているのに、ついて きている。
舌を 噛まずに、会話が 出来ているって ことは、余裕が あるのよね。
うん。 これは、弟さん、コンプレックス 持つね。
2頭の 馬が、スピードを 上げる。
んー。 護衛の人たち だよね。
後ろの方に、小さくなって いってる 人たち。
私は、いいけど、この人、王子では?
「かまわない。
ブースケパレーに ついてこられるもの は 居ない。」
え? ベルの方が 速いと 思うよ。
乗っているのも、私だし。
いざと なったら、風魔法を 使うもんね。
「あぁ、風魔法を 使えるの だったな。
私と、同じで。」
えー。 嘘っ。
この人、天才だ。
アレックスが、馬の、鐙にに 足を 残したまま、体を 浮かせる。
魔力 自体は、イアンの方が、上 なんだろうけど、
イアンより、魔力の 伝え方が、繊細。
たぶん、馬に ほとんど 負担が、かかって いない。
どんどん スピードアップする アレックスと ブースケパレー。
仕方ない。
風魔法を 優しく 放って、ほんの 少し 体を 浮かせる。
馬は、動きを 邪魔されないし、衝撃もない。
腕と 体の間に 水魔法で 泡の膜を 張って 風を 受ける。
「ほほぅ。これに ついて 来れるのか。
やはり、エンドーは、面白い。」
なんだろ?
エンドーって 呼ばれるの、違和感が ある。
あっ ベルー、無理しないで、ついて いくだけで いいからね。
王子に 合わせて スピードを 上げようとする ベルを 抑える。
途中で 引き離そうと 思っていたけれど、ちょっと 無理だわ。
思っていた 以上に、この王子 すごい。
小さな 小粒だった 護衛の人たちの 姿は、もう 見えない。
これ、怒られない かしら?
私たち じゃなくて、護衛の人たちの 方が。
「あぁ 大丈夫だ。
いつもの ことだ。
待って いれば、そのうち 追いつく。」
リンゴの 木の下で、ブースケパレーが 止まる。
ベル、休憩だよ。
後ろの 人たちを 待とうね。
「聞いていた 以上だ。
ホゥスボール代表も 実力 だったん だな。」
実力って、それ以外 に 何が あるのよ。
「フィリップスは、代表に 名前が 入っているぞ。
子供代表 だがな。」
いや、あの人、馬に 乗れないでしょ。
「だから、そういう こと だ。
実力とは。」
名前が、入っているって いうだけ・・・なのね。
それは、1人 使えない選手が いるから、不利よね。
「まぁ、子供代表だ。
そこまで 勝ちに こだわる 必要もない。」
そんなもの なのねー。
喉が、かわいたなぁ。
んーと。
そだ、ベル? リンゴでも 食べる?
ベルの 背に立ち、木から リンゴを もぎとる。
水魔法で 軽く 洗った後、風魔法で 4等分に。
1個を、ベルに。
1個を、ブースケパレーに。
んー。おいしそうに 食べるね。
ブースケパレーも、かわいいな。
1個を くわえたまま、ブースケパレーの 首筋を 撫でる。
「私も、1個 もらおうか。」
あら。アレックスも 食べるの。
まぁ 仕方ない。
ベルの 背に立ち、リンゴを くわえたままの 姿勢で、
手に 持った リンゴを 差し出す。
「いや、違う。 こっちだ。」
差し出した 手が 引っ張られた。
ふわりと、体が 浮く。
ブースケパレーの方に、引っ張られた 私は、王子の 腕の中へ。
「ちょっ・・・ アレッ・・イスカンダル。」
「私が 欲しいのは、こっちの リンゴだ。」
シャクッ
っと言う音で、口の リンゴが 噛み切られる。
王子の 白い歯に よって・・・。
私の体は、抱きあげられ、唇と唇が 優しく ぶつかった。
手の中の リンゴが、足元に 落ちる。
んぐっ。
息が 出来ない。
死にそうに なった。
ちょっと。
どこの 世界に、王子と キスして、
リンゴを 喉に詰まらせる 女の子が 居るのよ。
頭、おかしくない?
あんな 大きなものを 口に くわえた まま。
危ないでしょ。
「あぁ、すまないな。
イブに リンゴを すすめられたら、アダムは 間違いを 犯すものだ。
許してくれ。」
王子が、口の中の リンゴを シャクシャクと 噛む。
ブースケパレーは、落ちた リンゴを くわえて、飲み込む。
くちょ。 全く 反省して ないな。
この 主従。
「飲み込んだのなら、大丈夫だ。
もう、リンゴを 喉に 詰まらせることは 無いだろう。」
すっと、王子の 顔が 近づき、私の 唇は、もう1度 ふさがれた。
んー。
両手を つっぱって、体を離す。
ひどくない?
私、初めて だったんだよ。
「いーや。 さっきもしたから、2回目だと 思うぞ。」
こ・・・こいつ。 性格、わるーい。
「そもそも、エンドーは、私の 婚約者だ。
別に、問題 ないだろう。」
そんなの、いつ、決まったのよ。
1時間 くらい前は、婚約者候補とか 言ってた じゃない。
「さっき、決めた。
たぶん、お前より 面白いの者は、いない。
それとも、誰か 好きな 相手でも いるのか?」
いや、いないけど・・・。
「じゃ、決まりだな。
私の 愛 すべて を お前に 捧げよう。」
そう 言いながら、アレックスが、私を抱き上げ、ベルの 背に 戻した時、
護衛の人たちが 追い付いてきた。
ん-。素敵な セリフ なのに、ぜんぜん ロマンチック じゃない。
「よし、戻るぞ。
帰りは、遅れる なよ。」
*** **** *** *** **** ***
こうして、いつの間にか、私は、この ワガママ王子・・・
・・・じゃない、
この 第1王子 アレクサンドロスの 婚約者と なった。
不満が あるわけじゃないけど、納得 いかなーい。
モヤモヤを 胸に 抱えながら、シンデルラララ城の 階段を上る。
そういえば、男子寮だと、
居住区の 1番上の フロアが、第1王子 の お部屋。
居住区の 2番目の フロアが、第2王子 の お部屋。
上が 1位 なら、下は 2位。
女子寮は、どうなのかしら?
居住区の 1番上の フロアが、私の お部屋。
居住区の 2番目の フロアは・・・。
気になって、下を 見下ろす。
そして、目を 逸らす。
なに? あの 目つきの 悪い子。
目線を、まだ 感じる。
下の階の 影から じぃっと 覗く 女の子。
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彼女の名は、エペイロ・カーオルス・オリンピュアス。
ほんの 数時間前まで、第1王子 アレクサンドロスの
婚約者 候補 筆頭と 言われていた 女性で あった。
=== ===== ===
勇者アキレウスの弱点は、アキレス腱。
知っていた人は、高評価を押して次の話へ⇒
アレキサンダー大王は、マケドニア王、フリップス2世と、
その妻で エペイロス王女 オリュンピアスの間に 生まれました。
フリッポス2世は、ヘラクレスの子孫で、
オリュンピアスが、アキレウスの子孫。
ということは、アレキサンダー大王って、
ヘラクレスと、アキレウスの子孫なんですね。
知りませんでした。
そして、First kiss には、
I will give you all my loveが、似合います。