1-34. すだち 1
< スダチ(酢橘) >
ミカン科の 常緑低木 ないし 中高木の 実。
ハチスカ国出身の 学者、
ミジカイ・ナカヨシ氏が 王国に 持ち込んだと 言われる。
さわやかな 酸味と、すがすがしい 香気が 人気。
様々な 料理で 使用される。
あら?
館の前に すだち の 小さな山が 出来ている。
私の 10歳の お祝いって、村の みんなが 持ってきて くれたらしい。
採れたのは、10月頃 らしいん だけど、その時は、まだ 酸っぱい。
これを、魔法で 冷やして 保存して 置く。
そして、2月。
酸味は、穏やかとなり、味は、優しくなる。
柑橘の 素敵な香りも 楽しむことが できるのだ。
わーありがとー。
でもね、かわいい 女の子の お祝いが すだち?
ねー、ちょっと おかしくない?
[美容師の娘] 【 1-34. すだち うどん の 日 】
さぁ、うどんだ。
カタクチイワシの 中骨に 沿って包丁を入れ、指を 使って 2つに 割る。
お茶パックの ような 大きめの 煎じ袋を 2個 持ってくる。
1個目の 煎じ袋 には、頭と はらわたは 除いた、本体を 入れる。
頭と はらわたは、別の 煎じ袋に 入れる。
これを 水に浸け、1晩 放置する。
うん。ちゃんと 出来ている。
水出しの 場合は、頭や はらわたを 除ける 必要が無いのよね。
ただ、火を 入れて 煮出す時に、
頭や はらわたが 入っていると 雑味が 入って おいしくない。
頭と はらわた 部分の 袋は、除く。
残った 本体部分の 袋だけ 入れたまま、10分程度 煮出す。
これで 出汁の 完成ね。
*** **** *** *** **** ***
じゃぁ、次。
器に ぬるま湯と 塩を 加えたら、ムラなく かき混ぜ、塩を よく 溶かす。
冬は、小麦粉が、冷たい。
だから、ぬるま湯に するのが ポイントだね。
お塩は、うどんの こし の 元だから、きっちり 量を 入れるのが 大切。
よしっ。 溶け切った。
大きめの こね鉢に、ざらざらと 小麦粉を 入れて、上の面を 平らにする。
平らな 小麦粉の 中央部に 凹みを つけて、
凹み 部分に 塩水を ちょっとずつ 手で 混ぜながら 加える。
指を 大きく 広げて、力を 入れ、全体に 空気を 入れる 感じで 混ぜる。
こねこね。こねこね。こね。こねこね。
がんばって、5分間。
粉は、ポロポロと そぼろ状になり、白から 薄い黄色に かわる。
よしっ。 OK。
じゃぁ、これを 丸い 大きな お団子状に しちゃう。
「袋、もってきてー。」
ガネッセが、大きな 袋を 持ってくる。
丸い 大きな お団子を ポイ。
袋に 放り込む。
床に ドンと 放り出し、ピョンと 飛び乗る。
袋の 中央に 両足を 揃えて 立って、まんべんなく 踏む。
重心は、かかとから つま先へ、そして、つま先から かかとへ。
生地が 延びて いく。
ふみふみ。ふみふみ。ふみ。ふみふみ。
これも、5分間。
よしっ。OK。
大きな袋から 取り出し、ガネッセが 持ってきた 小袋に 分ける。
1、2、3、4、5。
5個の 袋が 出来た。
1個が、ハンドボール くらいの 大きさ だね。
じゃぁ、イアンと キャッチボールだ。
「いくよー。」
風魔法を 優しく 袋に 当てる。
5個の 袋が ふわりと 浮き上がる。
えいっ。
イアンに、5個の 袋が 飛んでいく。
いけーっ。
ぱしっ。 パーン。
イアンも 風魔法。
って、ちょっと 強すぎない?
すごい 勢いで、ボールが 帰ってくる。
えいっ。
私も、負けない。
強めの 風を 圧縮し、ボールに ぶつける。
簡単 には、返球 できないように、縦の 回転を 加える。
うまいっ。
イアンは、まっすぐ 風を 当てた。
そっか。素直に まっすぐ 当てると、縦回転を 殺せるのね。
2人で キャッチボール。
イアンは、不器用 だけど、冒険者を していた だけ あって 経験が ある。
なかなか 勝負が つかない。
そうやって 10分。
あぁ、イアンの ボールが 不規則に 揺れる。
ナックルボールだ。
どうやら うまく ボールの 中心点に 風魔法を 当てたみたい。
これは、難しい。
下から すくい上げるのが 正解かな?
うまく 突き 上げる ことが できた。
ふわりと 浮いた ボール。
そのまま ドライブ回転を かけて イアンに・・・。
「おやめくださいっ。」
あっ・・・。
ガネッセに 怒られた。
イアンも、私も、キャッチボールに 夢中に なって 忘れていた。
うどんを 作って いたんだ。
でもね、キャッチボールで、生地の 弾力は、格段に 上がった。
これで OKだね。
袋から 取り出し 生地の 端っこから、中に 巻き込むよう、丸く まとめる。
両手で、くるっと 回転させながら、美しい 球が できた。
再び、大きな袋に 入れて 生地を 寝かせる。
冬だから、気温が 低い。
ちょっと 長めに 寝かせないとね。
ぐぅ。
2時間後。
グドモーニィンっ。
起床の 時間だよ。
うどん さん。
丸めた 生地を、厚さが 2cmに なるまで 平たく 延ばす。
麺棒を 真ん中に 置いて、ぐぃっぐいっと 押しながら 上の方へ 転がす。
うん。うまく生地が伸びていく。
一番 上まで 延ばしたら、次は 下側だね。
くるりーん。
生地を180度 回転。
同じように ぐいっ 押しながら 伸ばす。
次は、90度。
くるりーん。
その次は、180度 回転。
くるりーん。
くるくる 回しながら、まんべんなく 延ばす。
全体の 厚さが、最初の 2cmから 3mmまで 薄くなったら 完成。
生地の 表面に 打ち粉を 振り、山折りと 谷折りを 繰り返す。
屏風 たたみに するのだ。
たためた。
もう一度、打ち粉を ふって、3mm幅に切る。
シャっ、シャっ、シャっ、シャーっ。
ふふふ。
麺切り 包丁は、重い ので、風魔法を 使った。
完璧。 できたー。
すぐには、茹でない ので、麺を ほぐして 打ち粉を ふって 放置。
*** **** *** *** **** ***
よく 洗った すだちを、皮ごと 細く スライス する。
出汁と、お醤油を 少し 加熱しながら、混ぜる。
くるくる 混ぜる。
出汁醤油の 完成だ。
十分に 冷えたら、すだちの スライスを サラリと 落とす。
んーいい香り。
すだちを 加えると、魚の 臭みが 消えるのよね。
すだちは、絞っちゃダメ。
苦く なるから。
これが、麺つゆ。
よーし。
最後まで、サクサク 作り 上げるよー。
生姜と ネギを 刻む。
トントントントントーン。
よく 洗った すだちは、さっきと 一緒。
皮ごと 細く スライスする。
できた。
余計な ものは いらない。
これで 完成だよ。
私の 出汁は、今のうちに、水魔法で、よーく 冷やして おく。
次は、麺 茹で だよ。
鍋に たーっぷりの お湯を 沸騰させる。
ぶく ぶく ぶく。
沸いた。
麺を 入れて、菜箸より ながーい お箸で ほぐす。
麺を 入れた後は、温度が 下がるので、
もう 一度 早く 沸き 上がるように 強火。
再び 沸き上がったら 火を弱め、
麺が 鍋の中で クルクルっと 回るように 火力を調整。
イアンは、細かい 調節が、苦手だから、火魔法の 調節は、全部 私だね。
きっちり 13分間 茹でたら 完成。
ゆであがった 麺は 冷水で よく水洗い。
麺を こするように 洗って ぬめり を とるのが 大切だよ。
出来たー。
のびない うちに 食べるよ。
ガネッセ、器の 用意が 遅いよっ。
茹でた 麺。
麺つゆに 生姜と ネギと すだち スライス。
私は、「あつひや」。
温い麺を、冷たい 麺つゆに 入れて 食べる。
このために、私の 麺つゆは、冷やして おいたの。
2月の すだち は、酸味が、穏やかとなり、味が、優しくなる。
10月の すだち だと、ちょっと 苦い。
コレを 入れた 冷やし 麺つゆは、香りは 良く、苦みが ない。
うん。 完璧。
ずる ずる ずる ずるっ。
おいしいよー。
そして、イアンは、「ひやひや」。
冷たい麺を、冷たい 麺つゆに 入れて 食べる。
すだちを 入れる ひやひやは、さっぱり している。
これだと、食べ 過ぎちゃうん だよね。私。
ガネッセは、「ひやあつ」。
冷たい麺を、温かい 麺つゆに 入れ て食べる。
年寄りだね。
冷たいものを 冬に 食べると、体が 冷える んでしょ。
あっ 怒った。
麺が 冷たいので、温かい 麺つゆに 入っても 伸びにくい。
麺つゆが 温かいので、出汁と すだち の 香りが 引き立つ。
コシが 強く 香りが 良い
すだち うどんを 食べるには、「ひやあつ」が 最高だ とのこと。
うーん。
すだち うどんは、奥が 深い。
でもね、そんな 説明 聞いてると、うどんが のびちゃう。
ごめんねー。
さらっと 聞き 流す。
私、次、「ひやひや」で 行こーっと。
食べ 過ぎちゃう かも しれないけど、
すだち うどんは、「ひやひや」が 一番 だよね。
空に なった 器を 持ち上げて 立ち上がる。
あれ?
イアンの 目が 赤い。
泣いてる?
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生姜と すだちが、ちょっと 効き 過ぎてた かな。
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今日の話で、学院へ 出発しようと 思っていたのですが、
アリーが、お出かけ できませんでした。
うどん作りの 話が、楽しすぎました。
私は、家で 食べるなら、冷凍うどんが いいです。
茹でるのを 失敗したら、目も 当てられませんから。
こし の 無い のびた うどん なんて いらないっ。