3-59.あの鐘の音を鳴らすのは 6
街道を少し離れたライ麦畑の前。白樺の木が大きな影を作って私たちを日差しから守ってくれている。
「そう言えば、もう何年もライ麦のささやきも、白樺のざわめきも聞いていなかった気がするよ。」
芝生の上に座るマニノフラが、ぼそりとつぶやいた。
「そうよね。私もあなたも、忙しくし過ぎていたのよ。」
「すまない、ナタリー。王都の鐘打ちの職につくことが出来ていれば、高い給金で楽をさせてやれたのに。」
「いいの。私は、贅沢をしたいわけじゃないもの。たとえお給料が安くとも、身の丈に合った暮らしが出来るならば、大丈夫。朝は、一緒に美味しいライ麦パンを食べて、夜は、時々ライ麦ビールを飲んで。2人でゆっくり過ごせれば、私は、それで幸せよ。」
彼の横の芝生の上。私は、彼の隣に腰掛けると、その服のそでをぎゅっとつかまえた。この人を一人にするわけにはいかない。
広々と広がるライ麦畑。ざわざわと、風にそよぐライ麦たちの小さな声は、確かに私たちの耳に届いている。大丈夫。私たちは、これからもセミノボヨの街でうまくやっていけるはず。
そう思いながら空を見上げると、なにやらじゅうたんのような物が空を飛んで行くのが見えた。
[美容師の娘] 【 3-59.ライ麦畑でつかまえて 】
いやいやいや。そういうのは、ちょっと違うと思う。
街道を離れたライ麦畑の前で、マニノフラさんと、ナタリーさんが、なんかいちゃいちゃしている。
何が悪かったのかさっぱり分からない。
結果として、せっかく捕まえた鐘打ちに逃げられてしまった。
「アリーが、悪いと思う。」
「なんでよ。わたしがニワトリを食べたわけじゃないよ。」
「私、アリーが言ってたの聞いたもん。たんぱく質は、自分で獲って来いって、チビたちに言ってたよね?」
そんなこと言ったっけ?知らないなぁ・・・。
しかし、ライリューンは、草むらに置いた簡易の椅子に座ったまま、わたしの足元をじぃぃぃっと見つめて、人差し指で証拠をゆびさした。
チリンチリン
ライリューンが指さす先からは、鈴の音が聞こえる。
急にどこかに行ってしまっても分かるように、チビの首輪には、鈴をつけることにしたのだ。
そうして、足元では、わたしのかわいいチビが、鈴を鳴らしながら、お土産のニワトリをモグモグしている。あっ、自分たちで調達したお土産だね。
しかし困った。
アレックスに、王都まで連れてこいと言われた鐘打ち職人が、居なくなってしまった。
そう、王都に来る気が全くなくなったみたい。わたしのせいじゃないけどね!
「もう、帰って謝ったら?王子もアリーに甘いから問題ないでしょ?」
うーん。確かにライリューンの言う通りなんだけれども・・・。
いや、アレックスから、簡単なお仕事だから・・・って頼まれたから、出来なかったって報告するのちょっとイヤなんだよね。
チリンチリン チリンチリン チリンチリン
チビが、鶏肉を咀嚼するたびに音が聞こえてくる。
何か考えるときに、この鈴の音はちょっとイライラするなぁ・・・。
そんなことを思いながら、ふっとチビを見た時に、思いついた。
鐘って、音を鳴らせばいいんだよね?
チビっ、お手柄だよー。いいタイミングで鈴を鳴らしてくれてありがとっ。
そうだっ。鐘打ちが居ないなら、彼らの代わりに鐘を打つ道具を作ってしまえばいい。
ライリューンの顔をじっと見つめると、乳に後ろずさりを始めた。
「アリー?なぁんか・・・悪い顔になってるけれど、変なこと考えてない?」
大丈夫っ!変なことじゃなくて、いいことだよー。
「よしっ。帰ろうか、王都へ。パトッ、ラッシュっ、チビ、帰るよー。」
わたしは、ライリューンに椅子から立つようにうながした。
そうして、血のしたたる生の鶏肉をモグモグしていた3匹を馬車に乗せたら、御者さんも、馬車の中に入ってもらおう。
あっ・・・先に、馬車をひいていたお馬さんを、セミノボヨの街で手に入れた少し大きめのじゅうたんの上に乗せてもらわなきゃ。御者さんたちが馬を馬車から外している間に、手早く荷物をまとめる。
落ちたら困るので、じゅうたんの上の馬を囲うように ぐるっと風の障壁を作っておかなきゃ。風魔法を発動したら、見えない風でふんわりと包みこむ。お馬さんは、神経質だから、こういうのを気をつけないと、大変なことになるんだよね。
じゃ、出発進行。
飛翔の風魔法を 馬車と じゅうたん にっ!
馬車は、じゅうたんを引き連れて、ふわりと空へ高く舞い上がる。
「いっくよー。」
行きとは違って風魔法を使って一気に王都へ向かう。そう、馬の速度でポクポク歩いて帰っていたら、とんでもない時間がかかってしまう。行きは10日かかったもんね。
あっという間にライ麦畑は遠くなり、マニノフラさんも、ナタリーさんも小さな豆粒みたいになってしまった。
「ねぇ、アリー。じゅうたんの後ろに、馬車より大きな箱が飛んでるんだけど、アレ何?」
「ん?ライ麦パンとか、ライ麦ビールとかっ。とりあえずいっぱい買いこんできたやつ全部だよー。」
これも、いずれ作れるようになってもらわなきゃねぇ。いやぁ、ライリューンが居る方が便利だな。もう、キョーカミトバ州なんか戻さなくていいかも・・・。
とはいえ、お腹の大きなライリューンを気づかって、スピードを抑えて揺れ少なめの安全運転。
「ライリューン。このくらいなら大丈夫?」
「うん。馬車より揺れてないよね。アリー、魔法の制御上手くなってない?」
そういえば、最近、パトやラッシュ、チビたちを、お空の散歩に連れ出しているから、ひとりだけで飛んでいたころよりも、上手く飛ぶことが出来ているような気もしなくもない。
ライリューンと、軽口を叩きながらも、空の旅は順調。
西の空が、夕日で赤く染まって見えるころには、ほらっ、もう王都が見えてきた。
「アリー?これさぁ、行きも、飛んで行くので良くなくなかった?」
帰路のあまりの速さにライリューンが、ぶつぶつ言うけれども、鐘打ちの人を連れて帰る予定だったからねぇ。
「でも、馬車で景色を楽しみながら、旅行するのも良かったでしょ?」
そう答えると、ライリューンも、行きの馬車旅は、まんざらではなかったといった顔をしている。
こうして馬車は、王都近くに着陸!
そのまま飛んで入ると目立つからねっ。
「じゃ、王都には、見つからないように、そぉっと入るよ。」
「あっ、やっぱり気にしてたんだ。失敗して帰ってきたところを王子に見つかることっ。」
ぜ・・ぜんぜん・・・気にしてないです・・・はい。
空からの帰還は、目立つのであり得ない。いつも使う貴族用の門も、今回はNGだ。ってことで、普段は使わないライリューン商会の身分証をわざわざ取り出して、平民用の門に並ぶことにする。
パトやラッシュ、チビたちは、3匹ともスヤスヤと眠っている。きっと慣れない旅行に疲れたんだろう。
「アリー。私、疲れたよ。並ぶのメンドクサイよ。飛んで入っても良くない?」
御者さんたちは、馬を馬車に繋ぎ、忙しく働いているのに、ライリューンは、文句ばかり言う。
「だめだめっ、規則は守るためにあるんだよっ!!」
わたし、いいこと言ったな。うん。
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こうしてわたしたちは、王都に帰還した。
うーん、メンドクサイ。大量のお土産の片づけは、ライリューン商会にまかせよっと・・・。
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後書きを書き忘れていることに気づいた人は、高評価を押して次の次の話へ→
蛇足1.忘れてた
蛇足を書くのを後回しにしていたら、
そのまま予約投稿されてしまいました。
まぁ、5月1日に投稿予定だったのを
蛇足を書いていないから、7日に変更
していたんですけどね。
蛇足2.くれむりん 突 どろーん
予想では、自作自演。
なぜか知りませんが、いままで ろしあの軍は、
うくらいなの、議会や大統領在住の建物を
攻撃してないんですよね。
普通は、そこを1番最初に狙う場所なのに。
おそらく、げんぱつや、市民の住む建物を壊すより
やってはいけないことになっているのだと思います。
相手国家の権力に対する攻撃ってモノが。
ただし、自分の所がやられたら、やり返すのは
OKなんでしょう。
くれむりんが攻撃されたからやり返すっていう
言い訳ができるなら、直接、ぜれんしきぃちゃんを
攻撃できるっていうことでの自作自演と予想しています。
本当のところは、どうなのかは、分かりませんけどね。
ってことで、本当に後で書いた後書き終わりっ!